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» 2019年11月11日 06時00分 公開

車・バイク大好きものづくりコンサルタントが見た学生フォーミュラ2019:学生もEV開発に試行錯誤、先輩から後輩への技術伝承も課題に (1/4)

ラグビーワールドカップで日本がアイルランドに勝利し、沸きに沸いた静岡県袋井市・掛川市内の小笠総合運動公園(通称「エコパ」)。その約1カ月前の8月27〜31日に「第17回学生フォーミュラ日本大会2019」(以下、学生フォーミュラ)が開催されました。2019年もピットレポートを中心に学生さんの熱き活動を伝えていきたいと思います。

[関伸一/関ものづくり研究所,MONOist]

 ラグビーワールドカップで日本がアイルランドに勝利し、沸きに沸いた静岡県袋井市・掛川市内の小笠総合運動公園(通称「エコパ」)。その約1カ月前の8月27〜31日に「第17回学生フォーミュラ日本大会2019」(以下、学生フォーミュラ)が開催され、最終日にITmediaの松本貴志記者と取材してまいりました。

 2019年もピットレポートを中心に学生さんの熱き活動を伝えていきたいと思います。車両のレギュレーションや審査ルールなどは学生フォーミュラ日本大会公式サイト(https://www.jsae.or.jp/formula/jp/)をご覧ください。

全審査終了後の集合写真(クリックして拡大) 出典:学生フォーミュラ日本大会公式サイト

1週間前倒しの本大会

 学生フォーミュラは例年9月第1週に行われますが、2019年はラグビーワールドカップの準備があるとのことで、1週間前倒しで開催されました。地球温暖化の影響か、近年の日本はまるで亜熱帯のような暑い夏になりますが、学生さんたちの熱気がプラスされ、いつもより大変な取材になりそうな予感がしました。

 愛車のルノー「TWINGO GT」を走らせて10時ごろ大会会場に到着、プレスセンターで登録を済ませ、さまざまな情報が貼られている掲示板で、大会の華であるエンデュランス競技の出走順を確認。今回のFINAL6(前日までに行われたオートクロス競技のTOP6)は、出走順に静岡理工科大学、京都大学、芝浦工業大学、京都工芸繊維大学、横浜国立大学、名古屋工業大学。そして、エンデュランス競技前時点での順位が1位 大阪大学、2位 京都工芸繊維大学、3位 京都大学という情報を得て、90チームのテントがひしめくピットエリアに足を向けました。

#46鳥取大学(鳥取大学フォーミュラプロジェクト)

 さて、ピットレポートのトップを飾るのは私が個人的にスポンサーをしている鳥取大学、ピットに近づいていくと「あ、関先生! お世話になっています!」と元気な声が。なんだかいつもより明るい雰囲気でなのですが、それもそのはずチーム初の動的審査全て完走! リーダーの眞壁慶さん(以下M)にお話を伺います。

筆者のスポンサードの証。その下には元勤務先(クリックして拡大)

関(以下S) 全審査完走! すごいじゃないですか! 年々ステップアップしているね!

M ありがとうございます。

S 結果は満足?

M はい、取りあえず満足ですが、来年(2020年)に向けての課題もたくさん抽出できました。

S 年々ステップアップしているよね。そもそも私が初めてピットインタビューした時から2年連続で動的審査に出られなかったものね。落合君(2018年のリーダー)、頑張ったね!

落合さん(以下O) はい、つらい時期を見てきたので、本当に良かったと思います。

S 今年(2019年)のマシンはどこを変えたの?

M 始動性の改善です。先輩の久保田さん(エンジン担当、以下K)が頑張ってくれました。

K まずはバッテリーの強化です。サージタンクも追加しました。マフラーもサイレンサーを改良し、軽量化とともに以前ぎりぎりで通過していた騒音測定に余裕を持たせました。

S 去年から単気筒エンジンに変えたんだよね? 熱間始動性きついよね……。

K 今回もエンデュランスのドライバー交代時に再始動に少してこずり、オフィシャルの方がストップウォッチを握りしめている姿を見ながらぎりぎりでかかりました。

S でもやはりエンジン特性は単気筒の方がこのコースレイアウトに向いているし、軽量も魅力だよね。ヤマハ発動機の排気量450ccだとね?

K はい、他チームでは500ccへのボアアップなどをしていますので、われわれも考えなきゃいけないかなと思っています。

S 活動は楽しかった? あ、これは真鍋さんに聞かなきゃいけないね。

M 充実感がありまして……

K (リーダーは)最後泣いてましたよ。普段絶対に泣かないのに。やり切った感がありますよね。

S 分かるなぁ……私もサラリーマン時代に省燃費レースのリーダーをしていたんだけど、仕事終わってから遅くまでマシン作りして、とてもつらい時期もあったけど、やっぱり自分たちの作ったマシンが鈴鹿サーキットのストレートを走り抜ける姿を見ると目頭が熱くなったもの。さぁ、来年(2020年)に向けてまたスタートだね。いつかはFINALだぜ!

K はい、まずはエンデュランスのAグループで走ることを目指します。

O 関さんにスポンサーになっていただいたころに比べると随分レベルは上がったなと自負しています。

S そうだよね……そもそも鳥取に出張が多く、その時に立ち寄ったバーでバイトしていたかわいい女の子が鳥取大学生だったという、実に不純な動機からスポンサーになったんだけどね(笑)。でも、本当にうれしいよ。来年(2020年)もスポンサー続けるから、頑張ってね!

チームメンバーの皆さん ありがとうございます!

鳥取大学の皆さん。元気な笑顔が印象的(クリックして拡大)
鳥取大学の歩み
Car No. 結果
2016年 66 車検は通ったもののトラブルで動的審査に参加できず
2017年 59 シェイクダウンできずに車両とともに来場したものの審査受けられず
2018年 57 エンデュランス17周目で145%ルールに抵触しリタイア
2019年 46 チーム創設以降初めてエンデュランスを完走

 鳥取大学は初完走したエンデュランスで22位、燃費で7位と好成績を収めたものの、他の動的審査や静的審査の成績はまだまだで、最終順位は40位と伸び悩んだ。ここが眞壁リーダーの「来年(2020年)に向けての課題もたくさん抽出できました」という冒頭のコメントに表れているのでしょう。上の表のようにゼッケンは徐々に軽くなっていますが、ここから上に行くのに多くのチームが苦労しています。来年(2020年)のさらなる活躍に期待してスポンサーを続けます。

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