2画面ノートPC「ZenBook Pro Duo」を徹底分解して見えたASUS流の品質設計隣のメカ設計事情レポート(10)(8/8 ページ)

» 2019年08月20日 15時00分 公開
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(8)本体カバー

図27 多くの箇所をマスキングしている本体カバー 図27 多くの箇所をマスキングしている本体カバー ※クリックで拡大

 最後に残った部品はアルミダイカスト製の本体カバーであり、セカンドディスプレイが接着されている。このアルミダイカスト製の部品は、ビス用のボスの天面をはじめ非常に多くの箇所をマスキングしてアルマイト処理が施されており、輻射対策のアースのためにアルミの生地が露出している。前述した通り、マスキングは手作業が多くコスト高になるが、品質を重視しての結果である。



 以上、ZenBook Pro Duoの設計上のポイントを掘り下げてきたが、次の点から品質設計を重視し、よく検討された信頼できるモデルだと感じた。

  • 高価な冷却ユニットを搭載し、それをバネ付きビスで固定しており、冷却を重要視している
  • 緩み留めネジロックを塗布したビスを使用し、剛性を重要視している
  • アルマイト処理にマスキングを多くの箇所に行い、輻射対策を重要視している

 また、外装に関してもデザイン的に気を配っていることがうかがえた。

  • 天板のアルミダイカスト製の部品への円形ヘアライン加工
  • 底面カバーのビス頭の見え方の処理とシボ付きゴムシートの使用

筆者プロフィール

小田淳

オリジナル製品化/中国モノづくり支援
ロジカル・エンジニアリング 代表
小田淳(おだ あつし)

上智大学 機械工学科卒業。ソニーに29年間在籍し、モニターやプロジェクターの製品化設計を行う。最後は中国に駐在し、現地で部品と製品の製造を行う。「材料費が高くて売っても損する」「ユーザーに届いた製品が壊れていた」などのように、試作品はできたが販売できる製品ができないベンチャー企業が多くある。また、製品化はできたが、社内に設計・品質システムがなく、効率よく製品化できない企業もある。一方で、モノづくりの一流企業であっても、中国などの海外ではトラブルや不良品を多く発生させている現状がある。その原因は、中国人の国民性による仕事の仕方を理解せず、「あうんの呼吸」に頼った日本独特の仕事の仕方をそのまま中国に持ち込んでしまっているからである。日本の貿易輸出の85%を担う日本の製造業が世界のトップランナーであり続けるためには、これらのような現状を改善し世界で一目置かれる優れたエンジニアが必要であると考え、研修やコンサルティング、講演、執筆活動を行う。

ロジカル・エンジニアリング Webサイトhttps://roji.global/

著書



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