デジタルツインを実現するCAEの真価
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» 2019年07月03日 10時30分 公開

CAEニュース:機械学習処理を活用したJAXA開発の国産解析技術をヴァイナスが商用化

ヴァイナスは、機械学習処理による固有直交分解(POD)、動的モード分解(DMD)システム「FBasis V1」の国内リリースを2019年7月4日から開始すると発表した。

[八木沢篤,MONOist]

 ヴァイナスは2019年7月3日、機械学習処理による固有直交分解(POD)/動的モード分解(DMD)システム「FBasis V1」の国内リリースを同年7月4日から開始すると発表した。販売価格(税別)は、年間ライセンスが96万円(保守サービス料金込み)、永久ライセンスが220万円(初年度は保守サービス料金込みで、次年度以降は年間36万円の保守費用がかかる)となる。

 近年、流体解析(CFD)は、高度な解析の実現を目的に膨大なデータを扱う大規模解析が日常的に行われている。しかし、無数の解析結果から設計に役立つ有益な情報を抽出することが難しく、解析専任者の経験やノウハウに頼った運用が行われているのが実情である。FBasis V1はこうした課題を解決するもので、機械学習処理により大規模で複雑な流れから特徴的な構造を自動抽出し、分析およびグラフ化を行うことで、設計開発業務を支援する。

JAXAが開発した「FBasis」を製造業向けにブラッシュアップ

回収機能付加型HTV(HTV-R)構想のカプセル再突入イメージ図 回収機能付加型HTV(HTV-R)構想のカプセル再突入イメージ図(提供:JAXA)

 FBasis V1のベースとなる「FBasis」は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した国産技術であり、これまでそのメカニズムが明確化されてこなかった大気圏再突入カプセル周りの流体構造の解明に貢献した解析手法として知られる。従来技術であるPOD、DMDで特徴的構造を抽出した後、機械学習処理で重要モードを自動選択し、大規模で複雑な非定常データから流れを支配する重要な特徴構造を抽出できることがFBasisの最大の特長となる。

 JAXAが開発したこのFBasisをベースに、ヴァイナスが製造業の製品開発および設計部門向けに商用化を行ったものがFBasis V1である。具体的にヴァイナスは、解析準備作業を支援するためのGUI、結果のグラフ表示機能、省メモリ化/高速処理化、汎用ソルバー対応(ANSYS Fluent、ANSYS CFX、HELYX、OpenFOAM、SCRYU/Tetra、STAR-CCM+ 他)など、使い勝手の向上や商用ツールとして必要な機能をFBasisに盛り込み、FBasis V1として製品化した。

重要DMDモードが及ぼす空気力について 重要DMDモードが及ぼす空気力について(提供:JAXA)

 ヴァイナスはFBasis V1のリリースに伴い、トレーニング(半日コース)とコンサルティングサポート体制を強化し、自動車、重工業、機械メーカーなどをメインターゲットに、初年度約50ライセンスの販売を目指すという。

 「まずは国内から販売を開始するが、近い将来、世界に誇る国産技術としてグローバル展開する計画である。また“V1”とバージョン番号が振ってある通り、JAXA側とも協力しながら継続して機能強化や使い勝手の向上を図っていく。FBasis V1の提供を通じて、国内製造業の競争力強化に貢献していきたい」(同社)。

解析準備GUIのイメージ 解析準備GUIのイメージ(提供:ヴァイナス)

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