連載
» 2019年08月30日 10時00分 公開

日本におけるファブラボのこれまでとこれから(4):“モノづくりの民主化”を象徴する、発展し続ける3Dデータを取り巻く世界 (1/4)

日本で3番目となる「ファブラボ渋谷」の立ち上げを経験し、現在「ファブラボ神田錦町」の運営を行っている立場から、日本におけるファブラボの在り方、未来の理想形(これからのモノづくり)について、「これまでの歩み」「現在」を踏まえつつ、その方向性を考察する。今回は、作り手が使用する“ソフトウェアサービス”にフォーカスし、3Dデータを取り巻く環境を掘り下げる。

[梅澤陽明/ファブラボ神田錦町,MONOist]

 ここ数年、本連載で紹介してきた「ファブラボ(FabLab)」、そしてファブスペースやテックスペースと呼ばれる“モノづくり工房の発展”が何かと話題ですが、作り手が使用するソフトウェアサービスについても、さまざまな製品やサービスが登場し、目まぐるしく進化、発展しています。そこで、連載第4回となる今回は、モノづくりに関するソフトウェアサービスにフォーカスしたいと思います。

 3Dプリンタでモノづくりを始める場合、3Dデータが欠かせません。この3Dデータを作成(3Dモデリング)するためのソフトウェアの代表格が「3D CAD」です。3D CADは主に製造業の設計者が使用する専門ツールとして進化してきましたが、近年、低価格化やクラウド化などの変化が後押しし、広くメイカーズたちの活動にも貢献しています。ということで、まずは“3Dプリンティング技術”に重点をおいて、お話を進めていきます。

3Dデータ作成に欠かせない「3D CAD」あれこれ

 世の中にはさまざまな3D CAD製品がありますが、それぞれ特徴が異なり、機能や操作性、拡張性など多彩です。もし、3D CADの導入を検討しているのであれば、一定期間無償で利用できるお試しライセンスが提供されている製品もありますので、まずは試用をオススメします。

 それでは、代表的な3D CADについて紹介していきます。

Fusion 360

図1 「Fusion 360」のWebサイト 図1 「Fusion 360」のWebサイト(https://www.autodesk.co.jp/products/fusion-360/overview)[クリックで拡大]

 オートデスクの「Fusion 360」は、MONOistでもたびたび取り上げられている3D CAD/CAM/CAEソフトウェアです。さまざまな記事が公開されているのでぜひチェックしてみてください。

 連載第3回で紹介した“21世紀型の発明家”であるメイカーズの拡大は、このソフトウェアの登場が大きく後押ししたといっても過言ではありません。これまで、本格的な3D CADソフトは個人レベルで所有するには高価であり、動かすPC環境もハイエンドのものが要求されてきました。これに対し、Fusion 360のライセンス料は個人利用にも優しい安価な設定で、かつクラウドベース(※注1)で動作するため、普段使いをしているPCでも利用可能です。

※注1:オフラインでも使用可能ですが、一部機能に制約が発生します。また、動作には必須性能/推奨性能が提示されていますので、オフィシャルWebサイトを確認してください。

SOLIDWORKS

図2 「SOLIDWORKS」のWebサイト 図2 「SOLIDWORKS」のWebサイト(https://www.solidworks.com/ja/product/solidworks-3d-cad)[クリックで拡大]

 「SOLIDWORKS」は、製造業を中心とした設計業務で高いシェアを誇る3D CADで、いわゆる“ミッドレンジ”の3D CADに分類されます。また、メイカーズやスタートアップ企業のためのサポートプログラムも提供されており、一定の条件を満たすことで、さまざまなサポートを受けることができます。

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