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» 2019年08月28日 10時00分 公開

“脱2次元”できない現場で効果的に3D CADを活用する方法(4):3次元の設計環境とうまく付き合うには【ハードウェア編】 (1/2)

“脱2次元”できない現場を対象に、どのようなシーンで3D CADが活用できるのか、3次元設計環境をうまく活用することでどのような現場革新が図れるのか、そのメリットや効果を解説し、3次元の設計環境とうまく付き合っていくためのヒントを提示します。今回は、3D CADソフトウェアの選定と同じくらい重要な“使用するハードウェア環境の選び方”について取り上げます。

[小原照記/いわてデジタルエンジニア育成センター,MONOist]

 さまざまな企業に対して“3D CAD環境への移行”を支援する中、よく聞かれるのが、

  • 設計用のPCは何を購入したらよいですか?
  • どれくらいのスペックが必要ですか?
  • 安くて良いPCはないですか?

といった質問です。2D CADから3D CADへと設計環境を移行する際、3D CADソフトウェアの購入はもちろんですが、同時にソフトウェアをインストールするためのハードウェア環境も用意しなければなりません。

 ということで今回は、“脱2次元”できない現場で効果的に3D CADを活用するためのポイントとして、3D CADソフトウェアの選定と同じくらい重要な“使用するハードウェア環境の選び方”について取り上げたいと思います。

 なお、特定業務および特定アプリケーションを使用するための“プロ向け端末(ハードウェア)”のことを「PC」ではなく、「ワークステーション」と呼びますが、本稿では「PC」という表現で統一して説明を進めます。

3D CAD用PCを選定する際に確認すべき3つのポイント

 3D CAD用PCの購入を考える際、店頭やカタログに並ぶたくさんのPCの中から、「一体何を重視して買えばよいのか?」と正直悩みますよね。ここではPCのスペックに絞り、最低限考慮すべき3つのポイントを紹介します。

(1)CPU(プロセッサ)

 まずは、PCの“心臓部”といわれる「CPU」です。人間の“脳”に当たる重要な要素で、OSやアプリケーションを動かす中枢をなします。

 代表的なのものにIntelのCPUがあります。「Core i3」「Core i5」「Core i7」などの種類があり、数字が大きいほど高性能になります。使用する3D CADソフトウェアにもよりますが、Core i5以上を選ぶのが一般的です。現在のシステム環境は32ビットではなく、64ビットが主流となっています。さらに、高負荷の掛かる処理、例えばレンダリングや解析ソフトウェアでシミュレーションを実施する場合は、コア数が多ければ多いほど快適に動作します。

(2)メモリ

 メモリとは、一時的にデータを記憶するための場所です。台所で例えると“調理台”です。要するに、メモリ(調理台)が小さいと作業(調理)しづらいということです。

 さまざまな動作を同時進行したり、データ量の多いソフトウェアを使用したりすると、メモリに記憶するデータが増え過ぎてしまい、PCの動作に影響を与えます。2D CADは4GB以上ですが、3D CADの場合は8GB以上必要でしょう。ちなみに最近では、16GBが推奨スペックとして設定されている3D CADソフトウェアも増えつつあります。

(3)グラフィックスカード

 グラフィックスカードは、画像や映像、コンピュータグラフィックス(CG)などを高速かつ高精細に表示するためのもので、3D CADには必須の要素です。

 3D CADの場合、高度で複雑な3Dグラフィックスを扱うため、処理能力の高いグラフィックスカードが必要です。代表的なものに、NVIDAの「Quadroシリーズ」があります。3D CADメーカー各社が推奨スペックをWebサイトやカタログに記載しているので、購入前にきちんとチェックしておくことをオススメします。

画像はイメージです 画像はイメージです

 (1)(3)に関しては、3D CADメーカー各社が推奨スペックを公開しているので、最低でもそれ以上のスペックを満たすPCを購入するようにしましょう。万一、これら3つのうち1つでも推奨値を満たしていないと、動作が遅くなったり、正常に描画されなかったりと、設計作業に支障を来す可能性がありますので注意してください。

 その他、検討すべき事項としては、データを保存する「ストレージ」があります。3D CADデータは2D CADデータと比べて、はるかに大容量です。1つの部品データが数十MB以上になることも珍しくありません。ストレージにはHDDとSSDの2種類がありますが、ソフトウェアやPCの立ち上げを少しでも高速化したい場合は、SSDがオススメです。ただし、単価がHDDと比べて高価ですので、大容量データの保存先はHDDで、ソフトウェア起動はSSDで行うなど、組み合わせて運用することで費用を抑えることも可能です。また、3D CADデータの保存に関しては、外付けの媒体を購入して使用するのも1つです。特に数名でデータ共有する“チーム設計”を行う際に便利です。

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