特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2019年08月28日 06時30分 公開

FAニュース:特定メーカーに依存しないスマート工場の構築へ、「Team Cross FA」が発足

FAプロダクツとオフィス エフエイ・コムは、スマート工場の建屋からIT、人、設備に至るまでのソリューションをワンストップで提供するコンソーシアム「Team Cross FA」を設立する。メーカー主導ではなく、さまざまな技術を持つベンダーがチームを組んで、スマート工場の技術を提供することが最大の特徴になる。

[朴尚洙,MONOist]

 FAプロダクツとオフィス エフエイ・コムは2019年8月27日、東京都内で会見を開き、スマート工場の建屋からIT、人、設備に至るまでのソリューションをワンストップで提供するコンソーシアム「Team Cross FA(チームクロスエフエー)」を設立すると発表した。「メーカー主導ではなく、さまざまな技術を持つベンダーがチームを組んで、スマート工場の技術を提供することが最大の特徴」(FAプロダクツ 社長の貴田義和氏)。5年後の2024年をめどに、国内外で数千億円規模の受注高を得ることを目標としている。

 Team Cross FAは、FAプロダクツとオフィス エフエイ・コムの他、FAプロダクツ 会長の天野眞也氏が代表取締役を務める、ロボコム、日本サポートシステム、ロボコム・アンド・エフエイコムの5社が幹事会社となっている。FAやロボットのシステムインテグレーターであるこれら5社と、工場の設立や運営に欠かせないさまざまなソリューションを提供する大手企業が公式パートナーとなってTeam Cross FAを構成している。会見には、公式パートナーとなった、鹿島建設、電通国際情報サービス、日研トータルソーシング、日立システムズ、ミツイワの事業トップも参加。Team Cross FAと連携する業界団体の日本ロボット工業会の代表者も出席した。

会見に出席したTeam Cross FA参加企業の代表者 会見に出席したTeam Cross FA参加企業の代表者。上段左から、ミツイワ 社長の羅本礼二氏、日立システムズ 産業・流通フィールドサービス事業グループ 産業・流通プラットフォーム事業部 第一サービス本部 本部長の青木誠氏、鹿島建設 エンジニアリング事業本部 専務執行役員 本部長の丸亀秀弥氏、日本ロボット工業会 客員研究員の高本治明氏、東京大学 名誉教授の佐藤知正氏、FAプロダクツ 会長の天野眞也氏、オフィス エフエイ・コム 社長の飯野英城氏。下段左から、電通国際情報サービス 製造ソリューション事業部長兼製造技術統括本部 上席執行役員の岩本浩久氏、日研トータルソーシング マーケティング戦略部 部長の萩田宜博氏、FAプロダクツ 社長の貴田義和氏、ロボコム 取締役の金谷智昭氏、ロボコム・アンド・エフエイコム 取締役の藤井幸一郎氏(クリックで拡大)

 幹事企業5社の従業員数は、企画・プロデュースを担当するFAプロダクツが約40人、開発・エンジニアリングを手掛けるオフィス エフエイ・コムがグループ全体で約350人、自動化の構想設計を専門に取り扱うロボコムが約10人、加工・組立を行う日本サポートシステムが約110人、加工システムやロボットシステムをパッケージ化するロボコム・アンド・エフエイコムが6人で、総計500人強ほどの人員規模になる。Team Cross FAは、これら5社と公式パートナーが連携することにより、工場の建物からIT、人、設備までをワンストップで一括提供する「日本初のファクトリービルダー」(貴田氏)として事業を展開していくことになる。

Team Cross FAの全体像幹事企業5社の役割 Team Cross FAの全体像(左)と幹事企業5社の役割(右)(クリックで拡大) 出典:Team Cross FA

「ロボット型デジタルジョブショップ」を自動化生産ライン構想に

 Team Cross FAが提供するサービス領域は「グランドデザイン」「デジタルファクトリー」「リアルファクトリー」の3段階に分かれる。まずは、グランドデザインでは、全体構想設計や分野別構想設計、シミュレーションによる構想検証を進める。次に、デジタルファクトリーでは、さまざまな製造ITシステムを活用してデジタルデータ上の仮想工場を構築し、実際の工場であるリアルファクトリーの構築が最終工程になる。

グランドデザインデジタルファクトリーリアルファクトリー Team Cross FAのサービス領域は「グランドデザイン」(左)「デジタルファクトリー」(中央)「リアルファクトリー」(右)の3段階に分かれる(クリックで拡大) 出典:Team Cross FA

 Team Cross FAが目指す、新たな時代の自動化生産ライン構想となるのが「ロボット型デジタルジョブショップ」である。ロボットを用いた工場の自動化というと、どうしてもコンベヤーの左右にロボットを並べた「コンベヤー搬送型自動化ライン」を思い浮かべがちだ。これに対して、ロボット型デジタルジョブショップは、コンベヤーによる搬送は行わず、加工対象や部品を運ぶAGV(無人搬送車)が、加工を行うロボットや作業者のもとへの移動を繰り返すことによって生産を自動化する。

コンベヤー搬送型自動化ラインロボット型デジタルジョブショップ 一般的な自動化生産ラインは「コンベヤー搬送型自動化ライン」になるが(左)、Team Cross FAは「ロボット型デジタルジョブショップ」を目指す(右)(クリックで拡大) 出典:Team Cross FA

 オフィス エフエイ・コム 社長の飯野英城氏は「リアル版ロボット型デジタルジョブショップともいえる『スマートファクトリーコンダクターラボ(スマラボ)』を、2019年内をめどに公開する計画だ」と語る。スマラボは、ロボットとAGV、各種専用機が生産管理システムなどと接続され、デジタルデータ上に構築された仮想生産ラインによるシミュレーションと連動した、自律的な生産ラインモデルとなる予定だ。また、ロボコム・アンド・エフエイコムは2020年末までに、最新の加工設備と組立設備を持った実生産を行うスマート工場を、南相馬工場(福島県南相馬市復興工業団地)として建設する計画である。

 天野氏は「Team Cross FAとして既に数社からの受注を得ている。今後は、まず国内のスマート工場化の需要を取り込んだ上で、特定のメーカーに依存しない独自のポジションを活用して海外展開も進めて行きたい。組み立て製造業、プロセス製造業を含めて、グローバルで年間数十兆円の設備投資があり、Team Cross FAのコンセプトをしっかり広げて行けば、数千億円の需要を獲得することは可能だろう。5年間でこの数字を達成したい」と述べている。

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