加工方法を知らずに絵を描いていて不安にならないの?ママさん設計者が教える「設計者のための部品加工技術の世界」(1)(3/3 ページ)

» 2019年10月30日 10時00分 公開
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まとめ

 流れをまとめると、1工程目にフライス加工、2工程目に型彫り放電加工、3工程目にワイヤ放電加工と、3つの加工方法を渡り歩いて、ようやく要求仕様通りの試作品が出来上がったというわけです。

 加工方法を検討する際は、「切る」「削る」「曲げる」「つぶす」「溶かす」といった物理的な検討だけではなく、加工時間とコストも同時に考えます。この時間はちょっとした謎解きのようなもので、加工屋さんは図面やデータを受け取ると、まずこの謎解きの時間に入ります。

 加工屋さんは、受け取った図面やデータに忠実にモノを作ることが仕事なので、一見すると加工困難と思われる形状でも、よっぽどの加工不可能な形状でない限り何とかその謎を解いて作ってしまいます。その苦労の末の加工情報が設計者にフィードバックされれば、徐々に加工方法や手順を考慮した現実的な部品設計ができるようになるのですが、設計者が現場に積極的に問い合わせない限り、フィードバックされることはまずありません。

 自分の描いた絵を持って加工現場に行って、加工手順の組み立てを一緒に考えるなど、加工中の様子を“見て学ぶ”ということは、とても大切なことなのです。



 次回は、板金加工の世界に触れます。(次回に続く)

Profile

藤崎淳子(ふじさきじゅんこ)

長野県上伊那郡在住の設計者。工作機械販売商社、樹脂材料・加工品商社、プレス金型メーカー、基板実装メーカーなどの勤務経験を経てモノづくりの知識を深める。紆余(うよ)曲折の末、2006年にMaterial工房・テクノフレキスを開業。従業員は自分だけの“一人ファブレス”を看板に、打ち合せ、設計、加工手配、組み立て、納品を一人でこなす。数ある加工手段の中で、特にフライス盤とマシニングセンタ加工の世界にドラマを感じており、もっと多くの人へ切削加工の魅力を伝えたいと考えている。

・筆者ブログ「ガノタなモノづくりママの日常」


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