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» 2019年07月24日 06時30分 公開

車載情報機器:アルプスアルパインがブロックチェーン活用を強化、フリービットと業務提携

アルプスアルパインとフリービットは2019年7月23日、東京都内で会見を開き、ブロックチェーン技術の活用について包括的業務提携を結んだと発表した。安全なデジタルキーの共同開発、車両情報や走行データのセキュアな管理を実現するITインフラの構築などで協力する。

[齊藤由希,MONOist]
アルプスアルパインとフリービットと共同開発したデジタルキー(クリックして拡大)

 アルプスアルパインとフリービットは2019年7月23日、東京都内で会見を開き、ブロックチェーン技術の活用について包括的業務提携を結んだと発表した。安全なデジタルキーの共同開発、車両情報や走行データのセキュアな管理を実現するITインフラの構築などで協力する。

 これにより、アルプスアルパインは車内だけでなくクルマに乗る前や後もシームレスな体験を提供するコネクテッドサービスの事業化を加速させる。フリービットは、ナビゲーションシステムや車内向けエンターテインメント、自動車のカギなどをサービスとして提供することをサポートする。

 両社は7年前から取引関係があり、CASE(コネクテッド化、自動運転、シェアリング、電動化)に対応して連携拡大が必要だと判断し、業務提携を結んだ。コネクテッドサービスに焦点を当てた協業の例は2019年1月に発表したデジタルキーが第1弾だという。アルプスアルパインはフリービットの株式10.1%を持っているが、今回の包括的業務提携を受けた出資拡大は予定していない。

 デジタルキーの仕様は業界団体CCC(Car Connectivity Consortium)が策定を進めているが、その仕組みのうち、権限情報の追加や削除、修正をイーサリアムに置き換える。解錠や施錠といった車両に対するリクエストを署名つきで送信、クルマはクライアントの署名を検証し、権限所持者であることを認証してリクエストを実行する。クルマの持ち主や、オーナーから借りた人の権限は、イーサリアムのウォレットアドレスや署名検証用公開鍵と紐付けて保存する。

フリービットの石田宏樹氏(左)。デジタルキーを維持する上でブロックチェーンにメリット(右)(クリックして拡大)

 フリービット 代表取締役会長の石田宏樹氏は「クルマや家など、大切で高価なものは物理的なカギとセットだ。ただ、複数のカギを持つことや、盗難や紛失への備え、カギの貸し借りなどで不便なことが多い。これを便利にしながら守るための手段が、スマートフォンとブロックチェーンだ」と説明。

 ブロックチェーンを用いることで、クラウドやオンプレミスと比べて全システムコストが大幅に抑えられることを強調。また、クルマが転売された後もデジタルキーのサービスを継続する上では、自動車メーカーがクラウドやオンプレミスを維持するよりも、ブロックチェーンを使う方が現実的だと語った。

 フリービットはグループ会社を通じてスマートホームなどにもブロックチェーンを使ったデジタルキーを展開していく。

インターネットインフラログシステム「The Log」の概要(クリックして拡大)

 ブロックチェーンを使った仮想通貨では情報漏洩が問題として挙がる。この対策として、アルプスアルパインとフリービットはインターネットインフラログシステム「The Log」を採用する。これは、サーバやインターネットといったオフチェーンのインフラシステムのログ情報を分散型のファイルシステムに格納し、そのデータの参照に必要な鍵情報のみをブロックチェーンに連携させるというものだ。攻撃者はログを消去したり改ざんしたりすることで不正アクセスの形跡を消そうとするが、ブロックチェーンであれば改ざんの履歴が残るため、攻撃を発見しやすい。

 データの暗号化やブロックチェーンへの書き込みに必要な鍵情報は、暗号モジュールに関する米国連邦情報処理規格FIPS(Federal Information Processing Standards)140-2のレベル3に準拠したハードウェアセキュリティモジュールで管理するという。

 アルプスアルパインでは、収集した走行データや事故の履歴などのデータ管理にThe Logを採用。具体的には、Amazon Web Services(AWS)上のログとThe Logを連携させ、車載端末が取得している位置情報を記録する。

アルプスアルパインの米谷信彦氏(クリックして拡大)

 アルプスアルパイン 代表取締役副社長執行役員 統合シナジー担当兼アルパインカンパニー長の米谷信彦氏は自動車のコネクテッド化をめぐる市場環境について「スマートフォン1つあればいいというビジネスが普及することにより、既存のハードウェアのビジネスの必要性が下がっていく。“箱”さえあれば、中身はエッジ側ではなくクラウドにあってもいいという方向に変わりつつある。その中で、スマートフォンとクルマのエコシステムをどのように共存させるかが課題になる」と語った。

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