デジタルツインを実現するCAEの真価
特集
» 2019年10月11日 07時30分 公開

3DEXPERIENCE FORUM Japan 2019:EVプロトタイプの共同開発を支える「3DEXPERIENCEプラットフォーム」 (1/2)

ダッソー・システムズの年次イベント「3DEXPERIENCE FORUM Japan 2019」の基調講演において、GLM 代表取締役のジュリアン・カー氏が登壇。「持続可能な未来の電気自動車」と題し、同社の取り組みを紹介するとともに、コラボレーティブなイノベーションの推進について、その考えを述べた。

[八木沢篤,MONOist]

 ダッソー・システムズは、年次イベント「3DEXPERIENCE FORUM Japan 2019」(会期:2019年10月8〜9日)を開催。「インダストリー・ルネサンス 〜持続可能な世界に向かうイノベーション、ビジネス、人」をテーマに、基調講演、パートナーセッション、そして業界別分科会やデモ展示などを多数用意し、3DEXPERIENCEプラットフォームがもたらす“価値”について広く訴求していた。

 本稿では初日の基調講演から、京都発のEVベンチャーであるGLMの講演「持続可能な未来の電気自動車」の内容を取り上げる。

GLM 代表取締役 兼 W.E.ソリュ―ジョンズ・リミテッド(香港)チーフ・テクニカル・オフィサーのJulian Carr(ジュリアン・カー)氏 GLM 代表取締役 兼 W.E.ソリュ―ジョンズ・リミテッド(香港)チーフ・テクニカル・オフィサーのJulian Carr(ジュリアン・カー)氏

コラボレーティブなイノベーション推進を目指すGLM

 登壇したのは、2019年6月にGLM 代表取締役に就任したJulian Carr(ジュリアン・カー)氏。冒頭、カー氏は講演テーマにある「持続可能な未来の電気自動車」の実現に不可欠な要素として、「持続可能な未来のエネルギー」「EVエンジニアリングテクノロジー」、そして「コラボレーティブイノベーション」の3つを挙げた。その中でも、コラボレーティブイノベーションは極めて重要だとし、カー氏は「顧客が求める新しいコンセプトのクルマを共同プロジェクトの形で実現していくことを目指す」と語る。

GLMの沿革について GLMの沿革について 出典:GLM(クリックで拡大)

 GLMは、2006年に京都大学ベンチャーラボで発足した「京都電気自動車(EV)プロジェクト」を起源とし、2010年に設立された企業。2015年に国産EV初となるスポーツカータイプの「Tommykaira ZZ(トミーカイラZZ)」の販売を開始し、大きな話題を呼んだ。

 また、独自のEV開発に加え、パートナー企業との共同開発にも積極的に取り組み、旭化成とはコンセプトEV「AKXY」を、帝人とはポリカーボネート樹脂製フロントウィンドウ搭載EVを、京セラとはスポーツカータイプのEVを共同開発している。また、直近ではユニバンスと機電一体型「e-Axleシステム」を搭載したEV試験車両の開発にも取り組んでいる。

帝人京セラユニバンス 帝人(左)、京セラ(中央)、ユニバンス(右)と共同開発したコンセプトEV3台が「3DEXPERIENCE FORUM Japan 2019」の会場に!(クリックで拡大)

 同社のビジネスの柱は2つある。1つは独自車両を設計開発して販売を行う「完成車事業」。もう1つは、シャシーやボディーフレーム、EVシステムをパッケージ(プラットフォーム)化し、EVソリューションとして提供することで、顧客の研究開発を支援する「プラットフォーム事業」である。前述したパートナー企業との取り組みはこの枠組みで行われたもので、新たなEVのプロトタイプやコンポーネント、自動運転車のプロトタイプ開発なども手掛け、さまざまなコラボレーションが生まれているという。

GLMのビジネスGLMのターゲット GLMのビジネスとターゲットについて 出典:GLM(クリックで拡大)

 これら2つのビジネスは、主に「ワンオフプロトタイプ」と「少量生産」にフォーカスしたものだ。「中でもパートナー企業と共同で取り組むプラットフォーム事業は、EVプラットフォームを用いて開発することもあれば、車両モデルを用いてゼロベースから開発を進めることもある。この3Dモデルを中心とした開発の実現において、ダッソー・システムズの『3DEXPERIENCEプラットフォーム』を活用している」(カー氏)という。

 具体的には、3DEXPERIENCEプラットフォームを用いて、クラウド上でのメカ設計および電気設計を実現し、シームレスなエレメカ協調設計、シミュレーション活用、関係者間のコラボレーションを支援する。「3DEXPERIENCEプラットフォームの採用で企業同士のコラボレーションの道が大きく開けた。構造や材料の変更、あるいは寸法や重量に関しても規制を考慮したシミュレーションが可能となる。これら全てがクラウド上で行えるため、コラボレーティブなイノベーションの推進が図れるようになった」とカー氏は述べる。

クラウドでのメカ設計および電気設計 クラウドでのメカ設計および電気設計 出典:GLM(クリックで拡大)
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.