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» 2019年06月05日 09時30分 公開

モノづくり業界転職トレンド(9):「希望退職」の募集があったら、どうすればいい? (1/2)

会社側から退職希望者を募る「希望退職」。突然やってくるこの不測の事態には、どう対応していけばいいのだろうか。希望退職のメリットやデメリット、またそのときに向けた心構えなどについて転職コンサルタントに聞いた。

[杉本恭子,MONOist]

 希望退職者の募集は、突然やってくる。国内の自動車業界では今のところあまり見られないが、他業界や海外でのニュースを目にして「自分がそういう状況になったら、どうしたらいいのか」と考えている方もいるのではないだろうか。

 今回は、希望退職のメリットやデメリット、またそのときに向けた心構えなどについて、自動車業界専門転職サイト「オートモーティブ・ジョブズ」を展開するクイック 人材紹介事業本部 自動車チーム マネージャーの大熊文人氏に聞いた。

クイック 人材紹介事業本部 自動車チーム マネージャーの大熊文人氏 クイック 人材紹介事業本部 自動車チーム マネージャーの大熊文人氏

技術ニーズのシフトや方針転換などが理由

 そもそも、希望退職者の募集はどういう状況で行われるのか。例えばその製品における技術のニーズがシフトした場合や、会社の方針転換や合併などによって組織変革を行うようなときに希望者を募ることが多い。つまり、単に人員を削減するだけでなく、技術を入れ替えるという目的で行われることもあるわけで、おおむね好調な日本の自動車業界においても、大きな変革期であることに着目すれば起こりうることなのだ。

 ではどのように行われるのか。希望退職では、社員全員が対象となることは、まずない。会社から希望退職者の募集が告知されると、対象者には個別に、対象であることを通知されるのが一般的だ。逆に、将来的にその会社が開発していきたい製品や会社が必要とする技術に長けた人材は、会社側から退職しないでほしいと要請される場合もある。希望退職に応募すべきかどうか迷っていた方が、会社からの引き止めによって自分の価値や評価を再認識し、思いとどまるというケースも多いようだ。

その技術が必要な会社もある

 希望退職の最大のメリットは、退職金が上乗せされて支払われることだろう。特別退職金などと呼ばれ、企業によっては数千万円になることもあるという。もう一つのメリットは、失業保険の給付をすぐに受けられること。「企業整備による人員整理などで希望退職者の募集に応じて離職した者など」は「特定理由離職者」とされ、会社都合による離職に相当する。そのため、自己都合による離職に対して設けられている給付制限(3カ月間失業保険を受け取ることができない)がなく、7日間の待期期間後はすぐに受給できる。こういったメリットを生かして、希望退職を機に起業するという人も多い。

 起業はしないとすると、次の職場が決まるという確約がない点はデメリットだ。希望退職は、45歳以上などいわゆるベテランの方が対象となるケースが多く、年齢的にも新たな仕事を見つけられるかどうか不安に思う方が多いのも事実だ。

 一方で、その技術を欲しがっている会社もある。例えばその人たちが持っている技術分野を強化したいと考えている企業や、要素技術を必要としている企業、あるいはベンチャー企業やコンサルティングファームにとっては、一定以上の技術力や知識、経験を持ち、なかなか転職市場には出てこない人たちを採用するチャンスと言える。「ある企業が希望退職者を募っていることを知り『うちで中途採用したい』と相談を受けることは珍しくない」と大熊氏。採用側にとってのリスクである現職からの引き止めがなく、退職日が確定していることも、採用したい企業にはありがたい話なのだ。

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