特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2019年06月26日 10時00分 公開

IoT基礎解説:いまさら聞けないeSIM入門 (4/4)

[松下享平(ソラコム),MONOist]
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チップ型SIMを活用した製品を作るためには何が必要なのか

 ここまではチップ型SIMの技術面におけるメリットを解説しました。いざ、自社製品にチップ型SIMを組み込む場合に知っておきたい知識や検討しておくべき事柄を解説します。

チップ型SIMの実装

 チップ型SIMの実装については、ベンダーよりデータシートを入手するのが確実です。ソラコムが取り扱っているチップ型SIMは「ETSI TS 102.671」に準拠しており、データシートも公開しています。作業については、カード型SIMコネクターモジュールと同じ要領で表面実装することになるため、同モジュールが実装経験であれば実装できるでしょう。

 電気的特性は、SIMコネクターモジュール+カード型SIMと等価となります。また、SIMのアクティベーションについてもカード型SIMと同じです。そのため、新規の製品だけでなく、カード型SIMで実装済みの製品をチップ型SIMに切り替えることも可能です※)

※)チップ型SIMへ切り替え検討時には、フットプリントと特にピンアサインを確認するようにしてください

 チップ型SIMの実装レファレンスは「Wio 3G SORACOM Edition」が参考になります。

カード型SIM用スロットとチップ型SIMの実装のサイズ比較 同一サイズの基板(左:Wio LTE JP Version、右:Wio 3G SORACOM Edition)におけるカード型SIM用スロットとチップ型SIMの実装のサイズ比較

チップ型SIMの調達や生産での取り扱い

 チップ型SIMの調達(購買)ですが、主に通信キャリアを通じて行うことになります。この辺りはカード型のSIMの調達と同じと言えます。

 一方、生産の視点から見ると、チップ型SIMは、他の部品同様に半導体部品として扱うことになりますが、ここで注意したいのがOEM/ODM生産を委託する場合です。通信キャリアからの調達の場合、カード型SIMと同様にSIMの契約や接続情報は調達者にひも付くことになるため、委託元が一括でチップ型SIMを調達して委託先へ部品として供給するのが一般的となります。OEM/ODM先によっては、先方での直接購買のみとしている場合もありますので、生産委託先の選定には必ず確認しておきたい内容です。

 また、生産委託先が海外の場合は調達者が輸出することになりますが、手続きは調達者自身で行うことがほとんどですので、そのプロセスも確認しておく必要があります。特に輸出に関する法律「輸出貿易管理令」に基づいた書面である「該非判定書」(パラメータシートとも呼ばれる)は、チップ型SIMの販売者から入手できるため、輸出することが分かっている場合はあらかじめ問い合わせておくことをお薦めします。

 実際の調達や生産に関しては、購買部門、生産部門、加えて法務部門と連携しながら進めていくことになりますので、特に量産する場合においては早めに情報連携しておくと良いでしょう。

試作用のチップ型SIM

 チップ型SIMの調達は3000pcs(個)/リールといった単位となり、量産向けです。一方、試作をしたい場合はチップ型SIMの販売元に試作用の製品を供給してもらうという方法があります。なお、ソラコムでは10pcs(個)/シートという試作向けのチップ型SIMパッケージも用意しており、チップ型SIMの試作に取り組みやすい環境を提供しています。

おわりに

 eSIM、そしてチップ型SIMは「モノとインターネットが一体化した新世代の製品」をけん引する主要なモジュールとして、これからより重要性が増すことは間違いありません。

 本稿では特に、eSIMにおける概要、そしてeSIMの実装形態の1つであるチップ型SIMにフォーカスを当てて、実際の活用方法について解説してきました。読者の皆さんに、IoT時代の製品開発に向けてeSIMやチップ型SIMを活用する一助になればと思います。

筆者の松下氏が新世代の製品づくりについて講演します!【参加費無料】

 本稿の筆者である松下享平氏が、ソラコムのユーザーイベント「SORACOM Discovery 2019」で「モノづくりのルールが変わる!ハードウェアを継続的に成長させるプロダクト開発で知っておきたい技術」と題した講演を行います。同イベントの参加費は無料です!

講演日時:2019年7月2日(火)15:20〜16:00

場所:グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール

講演タイトル:モノづくりのルールが変わる!ハードウェアを継続的に成長させるプロダクト開発で知っておきたい技術

申込Webサイトhttps://www.discovery2019.soracom.jp/g3

参考文献

リモートSIMプロビジョニング技術の最新動向」(鶴沢宗文、2016年、ITUジャーナル2016年10月号)

チップ型 SIM (eSIM) アップデートや調達、実装のよくあるご質問」(ソラコムWebサイト、2019年5月)

eSIM オーバービュー」(SlideShare、2019年5月)

「公式ガイドブック SORACOMプラットフォーム」(ソラコム、2019年、日経BP)

プロフィール

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松下 享平(まつした こうへい) テクノロジー・エバンジェリスト 事業開発マネージャー

株式会社ソラコムの事業開発マネージャーとして主にデバイスの企画を担当しながら、エバンジェリストとして、SORACOMサービスを企業・開発者により理解、活用していただくための講演活動を担当。前職はぷらっとホーム株式会社にてIoTソリューションを担当。サブギガ/BLEを用いたIoTシステム構築等、先駆的なIoT導入事例に関わる。

IoT通信プラットフォームSORACOM
https://soracom.jp

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