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» 2019年06月25日 11時00分 公開

サービスロボット:屋内の地図は天井にアリ? LiDARを5つ搭載するパナソニックの自律搬送ロボの安全性 (3/3)

[三島一孝,MONOist]
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システムとしての安全性と快適性

 「HOSPI」の特徴は、これらのハードウェアとしてのものに加え、システムとして二重、三重の安全性を確保している点が挙げられる。

 例えば、階段などでロボットが落下するということを考えた場合、まず地図情報で危険エリアを設定し、そこを回避するようにする。さらに、もしその危険エリアの周辺に行った場合も両肩および前方の上下方向のLiDARにより床面の有無を把握し、床面のない領域には進まないようにしている。

 さらに、階段など危険エリアに可視光LED照明を設置し、そのLED照明が独自の信号を発信。それを「HOSPI」が可視光LED用センサーで把握することで、「HOSPI」が「この先は危険エリアだ」と認識できるようにしている。

 酒井氏は「三重の安全システムを採用することで7年間無事故を実現している」と自信を見せている。

photo 「HOSPI」の頭頂部に設置された可視光LED用センサー(クリックで拡大)

 「HOSPI」新製品の開発に取り組んだPPE 新規事業センター ロボティクス事業推進室 ロボット事業課 主任技師の加藤宏太氏は「PPEが本来取り組んできた工場などでの自律搬送車の使用では、工場作業者の運用面でルールを決めて導入することができた。ただ、病院などは一般の使用者が数多くいる状況で、完璧なルール運用は不可能である。そのため、基本的にはロボット側でこうした不規則な状況に対応していくということが前提である。ロボット側で周辺の環境を間違いなく把握できる状況にした上で、周辺のインフラシステムとの連携を行うことで価値を創出できる」と「HOSPI」の開発の方向性について述べている。

 実際にインフラシステムとの連携としては、先述した可視光LED照明との連携や天井の照明配置の認識などの他、自動ドアの使用やエレベーターの使用などを実現しているという。

photo 「HOSPI」のシステム構成図(クリックで拡大)出典:パナソニック

病院以外の用途に拡大

 現状の導入価格は「HOSPI」1台と充電器で1300万円程度だとしており、さらにシステム構築費用やネットワーク費用が必要で、決して安い製品ではない。しかし「人手不足で苦しむ病院も多く、付加価値がない領域では人手をできるだけ使いたくないという機運も高まってきている。引き合いは強い」と内山氏は述べている。

 新製品のサイネージモデルは新たに病院以外での導入を進めていく他、より多くのものを運べるカーゴモデルを現在開発中だという。内山氏は「ロボットを受け入れられる世の中ができつつあるように感じている。自律移動ロボットを自然な形でより多くの場面で活用できるようにすることで、少しでも便利で快適な社会を実現していきたい」と今後の取り組みについて語っている。

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