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» 2019年05月31日 10時00分 公開

製造業IoT:「Office 365」が工場とオフィスをつなぐIoTプラットフォームに

富士ソフトが、業務アプリケーションの「Office 365」をIoTプラットフォームに仕立てた「IoTプラットフォーム on Office 365」の提供を始めた。業務アプリケーションとして製造業の技術者にとってもなじみ深いOffice 365だが、クラウドのAzureと連携することで、製造ラインの可視化や障害対応プロセスの迅速化などに適用できるという。

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IoTシステムとOffice 365をシームレスに連携させる

 マイクロソフトのOffice 365は、Word、Excel、PowerPoint、OneNote、Visioといったオフィスソフトのほか、SharePoint、Microsoft Teams、Yammerなどの情報共有をサブスクリプションで導入、利用できるクラウドサービスとして知られている。

 ただし、一般的にOffice 365は業務系アプリケーションの位置付けにあり、製造業向けのIoT(モノのインターネット)システムとは“別物”と捉えられている。もちろん工場内でも、さまざまな報告書やドキュメントをWordやExcelで作成したり、開発者がVisioを使って設計図や構成図を作成したりといった例はいくらでもある。しかし、IoTシステムとOffice 365を組み合わせることで新しい価値を生み出すという発想は、これまでほとんどなかったのが実情ではないだろうか。

 そんなIoTとOffice 365のシームレスな連携というテーマに正面から取り組んでいるのが独立系SIベンダーの富士ソフトだ。2019年1月21〜23日に開催された「2019 Japan IT Week 関西」において、「IoTプラットフォーム on Office 365」と呼ぶソリューションを披露した。マイクロソフトのOffice 365とAzure上のIoTサービスやデータベースを直結し、工場内のさまざまな設備、機器の稼働データを活用するものだ。

富士ソフト エリア事業本部 インテグレーション&ソリューション部 MSソリューション&クラウドグループ長の井岡照幸氏 富士ソフト エリア事業本部 インテグレーション&ソリューション部 MSソリューション&クラウドグループ長の井岡照幸氏

 同社 エリア事業本部 インテグレーション&ソリューション部 MSソリューション&クラウドグループ長の井岡照幸氏は、さまざまなクラウドサービスやIoTソリューションを製造業に提案する中で、「IoTを実現するためには、どのサービスを使えば良いのか分からない」「IoTは製造現場だけで使うシステムなのか(全社的なメリットはないのか)」「IoTを始めたが、生産性の向上は既にかなりのレベルまで突き詰められており想定の範囲内で、思ったほど効果が出ない」といった声をしばしば受けており、「あと一歩、決め手となるものが足りない」と感じていたという。

 そうした中で着目したのがOffice 365なのである。「これこそ他社のクラウドサービスにはないマイクロソフトだけの差別化ポイントに他なりません。その特長を生かすことでIoTデータをさまざまなシーンに適用し、製造業のワークスタイル変革を実現するため、IoTプラットフォーム on Office 365を立ち上げました」と井岡氏は語る。

「IoTプラットフォーム on Office 365」のイメージ 「IoTプラットフォーム on Office 365」のイメージ

背景にあった新技術分野への取り組みとマイクロソフトとの協業

富士ソフト エリア事業本部 営業統括部 インテグレーション&ソリューション営業部 第1営業グループ長の尼崎信也氏 富士ソフト エリア事業本部 営業統括部 インテグレーション&ソリューション営業部 第1営業グループ長の尼崎信也氏

 なぜ富士ソフトにはIoTプラットフォーム on Office 365のような発想が生まれ、それを具現化することができたのだろうか。その答を読み解くためには、同社の事業戦略全体を俯瞰する必要がある。

 同社 エリア事業本部 営業統括部 インテグレーション&ソリューション営業部 第1営業グループ長の尼崎信也氏は、「もともと自動車や電子機器などの組み込み/制御系テクノロジーを強みとしてきた当社は、金融、製造、流通など業務系ソリューションに幅を広げて事業の2本柱とし、その後プロダクト事業やアウトソーシング事業、グローバル展開など、常に新しい技術トレンドを取り入れながら発展してきました」と、これまでの沿革を紹介する。このビジネス基盤の上で、現在注力しているのが「AIS-CRM(アイスクリーム)」と呼ぶ新技術への取り組みだ。AI、IoT、Security、Cloud、Robot、Mobile/Auto Motiveの頭文字をとったもので、直近の売上高も急成長しており、2019年もこの勢いを保ちながらより付加価値の高いビジネスを展開していくとする。

富士ソフトの新技術への取り組み「AIS-CRM」 富士ソフトの新技術への取り組み「AIS-CRM」

 これと併せて強化してきたのがマイクロソフトとの協業だ。2010年、東京と大阪に「マイクロソフトソリューション&クラウドセンター」を開設したのを皮切りに、Office 365ならびにAzureのサービスメニューを拡充。そして2015年にはMicrosoft Country Partner of the Yearを、2016年にはData Analytics Awardを受賞し、名実ともに国内トップクラスのソリューションパートナーと認定された。

 こうしたAIS-CRMの展開およびマイクロソフトとの協業があわさった延長線上にIoTプラットフォーム on Office 365が登場したわけだ。

 驚くのはそのスピード感だ。「組み込み/制御系と業務系の2つの分野に横串を通す組織を2015年ごろに設立し、全社横断で人的な交流を活発化することにより、IoTプラットフォーム on Office 365の立ち上げを実現することができました。企画に着手したのは2018年11月末のことで、実質2カ月ほどで事業化の体制を整えることができました」と尼崎氏は語る。

IoTプラットフォーム on Office 365の3つのユースケース

富士ソフト エリア事業本部 インテグレーション&ソリューション部 MSソリューション&クラウドグループ 主任の佐野友則氏 富士ソフト エリア事業本部 インテグレーション&ソリューション部 MSソリューション&クラウドグループ 主任の佐野友則氏

 IoTプラットフォーム on Office 365の本質は、IoTをハブとして、モノとヒト、製造現場とオフィス業務を双方向でつなげることにある。「IoTはモノとインターネットをつなげることから始まりますが、そこで得られたIoTデータにヒトやモノをつなげることで、IoTで得られた情報をさらに有効活用することが可能となります」と井岡氏は語る。

 もっとも当然のことながら、単に組み込み/制御系のネットワークと業務系のネットワークを相互接続するだけで、この基本コンセプトを実現できるわけではない。同社 エリア事業本部 インテグレーション&ソリューション部 MSソリューション&クラウドグループ 主任の佐野友則氏は、「クラウド上のデータベースで一元管理された両者のデータをどのような形で可視化するのか、さらにどのようなタスクと連動させていくのかといった橋渡しを行う部分が、IoTプラットフォーム on Office 365の肝となります」と説明する。

 それでは具体的に、IoTプラットフォーム on Office 365を通じてどんなソリューションを提供することを想定しているのか、3つのユースケースを以下に紹介しておきたい。

(1)Visioで製造ラインの可視化

 製造ラインにはさまざまな装置や設備が導入されているが、例えば加工はA社製、組み立てはB社製、塗装はC社製、検査はD社製というように複数のメーカーの製品で構成されているのが一般的だ。こうしたことから、装置や設備ごとにネットワークの通信プロトコル、データのフォーマットが異なるため、全工程を横断しての可視化が困難となるケースがある。

 IoTプラットフォーム on Office 365は、こうした製造現場におけるIoTデータ活用の課題を解決する。それぞれの装置から収集したIoTデータをAzure上のデータベースに集約した後、自動的にデータの整形や粒度の調整を行い、Visio Onlineに受け渡すことで、製造ラインを構成する各設備の稼働状況を一元的に可視化することができる。これにより前後の影響範囲を示しながら、製造ラインに起こっている仕掛在庫の不足や工程ダウンといった問題を迅速に把握することが可能となる。また、遠隔地や異なるシステムで構成されている複数の工程を仮想的に1つのラインとして表示することもできる。物理的な製造ラインやロケーションに関係なく、全ての工程を横断的に可視化できるのだ。

Visio Onlineによる製造ラインの可視化 Visio Onlineによる製造ラインの可視化

(2)SharePointで障害対応プロセスの迅速化

 製造ラインを構成する設備に発生した障害をIoTの仕組みによって検知するシステムが普及しているが、製造現場とオフィスでロケーションが異なるため依然として両者の情報共有が進んでおらず、対応状況の把握が困難となるケースがある。また、“チョコ停”などの障害対応は工場内で情報が留められることも多く、なかなか再発防止につながらないといった課題もあった。

 IoTプラットフォーム on Office 365は、Azure上に集約、一元管理されているIoTデータをSharePoint Onlineで構築された社内ポータルと直結し、異常の発生やラインの停止をアラート表示する。ワークフローを自動起動して障害対応プロセスを可視化するとともに、関係者にタスクをアサインして現場に急行させるなど対処を促すことも可能だ。

 また、この障害対応の結果はAzureにフィードバックされ原因分析を行うなど、今後の再発防止に利用される。さらにオプションとしてAzure Machine Learningを利用することで、各設備の稼働情報を機械学習によって解析し、不具合検知や予知保全など一歩進んだ障害対応プロセスを実現することができる。

SharePoint Onlineによる障害対応プロセスの迅速化 SharePoint Onlineによる障害対応プロセスの迅速化

(3)Teamsでお客様満足度の向上

 「モノからコトへ」というキーワードに象徴されるように、製造業のサービス化が急務となる中で、出荷した製品の迅速な障害対応が重要度を増している。しかし、実際にサポート担当者が障害を解決するまでには、お客様から連絡を受けた営業対応、サポート手配、現地調査など数多くのプロセスを経ねばならず、長時間を要するケースが珍しくない。この状況を放置したままでは、お客様満足度を向上するのは困難だ。

 IoTプラットフォーム on Office 365は、お客様から障害連絡が入る前に、Azure上で一元管理されているIoTデータをTeamsと連携させて障害対応をナビゲーションする。Teams上でお客様ごとの担当営業や担当サポートといったチームを事前に定義しておき、IoTにより異常を検知した際に、このチームに対して障害情報を自動通知する。

 さらに、その障害情報からダイレクトに起動したVisioの画面に、障害が起こった具体的な場所や装置を表示するとともに、過去の類似の障害情報や応例をチャットbotが回答し、速やかな問題解決をサポートするという仕組みだ。また、前項の障害対応プロセスの迅速化と同様に、今回の対応履歴も自動的にAzureにフィードバックされ、今後の障害対応レベルの向上に役立てられる。

Teamsによるお客様満足度の向上 Teamsによるお客様満足度の向上

 IoTプラットフォーム on Office365の価格は、ベース環境構築が150万円からとなっており、お客様のニーズに応じカスタマイズできるようになっている。

新たなOffice 365サービスの追加も検討

 上記に紹介したユースケースのように、同社はIoTプラットフォーム on Office 365を基盤としつつ、企業ごとの個別ニーズを踏まえたカスタマイズにも柔軟に対応し、製造現場とその活動を支えるオフィス業務のさまざまな課題を解決していくとする。

 そうした中で組み込み/制御系と業務系の連携の在り方にも、さらなる拡大が図られていくことになる。「Office 365には多様なサービスが用意されており、現在のIoTプラットフォーム on Office 365ではSharePoint Online、Teams、Visio Onlineと連携するソリューションを用意しています。今後は、個々のお客様に応じたさまざまなテンプレートを拡充したいと考えています」と井岡氏は語る。

 なお、製造現場では両手を常に使える状態にしておかなければならない都合から、ノートPCやタブレット端末、スマートフォンといったモバイル端末を操作するのが難しいケースも多い。そうした事情を考慮し、例えばHoloLensやAIスピーカーなどのウェアラブルデバイスを組み合わせたソリューションの検討も開始したという。

 一方で同社は「IoT in Action」をはじめマイクロソフトの主要イベントに出展し、エンドユーザーへのソリューション紹介やブースでのデモンストレーション展示を行うなど積極的なプロモーション活動にも乗り出している。Office 365という、多くの企業が活用する業務系アプリケーションをIoTプラットフォームに仕立てたIoTプラットフォーム on Office 365の今後の展開拡大は要注目と言えそうだ。

左から、富士ソフトの井岡氏、佐野氏、尼崎氏 左から、富士ソフトの井岡氏、佐野氏、尼崎氏。製造業を中心に、IoTプラットフォーム on Office 365の展開拡大を目指す

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AzureとOffice 365が製造ラインを横断的に可視化、IoTシステムの新たな活用法

IoTによる製造現場改善の取り組みは、次第に頭打ちの状態になりつつある。次なる活用法が模索される中で注目されているのが、Office 365とAzureのIoTシステムを直結することで活用シーンを拡大するプラットフォームだ。


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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2019年6月30日

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IoTによる製造現場改善の取り組みは、次第に頭打ちの状態になりつつある。次なる活用法が模索される中で注目されているのが、Office 365とAzureのIoTシステムを直結することで活用シーンを拡大するプラットフォームだ。