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» 2019年05月15日 06時30分 公開

富士通フォーラム2019:生産計画など複雑な“組み合わせ問題”を解決、量子コンピューティングの力

富士通は2019年5月14日、同社のユーザーイベントである「富士通フォーラム2019 東京」(2019年5月16〜17日、東京国際フォーラム)の内覧会を実施。その中で量子コンピューティング技術を疑似的に応用した「デジタルアニーラ」への取り組みを紹介した。

[三島一孝,MONOist]

 富士通は2019年5月14日、同社のユーザーイベントである「富士通フォーラム2019 東京」(一般公開日:2019年5月17日、東京国際フォーラム)の内覧会を実施。その中で量子コンピューティング技術を疑似的に応用した「デジタルアニーラ」を出展し、用途や事例などを紹介した。

photo 富士通のデジタルアニーラサーバとデジタルアニーラユニット(クリックで拡大)

量子コンピューティング技術を応用した「デジタルアニーラ」

 富士通では、量子コンピューティング技術の1つである量子アニーリングを疑似的に応用したコンピューティング技術「デジタルアニーラ」を展開している。「デジタルアニーラ」は量子現象に着想を得たデジタル回路だ。組み合わせ最適化問題に特化した方式であるため演算スピードが速い他、プログラミングの必要性もなく簡単に活用できる点が特徴である。

photo アニーリング方式を模式的にハンドスピナーで示した模型。ハンドスピナーの3つの先端には磁石が付けられておりそれぞれ引き合ったり、反発し合ったりする。この中で全ての組み合わせを想定するのは大変だが、全体を揺らすことで自動的に最適な組み合わせが生まれる(クリックで拡大)

 富士通では、この「デジタルアニーラ」をさまざまな分野で応用するために取り組みを国内外で推進。製造業や流通、物流業では、ピッキングルートや棚の最適化での活用や、在庫管理、人員計画最適化、生産計画などでの活用を提案している。その他、創薬や交通、金融、デジタルマーケティングでの活用が期待されているという。

 富士通フォーラムでは、パイロットプロジェクトで進めている、日本郵政や東レなどの事例が紹介された。日本郵政の一部の事例では、「デジタルアニーラ」を活用した配送ルート効率化により、実際に8%の業務効率化が実現できたとしている。

 既に実用化に向けて技術的な課題はほぼクリアできているというが、「実用化の壁」として残るのがデジタルアニーラで使用されるイジングモデルの構築である。富士通研究所 デジタルアニーラプロジェクト 市場創出グループ シニアエキスパートの塚本三六氏は「デジタルアニーラはイジングモデルを構築できなければ解くことができない。実際に解決したい課題をこのイジングモデルに構築する間の領域が多くの企業にとって難しく、活用に至らないという状況がある。ここをどう乗り越えるためにサポートできるかがポイントだ」と述べている。

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