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» 2019年12月23日 10時00分 公開

Hitachi Social Innovation Forum 2019 TOKYOレポート:ロジスティクスにロボットやAIを活用し、物流現場とサプライチェーン、輸配送の高度化へ

日立製作所のプライベートイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2019 TOKYO」のロジスティクスコーナーでは、人材不足や属人化の解消、少数製品の求められたタイミングでの提供といった課題に対応する技術を、「物流現場の高度化」と「サプライチェーン・輸配送の高度化」に分けて紹介した。

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 日立製作所は2019年10月17〜18日、東京国際フォーラムにおいてプライベートイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2019 TOKYO」を開催した。同イベントでは多数の講演が行われた他、展示会場では進化を続ける社会イノベーション事業の最新成果や今後の展望などが7つのカテゴリーに分けて披露された。

 製造業との関わりが深いインダストリーカテゴリーは、「ロジスティクス&リテール」「マニュファクチャリング」「ロボティクス」「メンテナンス」の4つのコーナーを展開。

 日本では、さまざまな産業分野で課題が指摘されているが、最も顕著になっているのが物流を扱うロジティクス分野だろう。人材不足や属人化の解消はその代表的なものだが、生活環境や顧客の嗜好変化などにより、より少数の製品を求められたタイミングで提供する需要も高まっている。今回は、「ロジスティクス&リテール」コーナーのうち、ロジスティクスの分野において、これらの課題に対応するさまざまな技術について、「物流現場の高度化」と「サプライチェーン・輸配送の高度化」に分けて紹介した。

「Hitachi Social Innovation Forum 2019 TOKYO」展示会場のロジスティクスコーナー 「Hitachi Social Innovation Forum 2019 TOKYO」展示会場のロジスティクスコーナー

日立が考えるこれからの自動化物流センターとは

 「物流現場の高度化」をテーマとする展示で最初に紹介されたのは、「人とロボットが協働する省人化物流センター」だ。

 物流センターは、サプライチェーンの中核となる重要な施設だ。保管、輸送、荷役、包装、流通加工などの重要な機能を持ち、これらの高度な連携による効率化が求められる。同展示では、参考出展として、日立が考えるこれからの自動化物流センターのコンセプトが紹介された。

 「人とロボットが協働する省人化物流センター」という名称が示す通り、この展示は深刻化する労働力不足への対応がテーマだ。展示では、ロボットを活用した自動化によって各工程を省人化しつつ、人財を有効に活用することで生産性と出荷品質を向上させるための実現イメージが紹介された。例えば、現時点では長尺物や重めの品物の搬送を、ロボットが完全自動で行うのは困難だ。その場合、どうしても人間の労働力が必要になる。完全な自動化ではなく「省人化」をうたうのは、ロボットとともに人間の労働力も適切に活用する必要があると考えているからだ。

 なお「今回の展示で紹介された内容の半分ほどは、既に現在の技術で実現できています。残りの半分も、ここ数年ほどで実現できる見通しです」(日立の説明員)という。今後の実用化を見込む技術についても、技術的には可能だが実用性の面で調整が必要なものが含まれる。

 ブース内では、Eコマース向けなどさまざまな大きさや重さの品物が混在するような現場を想定した省人化物流センターのイメージ動画も流された。タクトタイムの変動に対応して生産性を維持するなど、現在の物流センターには多くの機能が求められる。労働力不足の解消が課題とされることの多い現在の物流センターだが、この展示は近い将来の高機能化した姿をイメージさせるものとなった。

「人とロボットが協働する省人化物流センター」で紹介したイメージ動画の一部 「人とロボットが協働する省人化物流センター」で紹介したイメージ動画の一部

ハードウェアに依存しない自律型ピッキングロボット

 生活の多様化や顧客の個性化などの影響により、現在、物流の現場には大きな変化が起きている。少子高齢化や物流ネットワークの急拡大によって短時間で処理すべき商品量が増え、多品種を効率的に扱う必要性が高まった。

 「自律型ピッキングロボット」は、この複雑化するピッキング処理を人に代わって効率的に行うとともに、人手不足の緩和にも貢献することを目的としている。展示で紹介したシステムは、箱を開けて品物を投入したり、商品を小分けにしたりするシーンを想定したものだ。カメラで指定された範囲内で対象物を探索し、吸着ハンドで対象物を指定した場所に移動させる機能を備える。

「自律型ピッキングロボット」の動作イメージ 「自律型ピッキングロボット」の動作イメージ

 対象物の柄や大きさの違いを見分けての認識、適切な搬送などが可能になる。「今後、ロボットアームやカメラなど特定のハードウェアに依存しないことをめざしています」(日立の説明員)という。このため、既に導入済みのロボットアームやカメラを活用したり、今後発売されるであろう高機能のハードウェアに適用しやすい。

 この次世代のピッキングロボットは、今後実用化に向けて、システムを現場に適応させるテスト中とのことだ。

AIを利用して商品配置を最適化、ピッキング業務の効率化を実現

 ここまではロボットなどの活用による自動化の展示を紹介してきたが、現在の物流センターでは、保管する商品のピッキング業務は作業員が行うのが一般的だ。その効率は、目的の商品がどこに格納されているかによって大きく左右される。商品の配置を最適化すれば、ピッキングのための動線が短くなる。従来は発生しがちだった人の渋滞もなくなり、全体の作業時間を短縮できる。

 「Hitachi AI Technology/倉庫業務効率化サービス」は、物流センター内における商品配置をAI(人工知能)で最適化し、ピッキング業務の効率化を実現する。日立はこれまでも、商品配置の最適化を可能にするAIサービスを提供していたが、一部工程でアナリストによる分析作業が必要だった。これを“オプティマイザー”によって自動化することで、商品の最適な配置計画を完全に自動で作成できるようになった。また、商品配置だけでなく、商品を格納する棚の大きさに対するシミュレーションもできる。棚の大きさを変えることで、補充頻度を減らす効果が期待できるという。

「Hitachi AI Technology/倉庫業務効率化サービス」の概要 「Hitachi AI Technology/倉庫業務効率化サービス」の概要

 ある実証事例ではピッキング業務を大幅に短縮することができたという。「既にPoC(実証試験)を終えて本番稼働が始まるところです」(日立の説明員)という。

指静脈認証の利用で、業務前の健康状態チェックを簡素化

 機械化と自動化が進むロジティクス分野だが、人間の存在は今なお重要だ。特に、荷物を運ぶトラックのドライバーは、労働力不足によって大きな負荷が掛かっている。

 そこで展示されていたのが、ドライバーの健康状態に起因する事故を防止するため、業務前点呼時に行われる健康状態の確認を、指静脈認証を活用して簡易化するシステムだ。従来の業務前健康状態確認は、紙への手書きでその結果を管理することが多かった。また、電子化されている場合にもIDなどの入力が必要で、限られた時間内での健康確認に時間がかかるなどの課題があった。さらに、近年はこうした業務前健康確認を、他者に行わせるという不正が明るみに出るケースもメディアに報じられている。

 指静脈認証を使ったシステムであれば、非常に短時間で個人認証が行える。また、健康確認時に行われる血圧チェックのデータなども自動で蓄積可能になる。「健康な状態から大きくずれるような測定結果の場合にアラームを鳴らして、運行管理者に適切な判断を促すこともできます」(日立の説明員)。

指静脈認証で個人認証を行った後、血圧測定を行い、自動で測定結果を登録する 指静脈認証で個人認証を行った後、血圧測定を行い、自動で測定結果を登録する

 なお、この指静脈による認証システムはアネストシステムの血圧測定値管理ソフト「Safety Plus One(セーフティプラスワン)」と連携可能で、2018年からオプション販売されており好評だという。

生産計画をAIが自動立案、需要変動に即応するサントリー食品との協創事例

 ここからは「サプライチェーン・輸配送の高度化」の展示を紹介しよう。日立のAI技術は、サプライチェーンの多くの重要箇所で効率や品質の向上に寄与している。サントリー食品インターナショナル(以下、サントリー食品)との協創事例となる「生産計画最適化サービス」は、その代表的なものだ。同サービスは、ドリンク類の生産計画をAIによって最適化するもので、既に2019年1月から実運用を開始している。

「生産計画最適化サービス」の概要 「生産計画最適化サービス」の概要。サントリー食品インターナショナルとの協創事例となる

 お茶や天然水などの飲料の生産計画を作るには、需要の変動や工場の生産能力、生産・輸送コストなど、非常に多くの要素を検討する必要がある。このため、複数の熟練者による長時間の作業が必要だった。サントリー食品の場合、数名の熟練技術者が平均毎週約40時間を費やして生産計画を作成していた。これを、日立のサービスを活用することにより、約1時間で生産計画案を自動立案できるようになった。

 毎週、サントリー食品側から提供されるさまざまなマスターデータやトランザクションデータが日立のクラウドに連携され、日立側のクラウド上にあるAIシステムが最適な生産計画を作成。その後、処理結果をサントリー食品側のシステムにデータとして連携する流れとなっている。サントリー食品側からのデータ提供は、サントリー食品側のタイミングで行う仕様となっている。日立の説明員は「お客さま(サントリー食品)側のシステムから計画作成実行を指示すると、その時点の各種データを集めて日立側のシステムに送り、AIの処理が開始されるようになっています」と説明する。

 現時点では、AI作成の生産計画案を人手で確認と修正を行い最終的な生産計画案に仕上げる形となっているが、今後AIの精度が高まれば人手作業の負荷をさらに低減することが可能で、将来的にはAIだけで最適な生産計画を立案できる形をめざしている。

 本サービスは、さまざまな条件がある中で顧客要望となるKPIを最大化する業務であれば適用用途は生産計画だけにとどまらない。例えば、人員計画や調達計画などにも導入できる。日立としては、サントリー食品以外の顧客に対しても計画系業務の自動化・効率化に向けて検討を進めており、また一部の顧客と実証実験が進められているという。

車載端末とスマホでプローブデータを取得、配送の最適化にもつなげる

 走行する車両から各種の情報を取得してデータを有効活用する「持続的な成長を実現する輸配送高度化ソリューション」も展示された。同ソリューションは、車両からプローブデータを取得する部分と、そのデータを活用する部分で構成される。もちろん、連携せずに個別に利用することも可能だ。

 走行する車両からのデータ取得は、専用の車載端末と、専用アプリをインストールしたスマートフォンのいずれか、もしくは両方を利用する。車載端末の場合、車外および車内にカメラを最大4台まで接続できる。またスマートフォンからは緯度経度の他、加速度や角速度などの情報も得られる。これらによって、運行の管理者が走行場所や運転の状態、運転者の様子などをリアルタイムでチェックできるようになっている。また、車載端末にはアナウンス機能が搭載されているので、事故の多い場所などを走行する際に、ドライバーにアナウンスで注意を促すような使い方ができるという。

 車載端末やスマートフォンによって車両から取得したデータは自動的にクラウド上に蓄積される。そして、さまざまなことに活用できるようになる。その代表が物流業界における配送ルートの立案だろう。

 一方、取得したデータの活用では、最適な配送ルートをAIで自動立案する「Hitachi Digital Solution for Logistics/配送最適化サービス」が紹介された。同サービスは2018年10月に発表された、AIを活用した配送業務の最適化に向けた三井物産との協創事例などがベースになっており、既に2019年4月から日本、中国、タイの3カ国で提供が開始されている。

 同サービスと、車両からリアルタイムにプローブデータを取得する機能を連携させることで、輸配送に関する計画立案から実行評価までを通してPDCAを回せるようになる。これによって、さらに精度の高い配送計画が作成可能になるというわけだ。この輸配送高度化ソリューションは、注文の発生から出荷・配送までを最適化するソリューションとして、サプライチェーン全体の効率化に大きく寄与する。今後の展開が期待されるものの一つだ。

「持続的な成長を実現する輸配送高度化ソリューション」における配送ルート自動立案のイメージ 「持続的な成長を実現する輸配送高度化ソリューション」における配送ルート自動立案のイメージ

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提供:株式会社日立製作所
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2020年1月21日