サステナブルなモノづくりの実現

こけを育て空気を浄化するタイヤと、陸・空の“ツーインワン”を実現するタイヤ東京モーターショー2019

日本グッドイヤーは「第46回東京モーターショー2019」に出展し、コンセプトタイヤ「Oxygene(オキシジェン)」と「AERO(エアロ)」を参考出品した。

» 2019年10月24日 08時00分 公開
[八木沢篤MONOist]

 日本グッドイヤーは「第46回東京モーターショー2019」(会期:2019年10月24日〜11月4日、東京ビッグサイト他)に出展し、コンセプトタイヤ「Oxygene(オキシジェン)」と「AERO(エアロ)」を参考出品した。それぞれ、2018年、2019年のジュネーブ国際モーターショーで発表されたもので、国内展示会では初出品だという。

コンセプトタイヤ「Oxygene」コンセプトタイヤ「AERO」 (左)コンセプトタイヤ「Oxygene」/(右)コンセプトタイヤ「AERO」(クリックで拡大)

空気をきれいにするタイヤ「Oxygene」

 Oxygeneは、開放的なタイヤ構造とトレッドデザインにより、路面からの水滴や水分を吸収してサイドウォール内の苔(こけ)を育て、光合成により発生した酸素を空気中に放出するというコンセプトを掲げた未来のタイヤだ。「大気汚染をはじめとする環境問題に対して、われわれタイヤメーカーとして何ができるかを考え、生まれたのが、空気の清浄化を実現するというこのコンセプト(Oxygene)だ」(日本グッドイヤーの説明員)。

グッドイヤーのコンセプトタイヤ「Oxygene(オキシジェン)」

 Oxygeneのタイヤは3Dプリンタを用いたエアレス構造を採用し、リサイクルタイヤのゴムパウダーを材料に用いるという。さらに、光合成で発生するエネルギーを取り込み、オンボードセンサー、AI(人工知能)処理装置、ストリップライトといった内蔵デバイスを自家発電で動かすとしている。これらに加え、通信機能も備える。可視光通信システム(LiFi)を使用して、タイヤのIoT(モノのインターネット)化を実現し、車車間(V2V)/路車間(V2I)でのデータ通信を可能とする。

陸と空の“ツーインワン”を実現するタイヤ「AERO」

 一方のAEROは、“ツーインワンタイヤ”というコンセプトの下、空飛ぶクルマ向けに設計された未来のタイヤだ。地上を走行するためのタイヤとして機能すると同時に、空を飛ぶためのプロペラとしての役割も果たす「マルチモーダルデザイン」を採用する。

グッドイヤーのコンセプトタイヤ「AERO(エアロ)」

 こちらもOxygeneと同様にエアレス構造のタイヤ。特にスポーク部が特徴的で、地上走行時には車両重量をしっかりと支え、飛行時には(タイヤを傾けて)ファンブレードとして機能する。「地上を走るクルマとしてのクッション性能を保持しつつ、ローターの高速回転に耐えられる強度も求められる」(日本グッドイヤーの説明員)。推進力としては磁力(磁気推進力)を用い、タイヤのモニタリングやAIプロセッサ(データ分析に基づいた走行/飛行モードの切り替えや問題察知など)としての機能を備えることも想定しているとのことだ。

 「いずれもエアレス構造を採用したタイヤだが、製造には3Dプリンタなどの新たな製造技術が必要だと考えている。また、空飛ぶクルマ開発は自動車メーカーが中心となって推進しているが、タイヤメーカーとしてもそれに応える準備を進めておく必要があると考えている」と日本グッドイヤーの説明員は述べる。

日本グッドイヤー 代表取締役社長 金原雄次郎氏(左)と、Goodyear Tyre Management Company(Shanghai) アジア・パシフィック地区 製品開発担当副社長のDavid Zanzig(デビッド・ザンジグ)氏 展示ブースを訪れていた日本グッドイヤー 代表取締役社長 金原雄次郎氏(左)と、Goodyear Tyre Management Company(Shanghai) アジア・パシフィック地区 製品開発担当副社長のDavid Zanzig(デビッド・ザンジグ)氏

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