日本の顧客に寄り添って30年、時代に応じた組込みOSのニーズをとらえてサービスを進化製造業IoT

注目を集めるIoTやエッジコンピューティングで重要な役割を果たす組込みOSのベンダーとして知られるウインドリバー。日本法人の設立から30周年を迎えた同社は、今後どのようにデジタルトランスフォーメーションを加速化させていくのだろうか。

» 2019年11月27日 10時00分 公開
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 製造現場の自動化や自動運転車の開発、次世代移動体通信方式である5Gの活用による遠隔医療など、スマート社会の実現に向けた取り組みが加速している。あらゆるモノが相互接続し、さまざまなデータがIoT(モノのインターネット)で収集できる環境が整いつつある今、注目されているのがエッジコンピューティングだ。

 エッジコンピューティングとは、デバイスにいちばん近い環境でデータ加工や分析を行う処理を指す。現場のリアルタイム性を確保するためにも重要な技術だ。単なるエッジデバイスでのコンピューティング処理にとどまらない機能が求められることから、その存在は「インテリジェントエッジ」という位置付けに移行しつつある。

 2019年で日本法人設立30周年となる米国のウインドリバー(Wind River Systems)は、このエッジコンピューティングで重要な役割を果たす、組込み機器向けのOSやミドルウェアなどのリーディングカンパニーである。1981年に米国カリフォルニアで、防衛産業向けのコンサルティング企業としてスタートし、設立から7年後に業界初となる組込み機器向けリアルタイムOS(RTOS)を誕生させた。同社はグローバルに成長を続けており、航空宇宙、防衛、自動車、製造、医療、通信といった幅広い業界で製品とサービスを提供している。同社のRTOSである「VxWorks」や組込みLinuxの「Wind River Linux」は、全世界で20億を超えるデバイス上で稼働しているという。

米国ウインドリバー CEOのジム・ダクラス氏 米国ウインドリバー CEOのジム・ダクラス氏

 「日本で30年間ビジネスを続けられたのは、素晴らしい販売代理店様とパートナー様、そして何より、ウインドリバーの製品を評価し、採用していただいたお客様のおかげです」と語るのは、米国ウインドリバー CEOのジム・ダクラス氏である。

 そして、ウインドリバーの日本法人で営業本部 本部長を務める中田知佐氏は、日本市場での成長について「ウインドリバーが日本で注目されたきっかけは、組込み機器向けプロセッサの普及に伴ってVxWorksの需要が高まったことです。1990年代ごろから、VxWorksはフットプリントが小さくリアルタイム性が高いRTOSとして、デジタル家電やオフィス機器などへの採用が広がっていきました。その当時からVxWorksはネットワーク機能備えており、他の組込みOSとの差別化ポイントとして評価されたのです」と説明する。

 続けて中田氏は、「1990年代のデジタル家電やオフィス機器に続き、2000年代にはネットワーク通信インフラや防衛装備品、精密機器などのミッションクリティカル分野での導入が広がりました。また近年は、医療機器や自動運転車の領域でも採用が拡大しています。ミッションクリティカル分野の基盤として、幅広い業界でウインドリバーのOS・仮想化ソリューションが使用されています」と述べる。

ウインドリバー日本国内ビジネスの沿革 ウインドリバー日本国内ビジネスの沿革(クリックで拡大)

「セキュリティ」「安全性」「信頼性」「認証」を満たす

 ウインドリバーの優位性は、VxWorksやWind River LinuxといったOSに加えて、デバイス側の仮想化やクラウド側の仮想化基盤までを包括的に提供し、エッジからクラウドまでをサポートする幅広い製品ポートフォリオを提供している点だ。

 ダクラス氏は、「われわれは、RTOS、組込み機器向けの商用Linux、ハイパーバイザによる仮想化といった3つのソフトウェア領域で、世界でマーケットシェアNo.1を獲得しており、組込み業界で市場をけん引しています。お客様から高い評価を得ているのは、全ての製品とサービスで、『セキュリティ』『安全性』『信頼性』『認証』の4つを満たしていることが大きな理由になっています」という。

※出典:VDC Research: The Global Market for IoT & Embedded Operating Systems 2018, Hypervisors, Safe & Secure Operating Systems January 2019

ウインドリバーは「安全性」「セキュリティ」「信頼性」「認証」を満たす基盤を提供している ウインドリバーは「安全性」「セキュリティ」「信頼性」「認証」を満たす基盤を提供している

 中でも「セキュリティ」は、IoT時代に入り製品開発における最重要要素になっている。ウインドリバーでは、ソフトウェアのコードを書く段階から、セキュリティを内包する形で組み込んでいる。セキュリティの状態を常時モニタリングしており、万が一脆弱性が発見された場合にも、対策を講じている。

 ダクラス氏は、「ウインドリバーは、『開発』『導入』『運用』といった製品ライフサイクル全般にわたってセキュリティを組み込んでいます。われわれの製品、サービスは各業界の厳格なセキュリティ要件を全て満たしており、そのデバイス数はグローバルで20億台以上になります。つまりそれだけの、セキュリティに関する知見とデータがあるのです」と強調する。

 また「安全性」もウインドリバーの根幹を担う要素に位置付けられている。顧客が利用するシステムは、コンポーネントの安全性担保が重要だ。また、航空宇宙、防衛、ネットワーク、製造、自動車といった重要インフラを支え、ミッションクリティカルなアプリケーションの要求に応えつつ、各業界の規制と業界特有の要件を満たさなければならない。

 ウインドリバーでは安全性やコンプライアンス、セキュリティの要件に関するアセスメントサービスの提供や、規格に準拠した認証取得が求められるシステムの開発支援に注力している。ダクラス氏は、「信頼性を確立するためにも、厳格なテストを実施するのは当然だ。われわれの商品は止まることが許されない重要インフラで多用されており、どのような条件下でも正しく安全に動作することが求められる」と力説する。

 ウインドリバーは高品質の製品・サービスを提供するため、組織としても、製品としても対応を行っている。例えば、組織のプロセスでは「CMMI(能力成熟度モデル)レベル3」を達成しており、業務プロセスが明確化された受託開発を行っている。製品ではコンピュータセキュリティの国際規格である「Common Criteria」の評価保証レベル4+を、安全認証では「DO-178C」「ISO 26262」「IEC 61508」「IEC 62304」、製品マネジメントシステムでは「ISO9001:2015」、さらにセキュリティでは米国政府機関が企業に対して求めるセキュリティのガイドライン「NIST SP800-171」などもクリアしているとのことだ。

ウインドリバーは、これまで幅広い業界の安全性認証プログラムで採用されている ウインドリバーは、これまで幅広い業界の安全性認証プログラムで採用されている

「ワークロードのコンソリデーション」がカギ

 近年のデジタルトランスフォーメーション(DX)の潮流は、ウインドリバーの顧客にも大きな影響を与えている。ダグラス氏は、「DXで大切なのは、自社にとってのDXの価値を見極めること」だと指摘する。

 「DXの第一歩は、データアクセスの効率性を高めることであり、接続性が重要な意味を持つ。現在はシステムが作成するデータが増え続けているが、DX本来の価値は、システム効率を高めるためにデータを活用できて初めて価値が生み出される。高度な分析を効率的に行うために、ウインドリバー製品は接続性という技術を考慮して開発している」(ダグラス氏)

 ただし、そこには課題もある。それがレガシーシステムとの接続性だ。レガシーシステムと新技術を堅牢な形で接続させることは、日本だけではなく、グローバルにおいても大きな課題となっている。例えば、レガシーシステムに5Gに対応した無線接続機能を追加し、安定的に運用するには、ネットワークの知見だけでなく、既存システムに対する知見も必要になる。こういった課題に対してウインドリバーは、エッジデバイスとクラウドを柔軟につなげるクラウドプラットフォームにより、5Gのような最新技術とレガシーシステムの共存を実現している。

 また、リアルタイムでの処理が求められる制御系システムと、搭乗者向けに娯楽を提供するHMI(Human Machine Interface)を1つのプラットフォーム上で動作させる自動運転車の統合コックピットのような異種OSが混在するヘテロジニアスな環境も増えつつある。これらの用途では、ハイパーバイザ機能を持つ「Wind River Helix Virtualization Platform」が役立つ。

 ダグラス氏は「これらのように、異種OS間を接続し、異種OSが混在するヘテロジニアスな環境が当たり前になる状況では、仮想化技術を活用した『ワークロードのコンソリデーション(統合)』が重要です。ウインドリバーは、その最適解を用意しています」と述べる。

業界の“シームレス化”が追い風に

ウインドリバー日本法人の中田知佐氏 ウインドリバー日本法人 営業本部 本部長の中田知佐氏

 日本市場でも、エッジコンピューティングを中核としたDXを推進する企業は増加している。中田氏は「日本市場ではファクトリーオートメーションや精密機械といった産業機械での需要が堅調に伸びています。近年の注力領域である自動車や医療などの分野も需要の増加が期待されており、今後のウインドリバーの大きな柱となる事業になっていくでしょう」と説明する。

 自動車分野では今後、ソフトウェアの品質が自動車全体の性能を左右するようになる。中田氏は「ソフトウェア化に進めば、ハードウェアとソフトウェアが抽象化されるでしょう。そういう状況では、既存のサプライチェーンの在り方や、当社のようなソフトウェアベンダーと自動車メーカーの関係も変わっていきます。これまでの関係性も大切にしながら、自動車業界全体のDXもサポートできれば、ウインドリバーにとって大きなチャンスになります」と語る。

 もう1つ日本市場で発生しているトレンドは、業界ごとの垣根がなくなっていることだ。5Gは通信業界だけの話ではなく、製造や医療の分野にも深く関係する。「かつては通信機器向けとして提供していた当社のクラウドプラットフォーム製品が、スマート工場などの製造の分野でも導入が進みつつあります。こうした“シームレス化”は、30年間にわたって日本市場で幅広い産業を支援してきたウインドリバーにとって追い風といえるでしょう」(中田氏)。

ウインドリバーは幅広い業界をカバーする ウインドリバーは幅広い業界をカバーする

“独立”のメリットは「エコシステム構築」と「より迅速で柔軟なサービスの提供」

 ウインドリバーの創業は1981年だが、2009〜2018年の約10年間はインテルの傘下にあった。2018年6月、ウインドリバーは米国の投資ファンドであるTPGキャピタルに買収される形でインテルから“独立”している。ダクラス氏は「インテル傘下時代も現在も、ウインドリバーの経営方針とお客様に対するアプローチは変わりません」と語る。

 “独立”によってウインドリバーが手に入れたのは、「自由なパートナーエコシステムの構築」と「より迅速で柔軟な対応」だという。これまでインテル傘下という立場上、関係を持つことが難しかった他のプロセッサベンダーとパートナーシップを組み、長期的なエコシステムを構築できるようになった。

「革新と同時に、迅速な行動と意志決定も重要です。われわれは独立したことで、そうした柔軟さを確立しました。お客様により迅速で柔軟なサービスを提供していくとともに、お客様のこえを製品開発やサポートにアグレッシブに反映させていく」(ダクラス氏)

 また、「グローバルでの最新技術――特にAI――開発は、企業間ではなく国家間の競争になっている。今後2〜3年は技術的にもさまざまなことが起こるが、重要なのは長期的な視点で技術を捉え、何が必要なのかを見極めることだ」とダグラス氏は力説する。

「ウインドリバーにはグローバル市場で培った知見と幅広い業界での知識があります。こうした利点を最大限に活かして、自動から自律型システムへ進化が求められている日本のお客様のデジタルトランスフォーメーションを加速し、ともにビジネスの成長を加速していきたいと考えています」(ダグラス氏)

ウインドリバーのジム・ダクラス氏と中田知佐氏 ウインドリバーのジム・ダクラス氏(右)と中田知佐氏(左)。日本の顧客とともに成長を目指す

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提供:ウインドリバー株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2019年12月26日

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