AI技術を活用した冠動脈内腔自動検出の成果医療機器ニュース

GEヘルスケア・ジャパンは、小倉記念病院との共同研究により、AIを活用して全自動で全ての冠動脈内腔を速やかに同定できるようになったと発表した。

» 2019年09月13日 15時00分 公開
[MONOist]

 GEヘルスケア・ジャパンは2019年9月3日、小倉記念病院との共同研究により、AI(人工知能)を活用して全自動で全ての冠動脈内腔を速やかに同定できるようになったと発表した。この研究は、小倉記念病院循環器内科 部長の山地杏平氏とGEヘルスケアの共同研究チームが行ったものだ。

 今回の研究では、深層学習の「3次元畳み込みニューラルネットワーク(3D-CNN)」を活用。小倉記念病院に蓄積された過去4年間、約2万件の心臓CT検査画像から心臓の特徴を学習させることで、冠動脈内腔の自動抽出プログラムを作成した。

 心臓を栄養する冠動脈は血管径約3mmと細く、狭窄や閉塞といった血管内腔にある病変の診断には、血管の位置を同定する際に0.2〜0.3mm程度でもずれてしまうと評価が困難となることがある。そこで、まずAIを用いて冠動脈全体を抽出し、得られた冠動脈データからAIを用いて冠動脈内腔を抽出するという2段階のアプローチをすることで、診断精度の向上に成功した。

 同研究により、心臓CT検査後、診断を受けるまでの時間が短縮され、緊急に治療が必要な患者への迅速な対応が期待できる。また、人員が不足する夜間や休日でも、平日の日中と同様の診断ができるようになるとも考えられる。さらに、冠動脈が支配する心筋を全自動で計算できるため、心筋の血流低下の定量的な評価も可能になる。

photo 冠動脈内腔の自動抽出プログラム 出典:GEヘルスケア・ジャパン
photo 抽出された冠動脈と、それによって栄養されている心筋 出典:GEヘルスケア・ジャパン
photo CT虚血指数と冠動脈造影にて評価された冠血流予備量比 出典:GEヘルスケア・ジャパン

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