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» 2019年11月15日 06時30分 公開

イノベーションのレシピ:ダイソンが加湿空気清浄機の新製品を発表、微生物学や自然風データをフル活用 (1/2)

ダイソンは2019年11月14日、空気清浄、加湿、涼風の3機能を搭載した新製品「 Dyson Pure Humidify+Cool 加湿空気清浄機」を発表した。

[松本貴志,MONOist]

 ダイソンは2019年11月14日、空気清浄、加湿、涼風の3機能を搭載した新製品「 Dyson Pure Humidify+Cool 加湿空気清浄機」を発表した。衛生的な加湿や直径0.1μmレベルの微粒子(PM 0.1)の除去、自然のそよ風を模倣する空気流モードの搭載が特徴。同月29日から発売し、本体参考小売価格はオープン価格。同社直販Webサイトの販売価格は8万8000円(税込み)で、予約を受け付けている。

ダイソンのCharlie Park(チャーリー・パーク)氏

 同日に開催された製品発表会では、同製品の空気清浄効果に加えて、加湿システムの衛生に対するこだわりが強調されていた。同社で空調家電製品カテゴリーのグローバルカテゴリーディレクターを務めるCharlie Park(チャーリー・パーク)氏は「部屋全体を徹底的に清浄化する。(加湿に用いる)水を衛生的に除菌し、冬は衛生的な加湿、夏は涼風を提供する。1年を通して室内環境の改善に使うことができる」と製品の特徴について述べている。

製品の概要(クリックで拡大)

 加湿システムの開発は同社内の微生物学研究チームと共同で行った。加湿器の給水部は細菌が繁殖しやすく、加湿器が原因で発生したとされる集団感染の事例も報じられている。

 同社の加湿器は、給水タンクからくみ上げた水に殺菌力が強い波長の紫外線(UV-C)を照射し、水中の細菌を不活性化する「ウルトラバイオレットクレンズテクノロジー」を採用している。同製品では、より高速かつ省エネルギーな殺菌を目指してUV-Cライト部を新規開発している。

 試作を重ねるごとに、UV-C光源を電球からLEDに変更、直接照射からリフレクターを用いた反射・拡散照射に変更、リフレクター素材をアルミニウムからより反射率が高いPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)に変更、流路長や管路表面の荒さを最適化するなどの改良を施した。これにより、水の流量を増加させつつも従来機種と同等レベルの殺菌を瞬時に行えるという。

UV-Cライト試作の進歩(クリックで拡大)

 殺菌処理された水は、抗菌作用を持つ銀繊維を織り込んだ3Dエアメッシュ加湿フィルターに浸透し、紫外線で不活性化しなかった細菌の増殖を防ぐ。HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルターで清浄化した空気を加湿フィルターに通すことで水を蒸発させ、室内を加湿する。蒸発しなかった水は給水タンクに戻されるため、「製品が加湿を続ける間はタンク内の水も衛生的になる」(Park氏)仕組みだ。

同製品の内部模式図。下部の給水タンクからくみ上げられた水は、紫色で示されるUV-Cライト部を通り殺菌される。殺菌処理された水は加湿フィルターに浸透し、HEPAフィルターを通った清浄な空気によって蒸発、拡散する(クリックで拡大)

 微生物学研究チームから同製品の開発に携わったGem McLuckie(ジェム・マクラキー)氏は「世界各地の水サンプルに存在する細菌の研究を重ね、最適な殺菌手法を探し求めた。(この手法は)適切な強度で紫外線を照射することで、1ピコ秒で細菌のDNAを変性させる。空気中に存在している、土由来の最も耐性のある細菌株も不活性化できた」と説明する。

 HEPAフィルターは凝縮密封式ホウケイ酸マイクロファイバーで、総延長が9mに達するという。PM 0.1を99.95%捕集する能力を持つ。さらに、トリス緩衝液を浸透させた活性炭フィルターがベンゼンやアセトアルデヒドといった有害ガスを除去する。

 同製品には室内空気の質を測定するため、微粒子のサイズや密度を検知するレーザーセンサー、VOC(揮発性有機化合物)やNO2を検知するセンサー、温度と湿度を検知するセンサーを搭載。センサーから得られた空気の情報によって自動運転するオートモードも搭載している。また、これらデータは製品に搭載されているディスプレイやスマートフォンアプリから確認することも可能だ。

搭載センサーと確認できるデータの種類(クリックで拡大)
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