特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
ニュース
» 2019年10月16日 12時00分 公開

スマートファクトリー:半導体製造中間工程の立ち上げ期間を半分以下に、パナソニックが日本IBMと協業で (1/2)

パナソニックスマートファクトリーソリューションズと日本IBMは2019年10月15日、半導体製造分野において協業することを発表した。パナソニックの推進する新たな製造プロセス「プラズマダイシング」を、日本IBMがITソリューションでサポートし、立ち上げ作業の負荷を軽減する。

[三島一孝,MONOist]

 パナソニックスマートファクトリーソリューションズと日本IBMは2019年10月15日、半導体製造分野において協業することを発表した。パナソニックの推進する新たな製造プロセス「プラズマダイシング」を、日本IBMがITソリューションでサポートし、立ち上げ作業の負荷を軽減する。その他、設備の稼働率向上などを実現し半導体製造プロセスにおける総合設備効率(OEE)向上を目指す。

photo 右からパナソニック コネクティッドソリューションズ社 上席副社長の青田広幸氏、パナソニック 代表取締役 専務執行役員の樋口泰行氏、日本IBM 代表取締役社長の山口明夫氏、同 専務執行役員の武藤和博氏(クリックで拡大)

半導体製造工程の複雑さをITで支援

 今回の協業の狙いについて、パナソニック 代表取締役 専務執行役員で、パナソニック コネクティッドソリューションズ社(CNS社)社長の樋口泰行氏は「パナソニックCNS社では『現場プロセスイノベーション』をビジョンとし、モノを作って運んで売るというそれぞれの現場を支援することに取り組んでいる。その中でパナソニックが持つエッジデバイスやそれに付随する情報を、日本IBMが持つ分析技術を活用することで、さまざまな価値を生み出すことができると考えた。特に多くのデータを活用する半導体製造領域はデータ分析が生きる領域である。新たな価値提供の在り方を日本発で構築し世界に発信できるようにする」と語っている。

 一方で、日本IBM 代表取締役社長の山口明夫氏は「IBMは実は半導体部門を抱えており、各工程の一貫した研究開発体制がある。さらに自社での研究成果などを生かし、半導体製造業界向けのMES(製造実行システム、Manufacturing Execution System)やプロセス管理システムでは豊富な実績を持つ。これらと先進技術を組み合わせつつ半導体製造工程に新たな価値を創出する。従来はコンサルティングやIT導入の支援が中心だったが、今後は日本のユーザーのソリューションと1つになり、その中に入り込んでより高い価値を実現し、一緒に世界に打ち出すというような役割が重要になる」と語っている。

 両社の協業は将来的には「スマートファクトリー」や、半導体製造工程の一貫したデータ連携などにつなげることを視野に入れているが、当面は半導体製造工程における「中間工程」の効率化をターゲットとする。

photo 日本IBMが描くスマートファクトリーにおけるデータ活用の仕組み(クリックで拡大)出典:日本IBM

パナソニックの「プラズマダイシング」技術

 半導体製造工程にはシリコンウエハー上に回路を形成する前工程、ウエハーをダイに分割しボンディングやパッケージングなどを行う後工程に分けられる。パナソニックは特に後工程の前半部の製品(中間工程)を中心に展開。同領域においてプラズマを用いて高品質なウエハーを切り出すプラズマダイサー、金属接合性や樹脂密着性を高めるプラズマクリーナー、高精度ボンディング装置などを強化している。

photo パナソニックが狙う半導体製造工程の中での領域(クリックで拡大)出典:パナソニック

 特にプラズマダイサーは、従来のダイシング技術と異なり、非接触でダイ切断が可能な他、ウエハーへのダメージが少ないということが特徴で、今後の普及拡大が見込まれているという。ダイサイズの小型化が求められるIoT機器やイメージセンサー、メモリなどの用途向けで高い関心を得ているという。

 一方で、プラズマダイサーは新領域の製品であるために立ち上げに非常に時間がかかる課題がある。従来は熟練技術者が試作を何度も繰り返し、ズレを解消する作業が発生するために、生産の立ち上げまで数週間かかるケースがほとんどだった。

 これを協業により大幅に短縮することを目指す。日本IBMが持つ半導体製造工程向けの知見により、APC(高度プロセス制御、Advanced Process Control)、FDC(故障・予兆管理、Fault Detection and Classification)などのデータ解析システムや、上位レイヤーのMESなどの技術を応用し、「レシピの自動生成」などを行う「プロセスコントロールシステム」を共同で開発する。

 これにより「従来は数週間かかっていた立ち上げ期間を、1〜2日で行えるようにする。また量産中の形状変化に対してもレシピを自動補正する機能などを備え、品質の向上や安定化を実現する」とパナソニック コネクティッドソリューションズ社 上席副社長で、パナソニックスマートファクトリーソリューションズ 代表取締役社長の青田広幸氏は語っている。

photo プラズマダイサーにおける協業の効果(クリックで拡大)
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.