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» 2019年05月17日 10時00分 公開

脱2次元できない、3次元化が進まない現場から聞こえる3つの「ない」“脱2次元”できない現場で効果的に3D CADを活用する方法(1)(2/2 ページ)

[小原照記/いわてデジタルエンジニア育成センター,MONOist]
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社内/社外の問題

 ここまでは、どちらかというと経営者視点で3次元化が進まない理由を紹介してきました。これとは別に、現場視点の理由もあります。その1つが、設計者たちから上がってくる「ツールを変えたくない!」という声です。

 使い慣れた2D CADで作業した方が、楽で早いというのです。確かに、そういう場面もあるでしょう。しかし、3D CADで正しく、効率良く作業することで、2D CADでの作業よりもミスが少なく、コストを抑え、より強度ある設計が実現できます。

 ただし、きちんとした使い方をしないと、3D CADで作ったモデルを修正しようとした際にリンク関係が壊れ、エラーが発生して先に進めなくなり、2次元よりも効率が低下してしまうこともあり得ます。このあたりについても今後の連載で詳しく紹介したいと思います。

画像はイメージです 画像はイメージです(iStock.com/loraks)

 また、「3.分からない」というのが根本にありますが、設計者以外の部門の人たちにきちんと3次元化するメリット、運用の仕方を共有できず、脱2次元化が進まないことも多くあります。また、設計部門以外の人たちの中にも、これまでの業務の流れが変わることを極端に嫌がる人たちがいるのも事実です。

 3次元化を推進しようとする現場に対し、筆者はよく「3D CADは、電動ドライバーのような道具を導入するのとは違いますよ」と説明しています。電動ドライバーであれば、作業者に渡してすぐに使えるようになるでしょう。これまで手動のドライバーで力を入れてネジを締めていたのが、電動ドライバーの導入により作業が楽になり、効率もすぐに上がるはずです。しかし、3D CADの場合は購入して、すぐに使えるようになるのは難しく、“きちんとした教育”が必要です。

 また、よくあるのが、3次元化されたのが設計部門だけで、他部門は2次元図面のままの運用が継続されているというケースです。これでは設計者の負担が大きくなるだけで、効果的な使い方や運用に至らず、結局、2次元に戻ってしまった……という企業も少なくありません。

3D CADの導入は、ITシステムの導入と同じです!!

 3次元化を進める理由は、経営者的な視点、技術者的な視点、現場的な視点など、さまざまあるので、会社全体で話し合いを持ちながら3次元化に取り組んでいく必要があります。

 例えば、生産管理システムを導入しようとすると、現場や管理部門の人たちが集まってシステムの導入を検討します。それと同様に3D CADも設計者だけではなく、会社全体のプロジェクトとして導入、運用の仕方を検討する必要があります。設計者だけで3次元化に取り組むのは、失敗する原因となりますので注意してください。特に、3次元のプロジェクトリーダーを若手の社員にさせるケースもありますが、若手の社員だと、社内の統率がうまく取れずに社内全体の3次元化に失敗してしまうという場合もありますので十分気を付けてください。

 そして、社内だけではなく、社外との連携の中で3次元化が思うように進まないこともあります。社外と連携して、モノづくりをしていく中で、自社だけが3次元化をし、連携先が2次元のままだと、3次元導入の効果を最大化できません。実際、連携先が2次元図面をデータや紙で渡してくるので、3次元化に取り組めないといったように「周りが2次元だから、うちも2次元のままでよい」という雰囲気になっていることが多くあります。

 しかし、そうした現場であっても、実際に3D CADのデモを見たり、触れたりすることで、そのメリットに気が付くことがあります。もともと「3.分からない」の状況だったため、3次元に興味がなかったので情報収集しておらず、どんなことができるかが分かっていない状況から一変し、3次元の良さが分かるや否や「他がやっていなくても自分たちはやってみよう!」となるのです。実際に、連携先の企業にも3次元の良さを伝え、そこから3次元化が広まっていったという“社内外を巻き込んだ”導入事例もあります。



 さて、今回は「脱2次元できない、3次元化が進まない現場から聞こえる3つの『ない』」について紹介しました。繰り返しお伝えしますが、脱2次元、3次元化が進まない最大の理由は「分からない」ということです。要するに「分からないもの=怖いもの」と拒否反応を起こし、3次元アレルギーになってしまっているのです。この連載を通じ、「分からない」を「分かった」に変えて、3次元アレルギーを治すお手伝いができればと思っています。次回は、「3次元のメリット」について取り上げる予定です。お楽しみに! (次回に続く

筆者プロフィール

小原照記(おばら てるき)

いわてデジタルエンジニア育成センターのセンター長、3次元設計能力検定協会の理事も務める。3D CADを中心とした講習会を小学生から大人まで幅広い世代の人に行い、3Dデータを活用できる人材を増やす活動をしている。また企業の困り事に対し、デジタルツールを使って支援している。人は宝、財産であると考え、時代に対応する、即戦力になれる人財、また、時代を創るプロフェッショナルな人財の育成を目指している。優秀な人財がいるところには、仕事が集まり、人が集まって、より魅力ある街になっていくと考えて地方でもできること、地方だからできることを考えて日々活動している。


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