顧客とイノベーション実現に取り組む、BASFが横浜にクリエーションセンターを新設材料技術

BASFジャパンは2019年8月1日、同社製品を用いて顧客のイノベーション創出を支援する「クリエーションセンター」を、同社横浜イノベーションセンター(横浜市)内に開設した。

» 2019年08月07日 06時30分 公開
[松本貴志MONOist]

 BASFジャパンは2019年8月1日、同社製品を用いて顧客のイノベーション創出を支援する「クリエーションセンター」を、同社横浜イノベーションセンター(横浜市)内に開設した。顧客と同社製品をつなぐ接点としての機能を持ち、製品アイデアの共同立案からモックアップの作成、設計解析支援などのサービスを提供する。同日、報道陣にセンター内部を公開した。

BASFジャパン横浜イノベーションセンター内に開設されたクリエーションセンター(クリックで拡大) 出典:BASFジャパン

 BASFはグローバルでクリエーションセンターの新設を進めている。ドイツ・ルートヴィッヒスハーフェンを皮切りに、インド・ムンバイ、中国・上海に続いて、横浜が4拠点目となる。同施設は2014年10月に開設した「デザインファブリーク東京」が前身。名称の変更とともにイノベーション創出を支援する機能強化を行っている。デザインファブリーク東京は特に自動車産業を注力領域としていたが、クリエーションセンターは全産業を対象として提案活動を行う。また、アメリカ・ワイアンドットでもクリエーションセンターの開設を予定している。

BASFジャパンの小矢畑崇氏

 クリエーションセンターが提供する価値について、BASFジャパン パフォーマンスマテリアル事業部 クリエーションセンター デザインマネージャーの小矢畑崇氏は「実際に素材を触ってわくわくしてもらう」ことを第一に挙げる。BASFのグローバルネットワークを生かし、同センターには各国から収集されたさまざまな素材サンプルが展示されており、実際に触れながら製品アイデアを醸成することが可能だ。

 また、素材にはNFCタグやQRコードが添付されており、タブレット端末を素材にかざしたり、QRコードを読み取ったりすることで、製品詳細の解説やAR(拡張現実)によるガイド表示が確認できる。

左:椅子にはNFCタグが張り付けられており、タブレット端末で読み取ることができる 右:読み取ると、椅子に用いられている素材の詳細が表示される(クリックで拡大)
左:QRコードを読み取ると、タブレット端末上でARによる解説が表示される 右:さまざまな自動車部品が展示されていた(クリックで拡大)
合成皮革のデモキット(クリックで拡大)

 また、ワークショップの開催や企画展への出展、異業種とのコラボレーションなども行う他、顧客と協力してコンセプトを実証するモックアップの製作協力なども担う。クリエーションセンターに併設される「エンジニアリングプラスチック・イノベーションセンター(EPIC)」では、CAEや材料特性評価、耐久性試験などといった技術的サポートを提供。「クリエーションセンターで創造した製品アイデアを、すぐにEPICで製品可能性の検討に移ることができる」(同社担当者)こともメリットとなる。EPICでは2019年10月に新型成型機の導入を予定しており、市場ニーズに合った材料試験、試作支援、検証能力を提供するという。

 同社パフォーマンスマテリアル事業部 事業部長の山本勇氏は「クリエーションセンターは顧客がわれわれの素材を最初に触れる場所だ。顧客とともに、製品コンセプトの考案から設計、シミュレーションまで一緒にやらせていただく」と、同センター開設によるカスタマーエンゲージメントの強化に期待をにじませた。同センターでは年間70〜80件程度の社外打ち合わせを見込んでいる。

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