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» 2019年10月29日 11時30分 公開

簡単自動化:価格は1万円、「からくり」から“一歩だけ”進んだ制御機器が開拓する隙間市場

SUSが展開する「初めてでも簡単に使える」をコンセプトとしたFA用コントローラー「SiO」シリーズが好調だという。PLCを使うほどではないが「からくり」からは一歩進化させたいという従来の“隙間”のニーズにうまくはまり、関連部材なども含めて引き合いが急速に拡大している。

[三島一孝,MONOist]

 アルミ素材メーカーのSUSが展開する「初めてでも簡単に使える」をコンセプトとしたFA用コントローラー「SiO」シリーズが好調だという。PLCを使うほどではないが「からくり」からは一歩進化させたいという従来の“隙間”のニーズにうまくはまり、関連部材なども含めて引き合いが急速に拡大している。

「からくり」の延長の制御

 製造現場の人手不足は深刻化しており、生産性改善は急務であるといえる。しかし一方で、労働人口減少の影響から、改善スキルを持つ人材の不足も進み、自動化や生産性向上などに取り組もうとしても、PLC(Programmable Logic Controller)などをプログラミングできる人材がいなくなってきているのが現実である。海外ではラダー言語を使うPLCではなく、PCベースのソフトウェアコントローラーなどを使うケースも増えてきており、今後新たにPLC独自のラダー言語で制御プログラムを作る人材を増やすことも難しいということも予想されている。

photo SUS 第2開発グループ SU開発チーム チームマネージャーの辻宏之氏

 こうした中で、専門人材ではなくても簡単に使えることを目指して開発されたのが、SUSのシンプルI/Oコントローラー「SiO」シリーズだ。SUSはもともと工場内の「からくり」などでよく使用されるアルミフレームを展開し、多くの工場への導入実績を持つ。「からくり」は、モーターやセンサーなどの動力や制御機器を持たずにアナログな機構だけで一定の動作を実現する仕組みだが「使いこなし始めると、さらに進化させるために電気制御を使いたいとする声も出てきた。しかし、電気制御の知識のない製造現場の担当者だけでは従来のPLCは難しい上に高価で、この隙間を埋める何かができないかと考えた」と開発を担当したSUS 第2開発グループ SU開発チーム チームマネージャーの辻宏之氏は開発の経緯を語る。

 そこで2016年に開発し発売したのが「SiO-C」となる。開発のポイントとして位置付けたのが徹底した「シンプルさ」と「低価格」だ。「家電製品などを見ていてもさまざまなニーズに無理に応えようとして機能が増え、複雑になっている状況がある。多機能な製品が必要であれば既存のPLCを利用すればよいので、徹底的にシンプルさにこだわった」と辻氏は語っている。

とにかく「シンプル」で「安く」が特徴

 端子台は押して差し込むだけで電線の固定が可能なプッシュイン端子台を採用。事例なども数多く用意し合わせて紹介するようにした。また、専用のプログラミングソフト「SiO-Programmer」には日本語選択方式を採用。「or」などの簡単な英語も「または」と、全て日本語に言い換え、誰でもこれらを選択するだけでプログラムができる仕組みを作った。価格も1万円を切る価格と設定し「初めて電気制御製品を扱う人でも迷わず使えることを目指した」(辻氏)。

photo 日本語選択方式を採用した「SiO-Programmer」の画面(クリックで拡大)

 さらに2017年には「配線も大変という声から、組み合わせて使う定型の部品と専用のコネクターで結ぶe-CONコネクターを採用した。これにより対応周辺機器をコネクターで差し込むだけで簡単に使うことができるようになった」と辻氏は語る。これがブレークスルーとなり引き合いが急増。現在も月に10〜15件の問い合わせが継続する状況になっているという。

photo e-CONコネクター採用の「SiO2」コントローラーとe-CONコネクター対応の周辺機器。対応機器をSiOに差し、選択式プログラムを行うだけで簡単に電気制御が行える(クリックで拡大)

 e-CONコネクター対応製品も、スイッチや表示灯、センサー類などラインアップを拡充。ニーズの多い製品から対応周辺機器の拡充を図っているという。e-CONコネクターのみでも提供しているため、独自で周辺機器を用意して接続することも可能だが「対応製品を購入する顧客の比率が非常に高い」(辻氏)としている。

 2019年5月には「SiO」を8台まとめて統合管理するマルチI/Oコントローラー「MiO」なども発売。「SiO」を組み合わせてより複雑な動作を行わせたいとするニーズに応えている。

AGVとの組み合わせに期待

 導入企業については「もともとからくりなどを活用していた自動車系の企業が多いが、その他の用途でも広く使われ始めている」(辻氏)という。また使い方については「1つが搬送用途でからくりだけでは難しい場合一部を電動化して効率を高めようという部分で採用されている。ワークの上げ下げを行うレベルリフターなどの用途も多い。組み立て生産ライン内での簡単な検査などの用途でもよく使われている」と辻氏は語っている。

 今後に向けては「多くの工場でAGV(無人搬送車)を導入して柔軟な搬送を行いたいというニーズが高まっており、これらと組み合わせる用途での使用が広がると見ている。AGVではさまざまな場所でさまざまなワークを運ぶため、現在はステーションなどでからくりと組み合わせて使うケースも多いが、電気制御を組み合わせることで運べるワークの種類も増え、効率を高めることもできる」と辻氏は今後のニーズについて語っている。

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