「つながるクルマ」が変えるモビリティの未来像
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» 2019年07月22日 06時00分 公開

和田憲一郎の電動化新時代!(34):真にデジタル化しなければ、モビリティは生き残れない! (1/4)

最近、筆者が若干勘違いしていたことがあった。デジタル化とビッグデータ化である。どちらかといえば、アナログに対するデジタルのように、ビッグデータは単にデータを集積したものという理解だった。しかし、最近、幾つかの訪問や体験を通して、デジタル化やビッグデータ化がこれまでとは全く違った局面を迎えているのではないかと考えた。その結果、移動手段であるモビリティは将来デジタル化しないと生き残れないと思ったのである。なぜこのような考えに至ったのか、今回述べてみたい。

[和田憲一郎(日本電動化研究所 代表取締役),MONOist]

 最近、筆者が若干勘違いしていたことがあった。デジタル化とビッグデータ化である。どちらかといえば、アナログに対するデジタルのように、ビッグデータは単にデータを集積したものという理解だった。しかし、最近、幾つかの訪問や体験を通して、デジタル化やビッグデータ化がこれまでとは全く違った局面を迎えているのではないかと考えた。その結果、移動手段であるモビリティは将来デジタル化しないと生き残れないと思ったのである。なぜこのような考えに至ったのか、今回述べてみたい。

まるで「燃えよドラゴン」の要塞の島!

 いきなり古い映画の話で恐縮だが、1973年に世界で大ヒットしたカンフー映画を思い出した。ご存じない方のために少し紹介すると、主演のブルース・リーが国際情報局から依頼され、犯罪組織の拠点となっていることが疑われる島で3年に1度開催される武術トーナメント参加する物語である。首謀のミスター・ハンが支配し、完全要塞(ようさい)化されている島にブルース・リーがたった1人で乗り込んで試合に挑み、すさまじいカンフーの格闘シーンを繰り広げて話題をさらった。

 中国貴州省の山奥でIT企業のテンセントが建設中のデータセンターを訪れた時、この要塞の島を思い出した。厳重な警備とともに、中腹にコンクリートの要塞風の見張り場所も建設していた。テンセントや、その隣にデータセンターを建設中のファーウェイは、山の中腹に多数のトンネルを掘り、その中に数万台のサーバを設置しようと計画している。

 なぜ貴州省にデータセンターが集まっているかと言えば、貴州省は高原地帯のため、夏冬通して涼しく安定していること、山岳地帯で水が豊富なこと、カルスト地形で地震が少ないことなど数多くの地理的利点が挙げられる。データセンターにとって重要な要素である空調のためのエネルギーは不要で、ファンによる送風だけで冷却している。

 筆者の考えていたデータセンターは、日本でも時々見かけるが、四角い箱型の建物でほとんど窓はなく、外観からは何の建物か分からない。サーバなどから出る熱を抑えるため、空調にかなり電力を消費してしまうようだ。初めから安定した冷涼な気候の立地を選ぶという従来とは異なる大胆な構想と、山の中腹にトンネルまで掘ってしまう実現方法に驚かされた。

図1:建設中のテンセント向けデータセンター(クリックして拡大) 出典:日本電動化研究所
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