コラム
» 2019年12月23日 10時00分 公開

製造マネジメント 年間ランキング2019:みんな大好き○○○、積み重ねた技術は生き残りイノベーションは加速する (2/2)

[松本貴志,MONOist]
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事業の選択と集中を進めるパナソニック

 ランキング第2位は、パナソニックの組織変更を取り上げた記事「パナソニックが7カンパニー体制へ、AIS社が車載と産業に分割」が入りました。同社は2019年4月から、「アプライアンス社」「ライフソリューションズ社」「コネクティッドソリューションズ社」「オートモーティブ社」「インダストリアルソリューションズ社」「中国・北東アジア社」「US社」の7社内カンパニー体制を取っています。

 今月13日には、中国・北東アジア社 社長の本間哲朗氏へのインタビュー記事「イノベーションを阻害するのは日本人? パナソニックが中国地域社を作った理由」を掲載しました。パナソニックは、中国市場に進出する日系企業として「最大級」(本間氏)の規模を誇るといいます。中国・北東アジア社の設立によって、同市場向け製品をスピーディーに現地開発することが狙いです。

 パナソニックは事業の選択と集中を進めています。2019年5月に発表された中期戦略では「経営体質の徹底強化」を掲げ、赤字事業への抜本的対策を実施するなど方針を示していました。11月には液晶パネル生産と半導体事業の撤退を相次いで発表。同事業を総括していたインダストリアルソリューションズ社 社長の坂本真治氏は、同月に開催されたIRイベントで「『車載CASE(コネクテッド、自動運転、シェアード、電動化)』『情報通信インフラ』『工場省人化』を重点領域と位置付けることで、より高い成長性と収益力を確保する」と述べています。

 パナソニックは1988年のカルガリー冬季大会から30年以上にわたり、最高位スポンサーのTOP(The Olympic Partner)パートナーとして活動してきました。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年、同社にとっても特別な1年となりそうです。

積み重ねた技術は生き残る

 ランキング第3位は、「オンリーワンのモンスターネオ一眼、ニコン『P1000』はどうやって生まれたのか」がランクイン。厳しい戦いが強いられる「ネオ一眼」市場で爆発的な人気を誇るニコン「P1000」の開発背景を探る記事です。脅威のズーム倍率を実現するためにどのような工夫が盛り込まれたのか……。未読の方はぜひご覧ください! 

 上記記事を執筆した小寺信良氏による「デジカメの魂は死なず、皮膚科医向けカメラでよみがえるカシオのDNA」も、非常に読み応えのある記事となっています。スマートフォンの普及によってコンパクトデジカメの散在が風前のともしびとなる中、同分野で培った技術、経験は他分野で生き続けています。記事内で小寺氏も「カシオが積み上げてきた撮影および画像処理技術が、(中略)しっかり生き残る道が開けたことは、素直に喜びを禁じ得ない」と書かれていますが、私も同感です。

 破壊的イノベーションによって主力事業が苦境に立たされている日本企業も多いようですが、積み重ねてきた技術も無になるわけではありません。他の市場に目を向ければ光明が見えることもあります。2020年はそのような“復活劇”を多く見てみたいと思います。

ますます加速する技術革新

 第4位から第10位までの記事で、最も印象に残っている記事は第9位にランクインした「量子コンピュータって実際のところ何? NECもアニーリングに注力」です。2019年1月に掲載したこの記事を書いたのは私というのもありますが(笑)、2019年に入ってから量子コンピューティングに関するニュースが格段に増え、一般のマスメディアでも見かけることが多くなったからです。

 量子コンピューティングはさまざまな研究機関、企業が開発しており、実用化時期も既に来ている(または近い)ものから、まだ数十年は掛かるとされているものまで千差万別です。しかし、未来のものというイメージであった量子コンピュータは、現実のテクノロジーであるとの認識の基に活用方法を検討すべき段階に入ったといえます。OKIは9月、量子コンピュータを用いて製造現場における作業員の動線効率化を行い、作業員の移動距離を28%短縮したと発表。日本製造業でも既に活用事例が出てきています。

 「量子コンピュータ活用? PoC環境を用意するのも中々大変だし……」とお考えの方にも朗報です。Amazon Web Services(AWS)が今月、量子コンピュータプログラムを複数社の量子コンピュータ上で実行できるフルマネージドサービス「Amazon Braket」を発表しました。

 公式Webページを見ると、ゲート方式量子コンピュータが2機種、量子アニーリングマシンが1機種用意されており、現時点ではプレビュー利用の招待をリクエストできるようです。AWSはニュースリリースで「あなたが量子コンピューティングについて十分な知識を持ち、適切なユースケースを探すことがわれわれのゴールである」とコメントするように、今のうちに自社で量子コンピュータをどのように活用するか検討することは、将来の競争力の源泉になります。

Amazon Braketで利用できるIonQのイオントラップハードウェア 出典:AWS

 技術はとどまるところを知らないように進歩しています。加速する技術に遅れないように、日々技術を追っていきたいと思います。

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