「FA・金型部品販売のミスミ」が始めたFA用タッチパネルが面白いワケ高コストパフォーマンス制御部品

ミスミは、豊富な製品群を短納期で届けてくれることから「困ったときのミスミ頼み」といわれている。今でこそミスミはメーカーブランド品のEC販売が有名となっているが、元々はオリジナルブランドのFA・金型部品販売から歴史が始まっている。ここ最近は製品分野も拡大しており、産業用タッチパネルなどはヒット製品となっているという。ミスミのオリジナルブランド製品の動向を紹介する。

» 2019年10月23日 10時00分 公開
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 FAや金型の分野ではメーカーのイメージが強いミスミ。一方、エレクトロニクス分野においては「あの部品が急に足りない」「通常ルートでは購入ロットが多く、多少割高でも必要な数だけ欲しい」「1つの製品の部品をまとめて調達したい」など、まさに「困った時のミスミ頼み」として「ミスミのエレクトロニクスといえばEC」という印象も強い。しかし、FA、金型同様、エレクトロニクス製品もオリジナルブランドからスタートしており、実は意外と製品投入をなされている事実がある。

 特に最近ではラインアップを拡充しており、産業用タッチパネル製品などのヒット製品も増えてきているという。ミスミのもう1つの魅力であるオリジナルブランド製品への取り組みを紹介する。

メーカー機能と流通機能を併せ持つミスミの特徴

 ミスミの歴史は、1963年に電子機器およびベアリングなどの販売を目的として設立した三住商事から始まる。1989年に現社名に変更し、その後もFAと金型用部品専門商社として、モノづくりの「縁の下の力持ち」的な存在として製造業を支え続けてきた。その後、2005年にはメーカー機能を統合し、現在は製造業の生産ラインや開発部門向けのFA事業、金型用の精密機械部品事業、同社ブランド以外の他社製品も扱うVONA(Variation & One-stop by New Alliance)事業の3つの事業を推進。メーカー機能から流通機能までを一貫して持つユニークな業態となっている。

 ミスミグループが扱う製品のアイテム数はサイズバリエーションを含め800垓(1兆の800億倍)を誇る。あらゆる部品が、いつ、どこから、どれだけ少量で注文が入ったとしても、確実短納期で出荷するため、グループ内では、リードタイムの短縮など生産改善に取り組んでいる。

 一方、流通事業であるVONA事業では、同社が以前から取り扱っていたFA用部品および金型用部品だけでなく、工具や手袋、パーツを洗浄するクリーナーなど生産現場で使用する製造副資材や消耗品までのラインアップを拡充している。これらさまざまな部品や消耗品をワンストップで効率よく調達したいという顧客のニーズと、メーカー自社販売網以外に販路を拡大したいというメーカーのニーズをグローバルにつなげるプラットフォームとして、「MISUMI-VONA」は、2010年にスタートした。製造業向けの品ぞろえとしては、業界最大規模を誇る2,740万点(2019年9月時点)を扱っている。しかも1個から送料無料とするなどのキメ細かなサービスが大きな特徴だ。

「必要十分」を目指すミスミのオリジナルエレクトロニクス製品

 このMISUMI-VONAのエレクトロニクス分野では、さまざまなメーカーの製品とともに、ミスミのオリジナルブランド製品も数多く扱われている。オリジナル製品としてはハーネスやコネクター、チューブなどが展開されてきたが、現在ではグローバルで開発・製造パートナーを広げ、製品カテゴリーも大きく拡大し、実際の販売も急速に伸びているという。

 そして最近、ミスミがエレクトロニクス製品として、力を入れているのは、端子台などに加えて、産業用PC、産業用LAN用ハブ、PC用モニター、タッチパネル(プログラマブル表示器)などである。

 ミスミのオリジナル製品担当者は「ミスミのオリジナルブランド製品の中でも、エレクトロニクス製品は後発の位置付けとなりますが、順調にラインアップを拡充しています。産業機械におけるエレクトロニクス部品の顧客課題を整理し、その中でニーズに合うような製品を、納得できるパートナー開拓などと合わせて根気強く進め、開発を行っています」と語っている。

 同社のオリジナル製品開発コンセプトは「必要十分」な機能をより安く提供するということである。「産業機械におけるエレクトロニクス製品では主要メーカーが数多くの製品を展開していますが、顧客からは『もう少し機能が少なくてもよいので安くならないか』という要望を持つところも数多くあります。そうしたニーズを満たすような製品を開発したいと考えています」(製品担当者)と開発方針について述べる。

好調を続ける産業用タッチパネル製品「GX8シリーズ」

photo ミスミの「GX8シリーズ」(クリックで拡大)出典:ミスミ

 エレクトロニクス製品の中で特に最近好調なのが、2018年に発売したPLC用タッチパネル製品「GX8シリーズ」である。製品担当者は、「高性能、高品質であるのにもかかわらず低価格を実現していることが評価を受け、売り上げも毎年順調な伸びをみせています。まだまだ認知の課題はあるものの、顧客の評価は非常に高いものがあります」と語る。

 「GX8シリーズ」はクアッドコアCPUの搭載により、内部演算、ロギング、通信、警報、レシピなどを分散処理(マルチタスク処理)できるようになったことが特徴である。データ処理能力が向上し、高速応答を実現できるという。メモリ容量も扱うデータ量の増大に応え、全機種128MBの内部メモリを搭載する。

 また、従来モデルである「GX7シリーズ」では一部機種のみ対応となっていたEthernetポートが全機種で標準搭載されており、これによりさまざまな情報連携が容易になった。1:N接続の他、無線ルーターを利用することでVNC(Virtual Network Computing)接続ができ、IoT(モノのインターネット)活用でも力を発揮する。タブレット端末やスマートフォン端末から産業機械に設置された「GX8シリーズ」の画面の遠隔モニタリングや、遠隔操作も可能だ。

photo 「GX8シリーズ」をスマートフォン端末により遠隔操作するイメージ(クリックで拡大)出典:ミスミ

 さらに、FTP(File Transfer Protocol)接続により、保存してあるアラーム履歴、ログデータなどの閲覧もできる。PDFなどのデータ表示機能(ドキュメント表示機能)を搭載し、画面の拡大、縮小やページ切り替えも可能で、取り扱い説明書などの格納にも役立つ。WMVおよびMP4の動画再生機能も搭載し、エラー時の対処方法などを動画にすることで、トラブルシューティングの役割も果たす。その他にも複数のタッチパネルの画面を1画面で表示し、見たい画面にタッチすることでその画面を閲覧することができるスクリーンセル機能も搭載。階層の深いタッチパネルページをタッチ1つでアクセスすることが可能となった。

 設定については無料ソフト「GX8 Design Studio」で簡単に設定できるようにした。スイッチ、ランプ、グラフなど用途別にアイコンを整理しスタイリッシュなデザインで分かりやすく直感的な作画ができる。同作画ソフトには過去に設計した「GX7シリーズ」の資産流用もできる。

 画面サイズによるラインアップは、4.3インチワイド、5インチワイド、5.6インチ、7インチワイド、8.4インチ、10.4インチ、10.2インチワイド、12.1インチ、15インチと9機種を用意している。価格は「手頃で購入しやすい価格設定にしており、タッチパネルを使ってみようという心理的なハードルを下げることを意識している」(製品担当者)とし、この即納・低価格戦略もユーザーにとっては大きな魅力となっている。まさに「必要十分」を実現している。

 HMI製品であるPLC用タッチパネルは、PLCと同じメーカーのものを採用するケースが従来はほとんどだったが、ミスミ製品担当者によれば、「装置メーカーの競争激化による環境変化もあり産業機械業界にもより強いコスト低減のプレッシャーが生まれています。その中で、タッチパネル製品にも『機能が同等であれば、より安いものを選ぼう』とする機運が高まっています。実際に顧客の動きを見てもそういうニーズが増えていると感じています」と語る。現在は、小規模の製造業などを中心にリピート需要が大きく増えており、さらに大手製造業が自社の製造システムに組み込む形で採用されるケースも出始めているという。

photo 溶接ラインでの「GX8シリーズ」の使用例(クリックで拡大)出典:ミスミ

オリジナル製品と他社製品を組み合わせてソリューション提案に

 ミスミでは好調を続ける「GX8シリーズ」の強化に加えて、さらに既存製品の機能拡張や新たなソリューション提案に取り組んでいく方針である。

 「GX8シリーズ」については、PR活動などで顧客ニーズを集め、より付加価値のある製品提供を目指している。例えば「HDMI出力をし、工場内の「アンドン」と兼ねるニーズやUSBカメラなどで製造状態を確認するニーズなど確認している。製品開発の検討は既に進めており、製品の形に落とし込めるようにしていく」(製品担当者)とさらなるニーズの取り込みを進める方針だ。

 さらに、ECサイトで展開する「ワンストップ」のコンセプトを生かし、ミスミオリジナルブランド製品と他社ブランド製品を組み合わせ、簡単なソリューション提案も可能とし、顧客の課題をよりワンストップで解決できるような仕組みを目指す。

photo サン電子のIoT/M2M向けLTE対応Linuxゲートウェイ「Rooster NSX7000」(クリックでWebサイトへ)

 例えば、現在進んでいるのは、M2M(Machine to Machine)を手掛けるサン電子と協業し、IoT/M2M向けLTE対応Linuxゲートウェイ「Rooster NSX7000」とミスミの「GX8シリーズ」を組み合わせ、10万円台の初期導入コストで、インターネットを介したVNC遠隔監視ができるようなシステムの提供を近い将来検討しているという。さらなる製品開発についても「順次製品を開発しています。市場ニーズに合致する製品が開発できた領域から製品投入を進めていくつもりです」(製品担当者)。

 これらのように、ミスミではECだけでなく、従来メーカーでは満たせないニーズを満たす「必要十分」なオリジナル製品群を数多く展開している。開発装置にてコスト要件がどうしても厳しく部品の置き換えが必要な場合や、工場ラインの遠隔監視などで求められる機能が明確な場合などは、一度「MISUMI-VONA」をのぞき、エレクトロニクス部品の置き換えを検討してみてはいかがだろうか。

photo ミスミオリジナルブランド製品群(抜粋)(クリックで拡大)出典:ミスミ

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アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2019年11月22日