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» 2019年12月24日 06時00分 公開

オートモーティブ 年間ランキング2019:みんな気になる○○○の電動車戦略、60年に1度のパラダイムシフトを目撃 (2/2)

[齊藤由希,MONOist]
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もはやモーターメーカーとはいえない日本電産

日本電産が開発した新型ミリ波レーダー(クリックして拡大)

 2位の「ミリ波レーダーに『60年に1度のパラダイムシフト』、高周波アンテナで新構造」は、日本電産が披露した新型ミリ波レーダーの記事です。

 この新開発のアンテナを用いたミリ波レーダーは、金型で成形した金属の細かな突起を持つ基底部と、天板の間に伝搬領域と伝搬遮断領域を形成します。突起を成形した金属板を重ねることにより、導波路を3次元に配置できるそうです。温度変化や振動など車載用としての耐久性も満たすとしており、「樹脂(を用いるパッチアンテナ)よりも信頼性は高い」(日本電産)とのことです。

 ミリ波レーダー内に伝搬遮断領域を設けることによって電磁波が漏れないため、ケースでの密閉は不要になると聞きました。製造容易性も従来のパッチアンテナと同等だといいます。量産に必要な加工精度は0.1mm程度で、金型の加工や材料の選定、アンテナ技術まで全て自社でカバーできる点が他社にない強みになるとしています。

 日本電産といえばモーターのイメージが強いですが、日本電産エレシス(旧ホンダエレシス)や2019年に買収を発表した日本電産モビリティ(旧オムロンオートモーディブエレクトロニクス)が傘下におり、センシングやECU(電子制御ユニット)の開発を推進しています。

 日本電産 代表取締役会長兼CEOの永守重信氏は、旧オムロンオートモーティブエレクトロニクスを買収する理由について、制御開発の人員が足りていなかったことも理由に挙げていました。あらゆる分野で不足するエンジニアをどのように確保するか、各社の工夫が見えた1年でもありました。

鉄道や船の記事を載せたかった理由

 3位はMONOistでは異色な鉄道の記事「シーサイドラインの事故原因は『自動運転』ではない」でした。MONOistに鉄道フォーラムができるわけではありませんが、鉄道の自動運転の仕組みや、事故の原因と対策は、自動車業界が取り組む無人運転車の開発や活用にも通じると考えて掲載しました。

 これを載せようと考えたのは、自動車以外の分野で自動運転のトラブルが相次いだからです。例えば、MONOistでは取り上げていませんが、ボーイングの「737MAX」の墜落事故が相次ぎました。墜落の原因は機体のレイアウト変更、機首が上がりすぎて失速することを防ぐ「MCAS」という制御システムがパイロットの操作よりも優先されて機首を下げようとし続けたこと、パイロットがMCASの解除方法を知らなかったことなどが複雑に絡み合っていました。報道では、パイロット向けの訓練体制が十分でないことなども触れられていました。

 「人間とシステムの引き継ぎがうまく行かない」という点は、航空機だけでなく、自動車や鉄道、今後世に出てくるであろう“空飛ぶクルマ”や船の自動運転にも共通して起こりうることではないでしょうか。自動車の知見が他の乗り物に生きたり、他の乗り物のノウハウが、無人運転車という新しい乗り物のヒントになったり、そんな相互作用が今後生まれてほしいと考えています。

 鉄道だけでなく、船の記事も実は幾つか掲載しました。きっかけは、MaaS(Mobility-as-a-Service、自動車などの移動手段をサービスとして利用すること)の一部として東京都心の実証実験で船に注目されていたことです。ご存じの通り、東京都心はたくさんの河川にかこまれています。鉄道網が充実しているのはもちろんなのですが、もし河川も公共交通網の1つになれば、鉄道やバスが機能しないときの代替輸送を担ったり、満員電車を離れてゆったりと移動したり、移動の在り方が多様になると考えられます。

 ただ、都心の船着場の多くは駅ほど便利な場所にはありません。現在地から船着場までの移動手段が必要です。そこで、何らかの陸上の移動手段と船着場をつなげられれば、船がMaaSの一部として活躍できるようになる環境が整います。

 課題はまだあります。船の自動運転や電動化は、自動車から何年も遅れています。また、移動手段としての認知度向上だけでなく、通勤に耐える船のサイズや運行本数の確保、定時性の担保、経路探索アプリに参加するためのデータ化とデジタル化なども解決しなければなりません。自動車業界で何かいいお手本が見つかれば、他の業界のノウハウにもなるのではないかと期待しています。


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