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» 2019年07月11日 10時00分 公開

産業用ネットワーク:EtherCAT(R)で装置内部をつなげるために、より高精度な制御には何が必要か

ボードコンピュータや組込みコンピュータで高い実績を持つPFUが、高速でオープンな産業用ネットワークとして注目されているEtherCAT対応カードをはじめとする産業用ネットワーク関連製品のラインナップを拡充している。より高精度な制御が可能な機能やアプリケーション開発の容易さに加えて、同社の顧客に対する独自のアプローチも大きな特長になっている。

[PR/MONOist]
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 工場をはじめとしたモノづくりの現場で、より高速でオープンな産業用ネットワーク規格が求められるようになっている。その代表となるのが「EtherCAT(R)(イーサキャット)」だ。EtherCATは、Ethernet(イーサネット)と互換性のあるオープンなフィールドネットワークであり、数年前に大手自動車メーカーなどが採用を表明してから認知度が高まっており、EtherCATにつながる対応製品のラインナップも充実しつつある。

 フィールドネットワークと言うと、工場の生産ライン内の装置や機器の間をつなげる用途で使うものというイメージもあるが、EthernetをベースとするEtherCATの画期的なメカニズムがもたらす飛び抜けた高速性と応答性は、半導体製造装置メーカーや工作機械メーカー、産業用ロボットメーカーなどの産業用製造装置各社が、装置内部をつなげる用途で早くからその存在に注目していた。従来、これらの装置メーカーは、独自のプロトコルを用いて内部をつなげていたが、これをEtherCATに置き換えることで、クリティカルな応答性能と高精度の同期性能などが得られるからだ。そうした特長への認識が広がることで、EtherCATの需要は装置や機器間だけでなく装置内にも拡大しつつある。

EtherCAT(R)の新たな需要に対応するPFU

 このようにEtherCATの装置内への活用が注目される中で、ボードコンピュータや組込みコンピュータで高い実績を持つPFUが、EtherCATカードをはじめとする産業用ネットワーク関連製品のラインナップを拡充しており、関連需要の獲得を目指している。

PFUの田中恵介氏 PFU エンベデッドプロダクト事業部 第一技術部 プロジェクトマネージャの田中恵介氏

 この狙いについて、PFU エンベデッドプロダクト事業部 第一技術部 プロジェクトマネージャの田中恵介氏は「これまで装置内の制御に独自のプロトコルを用いてきた装置メーカーにとって、高度化、複雑化する市場の要求に対応、そして他社優位性を確保するため、今以上に組み込むセンサーの数を増やしたり、モーターの高速化を図るなどの開発には大変な労力と時間が必要になります。ここで役立つのが、生産ライン内で採用が広がりつつあるEtherCAT対応のセンサーやモーターです。以前と比べてこれらEtherCAT対応部品のラインナップが充実しているとともに、装置メーカーの求める仕様を満たすようになっています。そこで、独自のプロトコルからEtherCATによる制御に置き換えることで、内部をつなぐ多数のワイヤハーネスを高速通信が可能なEthernetケーブルに統合することができ、開発時間の短縮や低コスト化も図れるわけです。当社の組込みコンピュータとEtherCATカードは、この需要に応えるものになっています」と説明する。

 実際に、大型の工作機械や半導体製造装置では、独自のプロトコルに基づくレガシーなインタフェースで内部をつなげていたが、それらを統合するためにEtherCATを採用し、省配線化や省スペース化などの効果を上げている。また、EtherCATには、制御を行うマスタと、センサーやモーターなど制御される側のスレーブとの間で時刻同期を行えるDC(Distributed Clocks)機能をはじめ、さまざまな機能を備えていることから今後も需要の拡大が予想されている。

3つの特長を持つEtherCAT(R)カード

 PFUは、インテル製CPUを搭載するコンピュータの開発・製造で35年、組込みコンピュータでも20年余りの歴史を持ち、組込みベンダーとして老舗である。そんな同社が2016年ごろから注力しているのが、これらコンピュータの価値を高める「エッジコンピューティング」に関わる製品展開だ。

 田中氏は「当社には、エッジコンピューティングの推進に役立つ付加価値製品群が3つあります。1つ目は、組込みコンピュータを効率よく利用するための仮想化ソフトウェアで、2つ目は、組込みコンピュータを安心して使ってもらうためのRAIDやセキュリティ製品です。そして3つ目が、生産工程の自動化や効率化を目的としたEtherCATカードをはじめとする産業用ネットワーク関連製品です」と述べる。

 これらのうち産業用ネットワーク関連製品の第1弾として市場投入したのが、2016年10月に発売した、組込みコンピュータのフィールドネットワーク機能を強化するEtherCATカードだ。PFUのEtherCATカードには3つの大きな特長がある。

PFUの朝倉辰伸氏 PFU エンベデッドプロダクト事業部 第一技術部 朝倉辰伸氏

 1つ目は、EtherCAT制御を行うための専用チップをカード側に搭載していることだ。「一般的なEtherCATはソフトウェアスタックを用いるので、組込みコンピュータ本体のCPUに一定以上の負荷が掛かります。この場合、状況によっては通信精度に不安がありますが、当社のEtherCATカードを使えば、本体CPUの負荷を大幅に削減できます」(PFU エンベデッドプロダクト事業部 第一技術部 朝倉辰伸氏)という。

 2つ目は、PFUが自社設計、自社製造することによる、安定品質と長期供給・保守の実現だ。朝倉氏は「組込みコンピュータやその関連製品の供給、保守期間は5年といわれています。当社も基本は5年ですが、顧客のご要望に合わせて、より長期の供給・保守に対応できる体制を整えています」と強調する。

 3つ目は、EtherCATで機器制御を行うためのアプリケーションを効率的に開発するためのSDK(ソフトウェア開発キット)の提供である。このSDKには、EtherCATのドライバソフトウェア、制御ライブラリ、サンプルアプリケーション、ライブラリ関数のインタフェースについて詳細に記載したユーザーズガイドなどが含まれる。「アプリケーション内でEtherCATを制御する場合、基本的にSDKのライブラリ関数を呼び出すだけで可能になります。例えば、あるスレーブ側機器と通信を行いたいのであれば3つの関数を呼び出すだけで済みます。EtherCATの制御を試すだけならサンプルアプリケーションで行えますし、そのソースファイルもSDKに同梱しているので、関数の呼び出し方の参考として、顧客独自のアプリケーションの開発にも活用いただけます」(朝倉氏)。

EtherCATカード AI400シリーズ EtherCATカード(マスタ/スレーブ)

 これらに加えて、PFUがハードウェアを自社設計、自社製造していること、OSや関連ソフトウェアも手掛けていることから、顧客が求めるさまざまなカスタマイズに対応できる柔軟性も大きな特長になっている。

EtherCAT(R)をできるだけスムーズに導入できるように

 産業用ネットワーク関連製品として2018年9月に小型組込みコンピュータにEtherCATカードを搭載したAR2100/AR2200 EtherCATセットモデルを発売。朝倉氏は「EtherCATをできるだけスムーズに導入していただくことを目指したセットモデルになります。省スペースの組込みコンピュータであるAR2100/AR2200に、WindowsやLinuxなどのOS、EtherCAT制御のためのドライバソフトウェアやサンプルアプリケーションなど全てを組み込んだ状態でご提供します」と述べる。

 またセットモデルに採用されているAR2100/AR2200は、顧客の装置や工作機械の内部に組み込むことに適した、設置場所を選ばないコンパクトなボディに、インテル製の最新プロセッサと豊富なインタフェースを搭載する。高信頼性や耐環境性、省スペース、静音性、保守性など、組込みコンピュータに求められる条件も高次元でクリアしている。PFUのEtherCATカードを搭載することにより、オープンで高速なフィールドネットワークに対応した産業用IoTコントローラーとなる。なお、Linuxについての対応OSはUbuntuとしているが「CentOSなど一般的に使われているディストリビューションであればサポート可能です」(朝倉氏)と、ここでも顧客の導入のハードルを下げるPFUの姿勢がうかがえる。

EtherCATのスムーズな導入が可能に 組込みコンピュータに、EtherCATカード、OS、SDK、関連ソフトウェアを組み込んだ状態で提供することでEtherCATのスムーズな導入が可能になる

次世代技術であるTSNへの対応も見据える

 田中氏は、PFUの今後の取り組みとして「さまざまなものがネットワークを介してさらにつながることが予想される中で、特性の違うネットワークがつながった場合に誤動作が起こりやすくなることが予想されます。それに対応するため、次世代技術として注目されているTSN(Time-Sensitive Networking)などを取り入れることを検討していきたい」と語る。TSNは、標準のイーサネットを拡張して、産業用ネットワークとIT用ネットワークをシームレスに統合するネットワーク技術であり、さまざまなメリットをもたらすといわれている。

 また、EtherCATなどの産業用ネットワークが、センサーなどからさまざまなデータを収集できるという特性を生かして、これらの収集したデータの活用にも取り組む方針である。PFUは、エッジコンピューティングへの注力の一環として、組込みコンピュータでも高速に深層学習(ディープラーニング)を行えるようにするDeep Learningアクセラレータカードを提供している。同カードは、エッジ側で深層学習に基づく推論アルゴリズムを効率良く実行させるための、低消費電力、高性能が特長で、EtherCATカードと同様に組込みコンピュータのCPU負荷低減が可能だ。

Deep Learningアクセラレータカード AI400シリーズ Deep Learningアクセラレータカード

「PFUスタイル」による顧客へのアプローチ

 一方で、エッジコンピューティングへの注力や製品ラインナップの拡充以上に、PFUが重視しているのが顧客に対する独自のアプローチだ。田中氏は「当社は、顧客に組込みコンピュータやEtherCATカードなどの製品を提供するだけの売り切りスタイルのアプローチは取っていません。顧客から購入の要望があれば、まず無償貸し出しによって当社製品の特長を実感できる形を取っています。その後、使いこなしや特殊要件などの情報交換を顧客と行い、その上で、カスタム提案も含め、顧客に最適なソリューションを提案するようにしています」と語る。また、こうしたアプローチは、顧客の意見を聞けることによって、市場の多様なニーズの把握にもつながるというメリットもある。

朝倉辰伸氏と田中恵介氏 朝倉辰伸氏(左)と田中恵介氏(右)。EtherCATカードをはじめとするPFUの産業用ネットワーク関連製品を「PFUスタイル」による顧客へのアプローチで訴求していく構え

ET & IoT Technology 2019にエンベデッド各種製品を展示

 PFUは、組込みの先進技術が集まる総合技術展「ET & IoT Technology 2019」(2019年11月20日〜22日・パシフィコ横浜)に例年通り出展する。会場では、産業用ネットワークの装置内部設計への活用について、組込み開発に精通したエンジニアがデモンストレーションを交えて紹介する。また、インテルプロセッサ搭載のコントローラに高い実績を持ち、これまでも専任技術者によるBIOSカスタマイズ、各種I/Oのドライバ開発などお客様が自社の開発資産を活かせるよう国産メーカーならではの取り組みを行ってきたが、今後は、より一層ソフトウェアでの付加価値提供を強化していく。

・EtherCAT(R)は、ドイツBeckhoff Automation GmbHによりライセンスされた特許取得済み技術であり登録商標です。

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提供:株式会社PFU
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2019年11月28日