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» 2019年06月12日 10時00分 公開

人とくるまのテクノロジー展2019:外資系自動車部品メーカーが日本で発表した電動小型トラックは何がスゴいのか

「人とくるまのテクノロジー展2019 横浜」(2019年5月22〜24日)において、ゼット・エフ・ジャパンは商用車向けの電動ドライブと、それを使ったデモトラック開発のプロジェクトを紹介した。同社の日本の研究開発拠点が初めて商用車を扱ったプロジェクトだ。その取り組みの詳細を開発担当者たちに聞いた。

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 外資系自動車部品メーカーの開発体制と聞くと、どのようなイメージを持つだろうか。日本法人では開発拠点を持っておらず、海外にある本社が開発の主体となっている? 日本では技術的なサポートが得られない? 日本のクルマに向けたアピールが弱い? このようなイメージは正確ではない。

 ドイツのメガサプライヤーZF Friedrichshafen AG(以下ZF)と日本法人ゼット・エフ・ジャパン(以下ZFジャパン)は、2015年に「ジャパンテックセンター」という日本における研究開発拠点で電動化技術に関するプロジェクトを開始した。このジャパンテックセンターの役割について、ZFジャパン 研究開発部門E−モビリティドライブライン担当のラフェル・パスカル・デラクルツ氏は「ドイツ本社の製品をスライド資料でプレゼンテーションするだけではありません。日本向けのクルマにどのようにZFの電動化技術を搭載できるか、スライド資料から飛び出して実際の車両で示しています」と話す。

日本がメインマーケットの小型トラックで、電動化にチャレンジ

ZFジャパンのラフェル・パスカル・デラクルツ氏と坂口裕行氏。

 実車で電動化技術を提案する取り組みの対象は、乗用車だけでなく商用車にも広がっている。2019年5月22〜24日に開催された「人とくるまのテクノロジー展2019 横浜」でZFジャパンは、商用車向けの電動ドライブ「CeTrax lite(セトラックス・ライト)」を展示するとともに、車両総重量5tの小型トラックにセトラックス・ライトを搭載した電気自動車(EV)のデモトラック開発のプロジェクトを紹介した。

 商用車の中にさまざまなセグメントがある中で、デモトラックのベース車両に小型トラックを選んだことからは、ZFジャパンが日本市場を強く意識している様子が伺える。小型トラックの主な市場は日本や東南アジアであり、ZF本社のある欧州では小型トラックよりも大型トラックが広く利用されているからだ。また、セトラックス・ライトも小型トラック専用ではなく、車両総重量7.5tまでの商用車をターゲットとした製品だった。

 ZFは幅広いセグメントに向けた電動化のポートフォリオを持つが、小型トラックの電動化については、ZFジャパンのテックセンターが先行開発部隊となり、ZF本社とも連携しながら取り組んだ。日本での使われ方や台数規模の大きさを踏まえ、ZFジャパンは小型トラックを電動化するメリットが大きいと見込んだのだ。

ZFジャパンのテックセンターで開発したデモトラック。坂道も登る。

 日本で小型トラックが活躍するのは、コンビニエンスストアや自動販売機、宅配といった小口輸送や、塵芥車など決まったルートを走る用途である。住宅地での走行が多いため、静粛性が重視される。また、配送先同士の距離の短さや都市部の交通事情から頻繁なストップ&ゴーの繰り返しとなる上、小型トラックのユーザーである物流事業者は燃料コストにシビアだ。

 ZFジャパンが電動小型トラックの提案を強化する理由はこれだけではない。近年商用車メーカーはCO2排出量低減をグローバルで強く迫られている。このため、台数規模が大きい小型トラックの電動化は喫緊の課題となっているのだ。

既存のシャシーを残しながら電動化

 セトラックス・ライトを搭載した電動小型トラックは、ベース車両に大きな変更を加えていないことが特徴だ。商用車メーカーはEV専用のシャシーを設計することなく、既存の駆動系のレイアウトを生かしながら電動化することができる。また、車両のレイアウトが電動化によって大きく変わらないということは、荷物の積み方など使い勝手を重視するトラックユーザーにとっても歓迎される。

 既存のレイアウトを生かせるのは、セトラックス・ライトのコンパクトさによるところが大きい。ZFジャパン E-モビリティドライブライン担当の坂口裕行氏は「セトラックス・ライトのベースは乗用車向けの電動ドライブで、機械特性を向上させることで商用車向けに定格出力をアップしている」と説明。また、総重量は120kgと軽量で、モーターに減速機、インバーター、冷却機構を一体化しているため搭載性が高い。さらに、ベースが乗用車向けと共通のため、信頼性確保とコスト低減が図られている。

セトラックス・ライト。小型軽量化を図りながら、インバーターや冷却機構などを一体化した。

 ZFジャパンのテックセンターが開発した電動小型トラックは、小型トラックとして十分な実用性の運転性能を確保するとともに、アクセルペダルのオンオフで加減速や停止が可能になるという“EVならではの運転しやすさ”もある。運転負荷を軽減することは、ドライバー確保が課題となっている物流業界にとって魅力の一つとなりそうだ。

 ZFが商用車向けのトランスミッションを手掛けていることも強みとなる。整備工場がメンテナンスする際の整備性に関するノウハウもあるため、電動小型トラックを市場に出した後の技術的なフォローアップも可能だ。

 この電動小型トラックは、ZFジャパンのテックセンターにとって初めて商用車を扱ったプロジェクトとなった。テックセンターには、駆動系や電動化、車両システム開発などさまざまな分野でエンジニアが所属しているが、商用車の電動化を自ら手掛けるような開発の経験はなかった。「今回のデモトラック開発を通して、自動車の電動化に関する経験値がさらに上がりました。フレキシブルな対応を行うことや、新しいことへの挑戦は収穫です。日本国内の商用車メーカーとの会話やサポートができる体制が整っています」(パスカル氏)。

 車両の電動化は、“Next Generation Mobility”戦略を掲げ次世代のモビリティを作り出すことを目指すZFのコア技術の1つであり、車両の動作制御や運転の自動化、統合安全と並ぶ重要な分野となっている。「ZF electrifies everything」という方針で乗用車や商用車、産業機器などさまざまな製品の電動化を推し進めるZFだが、グローバルで取り組む電動化戦略の中でも日本市場は重要な位置付けにある。ジャパンテックセンターはその裏付けであり、ZF創業のきっかけとなった飛行船「ツェッペリン」から続くイノベーション精神も根付いている。

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提供:ゼット・エフ・ジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2019年7月11日