特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2019年09月18日 11時00分 公開

製造業がサービス業となる日:大手機械要素部品メーカーがなぜデジタル変革に挑むのか、THKの挑戦 (1/2)

THKは2019年9月10日、日本システムウエア、日本マイクロソフトとコミュニケーションプラットフォーム「Omni THK」の実現と機能進化に向けて提携すると発表した。

[三島一孝,MONOist]

 THKは2019年9月10日、日本システムウエア、日本マイクロソフトとコミュニケーションプラットフォーム「Omni THK」の実現と機能進化に向けて提携すると発表した。

負担が大きな“対面業務”

 大手機械要素部品メーカーであるTHKは、産業機械用部品や車載部品などを提供。特にさまざまな機械の駆動部で使用されているのが、世界に先駆けて開発したLM(Linear Motion)ガイドである。THKではこのLMガイドで現在もグローバルで高シェアを確保している。

photo THK 取締役専務執行役員の寺町崇史氏

 LMガイドをはじめとするTHKの機械要素部品は、あらゆる機械に採用されている。例えば、工作機械や産業用ロボット、半導体・液晶製造装置、3Dプリンタ、航空機シート、医療・福祉機器、免振システムなどだ。これらの機械メーカーを含む「多くの製造業が、プロダクトライフサイクルの短期化による開発期間の短縮、電子デバイスなどの需要変動への柔軟な対応、労働人口減少などによる自動化の推進など、人手に頼る工程を減らし生産性を向上させることが大きなテーマとなっている」とTHK 取締役専務執行役員の寺町崇史氏は業界全体の課題について語る。

 一方で、ドイツのインダストリー4.0などをはじめとし、製造業におけるデジタル変革の動きなども大きな流れとなっており「これらの課題をデジタル技術の活用により解決する。自律的なシステムを実現する中で、アプリケーションの利用やデータの活用が最も重要な要素となる」(寺町氏)という。

 その1つの取り組みとして推進するのが、コミュニケーションプラットフォーム「Omni THK」の構築である。「Omni THK」は、THKと顧客企業もしくは代理店との間で活用するソフトウェア基盤で、THKと顧客企業との取引を効率化することを目指したものだ。寺町氏は「産業機械は基本的にはカスタムが入るのが当たり前の世界だが、そのため部品商談は、基本的には対面業務中心で進み、膨大な人手がかかる。これらの手間が全て必要なわけではなく無駄が多くなっているのが現実だ。今後さらなる生産性向上を目指す中で、これらの業務の効率化ができないかと考えた」と寺町氏は述べている。

photo THKが描く「Omni THK」による新たな商談プロセス(クリックで拡大)出典:THK

「Omni THK」が保有する4つの機能

 「Omni THK」では具体的には以下の4つの機能を提供する。

  1. Fast Delivery:在庫、納期、仕様の確認に必要以上に工数をかけている状況を解消するために、これらの情報をいつでも取得できるようにするアプリケーション。短納期品の在庫検索や価格、納期、カタログなどの情報取得ができる
  2. Orders:見積もり取得や発注申請手続きを円滑に進めるためのアプリケーション。システム上での見積もり依頼、見積書の取得、発注申請に必要な書類のダウンロードなどを可能とする
  3. Your Catalog:大量にある図面の管理が煩雑になり、類似仕様の製品が増えてしまう状況を解消するためのアプリケーション。AI画像解析や付帯情報を使った検索絞り込みにより部品共通化や設計ノウハウの共有ができる
  4. Forecast:受注生産品の需要変動が大きく生産計画通りに部品入手ができない状況を解消するためのアプリケーション。顧客の生産計画とTHK製品の供給時期、数量の一括管理を行い、的確な発注時期を把握する。

 これらの個々の機能としてはパイロット的に一部のユーザーと構築してきた例があるというが「4つの機能をまとめて2019年7月に全面的に提供を開始した。これらのアプリケーションは個々で得られる価値は限定的である。プラットフォームとして提供して初めて価値を生む。アプリケーションについても4つに限定することは考えておらず必要に合わせて広げていく。また、自社だけでなく他の機械部品メーカーがプラットフォームに参加することも問題ない。業界全体で効率化に取り組める余地がある」と寺町氏は語っている。

「Omni THK」のシステム構成と協業の意味

 これらの機能を実現するシステム基盤強化を目指して、日本マイクロソフトと新たに協業することを決めたという。もともと「Omni THK」は日本システムウエアとの協力で開発を進めてきたものだが「重要なデータを扱うためにセキュリティを確保する必要があった。Azureであればあらゆるセキュリティ機能が用意されている他、AIを含むさまざまな分析機能を持つ点にも魅力を感じた。

また、グローバル展開を考えているのでグローバル対応だという点もポイントになった」と寺町氏は語る。

photo THKが描く「Omni THK」による新たな商談プロセス(クリックで拡大)出典:THK
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