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» 2019年09月02日 11時00分 公開

実装技術:実装技術に影響与える「5G」「自動運転」、温度管理や電源管理に注目 (1/2)

電子情報技術産業協会(JEITA) Jisso技術ロードマップ専門委員会ではこのほど「2019年度版 実装技術ロードマップ」を発行。今後実装技術に大きな影響を与える注目すべき市場カテゴリーを選び技術課題の抽出や解決策などを提言している。

[長町基,MONOist]

 電子情報技術産業協会(JEITA) Jisso技術ロードマップ専門委員会ではこのほど「2019年度版 実装技術ロードマップ」を発行。今後実装技術に大きな影響を与える注目すべき市場カテゴリーを選び技術課題の抽出や解決策などを提言している。

実装技術の競争優位性を保つためのロードマップ

 Jisso技術ロードマップ専門委員会は、日本のモノづくりにおける競争優位点の1つである実装(Jisso)技術が今後も競争力を維持できるように、将来的な技術目標を定めるために設置された。その中で、10年後の電子情報技術業界のあるべき姿を想定する「実装技術ロードマップ」を策定してきた。1999年に世界で初めて実装技術のロードマップを示す第1版をリリースして以来、隔年で発行し2019年は第11版を発刊した。

 2019年度版の「実装技術ロードマップ」で、実装技術に大きな影響を与える分野として取り上げたのは、情報通信、メディカル・ライフサイエンス、モビリティ、そして新技術・新材料・新市場である。

「情報通信」分野では5Gに注目

 「情報通信」では、5Gの開始が大きな影響をもたらすと予測する(※)。5Gは、高速・低遅延・大量接続が特徴となるが、通信環境が高度化することで、ビッグデータが容易に取り扱われるようになり、新たな価値創造に活用できる。基地局網は当然だが、5Gによって生まれる新たな市場でも、必然的に関連するエレクトロニクス商材が増えることになると見込む。

(※)関連記事:国内5G市場は“離陸”するも、“軌道に乗る”のは2025年以降か

 次世代通信5Gは、高周波帯を使い、伝送速度が速く、伝送情報量が多い一方で、電波の直進性が高く、回折しにくいため、安定した通信を実現する難易度が高い。そのため、従来の4G通信に比べ、大量の基地局の設置が必要になる。このインフラの設置コストの低減や、設置面積、重量の削減が課題となっている。また、一般市場で広く活用されるためには、小型、軽量、低コスト化の実現は必須条件で、これらを解決し、安定した品質で商用活用するための技術開発が必要となる。例えば、アナログとデジタル信号の変調・復調、回路設計、高密度実装、放熱機構、メタマテリアル技術を活用したアンテナ、ビームフォーミング、フェーズシフター、MIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)など技術が必要だとされており、開発が進められている。

「CASE」で揺れるモビリティ

 また、同様に注目すべきカテゴリーとして挙げられている「モビリティ」については、自動車業界の変革の動きが取り上げられている。「Connected(コネクティッド)」「Autonomous(自動運転)」「Shared(シェアリング)」「Electric(電動化)」の頭文字をとった造語の「CASE」とされる変化に直面する中で、自動車業界は100年に1度の大変革期を迎えているといわれている。

 この中で自動運転は、安全性向上による事故の軽減や運転負担の軽減、交通渋滞の緩和などの実現に貢献するものとして期待される。加えて、日本をはじめとした先進国で進む少子高齢化に伴い、クルマを運転する必要があるが乗ることに不安を感じる層にとっても高い需要が見込まれる技術だ。自動運転はそのレベルにより1〜5に分けられており、各自動車メーカーはレベル2か、それに近い技術は既に導入済みである。ドイツや米国のメーカーはレベル3相当の技術を搭載した製品を発売しているところもあるが、法整備などの環境が整わず実質的にはレベル2相当の運用にとどまっている(※)

(※)関連記事:レベル3の自動運転の普及は伸び悩む? 提案は無人運転シャトルや小口配送に

 自動運転に必要な要素技術は主に「認知(センサー)」「判断(AIによる制御)」「操作(アクチュエータ)」の3つに分類される。走行するクルマから得られたプローブデータ(外界認識データ)はネットワークを通じて、再び各車両に提供され、当該車両の自動運転の判断に必要なデータや知識として活用される。その結果、自動運転と車両外システムデータ基盤は相互に利活用され発展していくことが想定される。

 また、自動運転システムは車両の自律制御を基本としつつ、交通データなどをデータ基盤(プラットフォーム)から得て駆動するようになる。データを活用していくためのコア技術は従来の車両技術からAIを含むソフトウェア技術とデータ基盤に移行する見込みである。とりわけ、データ基盤の中でもダイナミックマップやそれらを保存、処理、提供するためのクラウドサービスなどの役割は重要になり、エレクトロニクスの果たす役割も変化する。

 これらの車両外との連携が重視される一方でクルマ内の電子制御の高度化が進む見込みだ。その中で特にECU(Electronic Control Unit)による車両統合制御の重要性が指摘される。従来の車両システムではドライバーの運転に対して忠実かつ快適に「走る」「曲がる」「止まる」を実現することが求められ、エンジン、ブレーキ、ステアリングなどをそれぞれ進化させてきた。しかし、今後はコンポーネントの電動化、電動車両の普及、自動運転に対応するために、車両運動を統合する重要性が増してきた。そこで多数のコンポーネントを最適に制御、統合する必要が出てきた。ECUは多様なセンサーや他のECUからの制御指示を合わせ、複数のコンポーネントを適切に制御する。また、コンポーネントの冗長性を有効利用し、信頼性を高め、安全な車両制御を実現する。現状でも1車両におけるECUの搭載個数は大幅に増えているが、今後はさらに増加するとともに高度化が進むと見られている。

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