2019 国際ロボット展 特集
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» 2019年12月19日 14時00分 公開

2019国際ロボット展:スクエニのメタAIでオムロンの卓球ロボがさらに進化、モチベーションを高めて人の成長を促す (2/3)

[八木沢篤,MONOist]

人の成長意欲の向上にスクウェア・エニックスのゲームAIを活用

 繰り返しになるが、オムロンは“人と機械の「融和」”を実現し、“機械が人のパフォーマンスを引き出す”“機械が人に飛躍的な成長を促す”状態を作り出し、通常の人の成長曲線を変革することを目指している。そのために必要な要素として、

  1. 機械自身の性能の向上
  2. 人の能力の向上
  3. 人の成長意欲の向上

の3つを挙げる。

オムロン 技術・知財本部 研究開発センター 無線・組込研究室 主査の八瀬哲志氏 オムロン 技術・知財本部 研究開発センター 無線・組込研究室 主査の八瀬哲志氏

 機械自身の性能の向上については、超初心者から上級者まで対応できる柔軟なロボティクス技術の実現が不可欠で、人の能力の向上には、人の能力を向上させる知覚および身体拡張技術が求められる。そして、人の成長意欲の向上に関しては、個々人のモチベーションを引き出すインタラクション技術が必要であり、この部分をスクウェア・エニックスとの共同研究で埋めていく考えだ。

 「人のモチベーションが最大化されている状態を作り出すには、『個人の能力』と『チャレンジ度合い』のつり合いが大切。退屈してそうな人にはスマッシュを打ち込む、困惑気味の人には優しい球を返すなど、感情や能力に合わせたチャレンジ度合いの調整が必要となる。そのつり合いの取れた状態が続くと、ゾーンと呼ばれる領域に近づける」(八瀬氏)

 こうした状態を作り出すために、共同研究では、まず、プレイヤーの動きや表情、心拍をセンシングして、人のスキルと感情をリアルタイムに推定。その感情の状態をどのように動かせばモチベーションアップにつながるかをラリー計画に変換する。このモチベーションを高めるラリー計画の構築にスクウェア・エニックスのゲームAIの知見を生かす。そして、ラリー計画に従い、コースや球種、スピードを変化させて正確にプレイヤーに返球する。

共同研究の内容について 共同研究の内容について[クリックで拡大]

 モチベーションを高めるラリー計画の構築で使われるのが、メタAIである。ゲームAIは、キャラクターの自律的な判断や仲間同士の協調を可能にする「キャラクターAI」と、地形を解析し、目的に応じた点を見つけ出したり、目的地までのパスを計算したりする「ナビゲーションAI」、そして、状況を監視してユーザーの心理を推測して変化をもたらす「メタAI」があり、これら3つのAIが連携してゲーム全体の流れを作り出している。「ユーザーのプレイの状況やプレイログを基に、メタAIがプレイヤーの感情を推測し、こうなってほしいという理想の心理状態に持っていけるように、ゲームの展開や状況を変化させる」と、スクウェア・エニックス テクノロジー推進部 リードAIリサーチャーの三宅陽一郎氏はメタAIの役割を解説する。

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