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フルカラー&マルチマテリアル対応3Dプリンタの新製品「Stratasys J850」登場3Dプリンタニュース

ストラタシス・ジャパンは、フルカラー&マルチマテリアル対応のPolyJet方式3Dプリンタの新製品「Stratasys J850」を発表。これに併せて年次イベント「ストラタシス 3Dプリンティングフォーラム 2019」の会場で実機の展示デモを披露した。

» 2019年11月01日 13時00分 公開
[八木沢篤MONOist]

 ストラタシス・ジャパンは2019年10月29日、フルカラー&マルチマテリアル対応のPolyJet方式3Dプリンタの新製品「Stratasys J850」(以下、J850)を発表。これに併せて年次イベント「ストラタシス 3Dプリンティングフォーラム 2019」(開催日:同年10月30日)の会場で実機の展示デモを披露した。

年次イベント「ストラタシス 3Dプリンティングフォーラム 2019」の会場で披露された「Stratasys J850」 年次イベント「ストラタシス 3Dプリンティングフォーラム 2019」の会場で披露された「Stratasys J850」(クリックで拡大)

 J850は「Stratasys J750」(以下、J750)の後継機として位置付けられ、性能をさらに強化。併せて、J850対応の新材料2種を発表し、形状試作だけにとどまらない幅広い活用メリットを訴求する。最大造形サイズはJ750と同じ490×390×200mm。

従来比2倍の高速造形が可能に! 初期試作に最適な「超高速モード」

 J850では、コンセプトモデルの高速造形に最適な「Super High Speed Mode(超高速モード)」を搭載し、J750のHigh Speed Modeと比較して約2倍の高速造形を可能とする(Z軸ピッチ:55μm)。これにより、コンセプトデザイン検討の迅速化が図れ、初期試作のリードタイム短縮に大きく貢献できるとする。なお、Super High Speed Modeは新材料の「DraftGrey」を使用した場合にのみ選択できる。

J850の造形サンプルの1つ(イヤフォンケース)。一番左がDraftGreyを用いたSuper High Speed Modeでの造形サンプル J850の造形サンプルの1つ。一番左がDraftGreyを用いたSuper High Speed Modeでの造形サンプル(クリックで拡大)

 さらに、J850では同時使用可能な材料を最大7種類に増量(J750は最大6種類)し、4.0kgの大容量カートリッジに対応。同時使用数が増え、1度の造形で複数材料を組み合わせて利用できるため、色、透明性、柔軟性の幅がさらに広がり、デザイナーや設計者は意図したパーツを即座に手にすることができるという(色再現は50万色以上)。また、本体にはタッチパネルモニターが付属し、「GrabCADPrint」からダイレクトに造形することが可能。汎用(はんよう)的なCAD形式から直接造形でき、ワンクリックでPANTONEカラーをマッチングすることが可能だという。

クリアを「よりクリア」に表現できる新素材「VeroUltraClear」

 Super High Speed Mode向けのDraftGreyの他、PolyJet方式3Dプリンタの中でも特に需要の高かった「VeroClear」の透明度をさらに向上させた新材料「VeroUltraClear」も発表した。

 このVeroUltraClearを造形モデルのコア(内部)に適用し、表面をVeroClearで覆うことで厚みのあるモデルでも透明度を落とすことなく、ガラスやアクリルのようなパーツを作成できるという。

J850の造形サンプルの1つ(パフュームボトル)。新材料「VeroUltraClear」により透明度の高い造形が可能に J850の造形サンプルの1つ(パフュームボトル)。新材料「VeroUltraClear」により透明度の高い造形が可能に(クリックで拡大)
エポック社によるサンプル 「ストラタシス 3Dプリンティングフォーラム 2019」の会場では、J850を用いたユーザー事例も展示されていた。こちらはエポック社によるサンプル。「シルバニアファミリー」の3Dデータを縮小して、正方形の小さな空間の中に閉じ込めたミニチュア(研究段階のもの)。左がJ850(VeroUltraClear)を用いたもの、右がJ750(VeroClear)を用いたもの(クリックで拡大)

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