AIトイレが便の形と大きさを自動判定、LIXILが高齢者施設向けに開発中人工知能ニュース(1/2 ページ)

LIXILが高齢者施設の入居者の排便管理をAI技術でサポートする「トイレからのお便り」について説明した。排便のタイミング、便の形と大きさをAI技術により自動で判定、記録し、介護スタッフが詰める施設のステーションで入居者の排便状況を一括確認できるようにする。

» 2019年09月26日 07時30分 公開
[朴尚洙MONOist]

 LIXILは2019年9月25日、東京都内で会見を開き、高齢者施設の入居者の排便管理をAI(人工知能)技術でサポートする「トイレからのお便り」について説明した。排便のタイミング、便の形と大きさをAI技術により自動で判定、記録し、介護スタッフが詰める施設のステーションで入居者の排便状況を一括確認できるようにする。研究開発中の技術で商品化時期は未定だが、2020年春ごろに高齢者施設へ一部導入しての実証実験を始める計画だ。開催中の「第46回 国際福祉機器展(H.C.R.2019)」(2019年9月25〜27日、東京ビッグサイト)でも展示しており、来場者からの意見も募りたい考え。

「トイレからのお便り」の展示便座の裏側に組み込んだカメラとLEDモジュール LIXILが「第46回 国際福祉機器展」で展示した「トイレからのお便り」。同社の市販の便器を用いているので外見に大きな差はないが(左)、便座の裏側に便を撮影するためのカメラとLEDモジュールが組み込まれている(右)。カメラは100万画素と一般的なものを使用。AIは展示の裏側にあるノートPC上で動作させており、判定は1秒以下で完了する(クリックで拡大)
「トイレからのお便り」で自動判定した結果判定結果はステーションに集約 「トイレからのお便り」で自動判定した結果(左)。便の形状と大きさが表示される。判定結果はステーションに集約され、各入居者とひも付く形で確認できる(右)(クリックで拡大)

高齢者施設での排便管理は「目視と手書き」が一般的

LIXILの白井康裕氏 LIXILの白井康裕氏

 排便の状態は人の日常の体調を示す目安になることが知られている。特に、高齢者施設では、入居者である高齢者の腸閉塞や下痢による脱水症状を防ぐことを目的に、介護スタッフがさまざまな介助を行う傍らで、入居者それぞれの排便の管理、記録を行っている。ただし、この排便管理の作業は、目視で確認し、手書きで記録するのが一般的だ。

 LIXIL 理事でLIXIL Water Technology JAPAN デザイン・新技術統括部長を務める白井康裕氏は「これらの管理作業は、介護スタッフにとっても、入居者にとっても大変なことだ。介護スタッフとしては、排便状況を抜け漏れなく把握したい一方で、確認作業を減らして入居者の尊厳に配慮したいと思っている。入居者にとっても、他人に便を確認されることへの心理的な抵抗があるし、認知症の入居者の場合には便を流してしまい確認作業そのものを行えないこともある」と語る。

「トイレからのお便り」は排便管理における介護スタッフと入居者の悩みを解決する 「トイレからのお便り」は排便管理における介護スタッフと入居者の悩みを解決する(クリックで拡大) 出典:LIXIL

 「トイレからのお便り」では、便座の裏側に組み込んだカメラとLEDモジュールを用いて、排せつした便の形状を撮影し、AI技術によって便の形と大きさを自動で判定。排便の日時と併せてその判定結果を記録してステーションに集約する。介護スタッフはこの排便情報などを基に、適切な介護を行えるようになる。目視と手書きで行われていた排便記録が自動化されることで「入居者のQOL(生活価値)の向上も可能になる」(白井氏)という。

「トイレからのお便り」の特徴「トイレからのお便り」の特徴 「トイレからのお便り」の特徴。入居者の排便について自動で判定、記録し、ステーションで一元管理できる(左)。AI技術による便の形と大きさを自動判定する(右)(クリックで拡大) 出典:LIXIL
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