自動車電動化とスマート工場化で成長目指す三菱電機、新規事業向け組織も新設へ製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

三菱電機は2019年5月20日、2019年度(2020年3月期)の経営戦略および2020年度(2021年3月期)以降の方向性について発表。自動車の電動化、スマートファクトリー化などを切り口に2020年度の売上高5兆円、営業利益率8%の中期目標達成を目指す他、新たに新規事業の受け皿になる横断組織を設立する計画を紹介した。

» 2019年05月21日 09時30分 公開
[三島一孝MONOist]

 三菱電機は2019年5月20日、2019年度(2020年3月期)の経営戦略および2020年度(2021年3月期)以降の方向性について発表。自動車の電動化、スマートファクトリー化などを切り口に2020年度の売上高5兆円、営業利益率8%の中期目標達成を目指す他、新たに新規事業の受け皿になる横断組織を設立する計画を紹介した。

モビリティ、ライフ、インダストリー、インフラの4領域

 三菱電機では経営戦略として、暮らしを示す「ライフ」、生活に必要なものを生み出す「インダストリー」、社会を支える「インフラ」、こららをつなぐ「モビリティ」の4領域に注力し、価値創出を進めていく方針を示している。その中で、2014年度(2015年3月期)から取り組む5カ年の中期目標で2020年度(2021年3月期)に売上高5兆円、営業利益率8%の実現を目指している。

photophoto 三菱電機の2019年度の全社業績見通し(左)とセグメント別業績見通し(右)(クリックで拡大)出典:三菱電機

ソリューションビジネスの展開と新規事業の新組織

photo 三菱電機 執行役社長 杉山武史氏

 三菱電機 執行役社長 杉山武史氏は「4つの事業領域で価値創出を進めていく。従来はハードウェアを中心とした事業活動だったが、モノとコトの両方ができなければ今後のビジネスは難しくなる。事業モデルの変革を進め、グループ内外の力を結集したソリューションの提供に取り組む。さらに、既存の枠組みでは対応が難しい新事業創出のため、新組織を立ち上げる」と今後の取り組みの方向性について語った。

 ソリューション展開としては既存の事業ドメインを組み合わせる形での新たな価値創出に取り組む。三菱電機では「家庭電器」「重電システム」「電子デバイス」「産業メカトロニクス」「情報通信システム」の5つの事業ドメインがあるが、これらの間の領域にある分野の拡大を狙う。具体的には、産業メカトロニクスと情報通信システムを組み合わせた領域として、スマート工場化(e-F@ctory)や自動運転関連システム事業を伸ばす。電子デバイスと産業メカトロニクスの間の領域としては、電気自動車向け電動パワートレイン(最新世代のSi、SiC)を成長させる。

photo 三菱電機の各事業の組み合わせによる成長イメージ(クリックで拡大)出典:三菱電機

 既存領域を組み合わせた取り組みに加え、従来の事業領域に当てはまらない新たな市場創出につなげることを目指して、全社横断の新組織の創出を計画する。杉山氏は「三菱電機は5つのセグメント、10の事業本部で運営しており、事業本部ごとに管轄する常務を置き、事業本部ごとに損益管理をするという体制だ。これにより市場環境が悪くなっても大きなマイナスを生まない運営ができていた。一方で縦割りの状況が生まれ、新しい事業の受け皿がないという弊害も生んでいた。これらを解消する新たな横断組織を作る。既に準備室は立ち上げて準備を進めているところだ」と語る。

 ただ、実際にこの新事業組織がビジネス貢献につながり始めるのは現在進めている中期計画内ではなく、2021年度以降になる見込みである。「新組織は現在の仕組みでは解決できない社会課題の解決を目指す。新たな商流やルートを使うことで新しく生み出せる領域を、新たな役員を配置する体制で開拓する。これを2021年度以降にビジネスに貢献する形に持っていきたい」と杉山氏は新組織の考えについて述べている。

photo 三菱電機の強みとシナジーの方向性(クリックで拡大)出典:三菱電機
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