暑いぞ熊谷! ニコンの熱いモノづくり、戦い激しいガチャ市場、意匠法は今風にメカ設計 年間ランキング2019(2/3 ページ)

» 2019年12月25日 10時00分 公開
[八木沢篤MONOist]

“今風“に変わる意匠法、大変革の中身を知る

 第2位に輝いたのは、日本弁理士会が開催した記者説明会「意匠法大改正5つの要点」の内容を紹介した記事「2020年、意匠法はどう変わる? 物品だけでなく画像や空間、そして光も対象に」でした。

 2019年5月に可決され、法律第3号として公布された「特許法等の一部を改正する法律案」を受けて、2020年にも新たな法制度がスタートすることになります。法改正の中には、特許法だけではなく、意匠法や商標法の改正なども含まれており、特に意匠法の改正に関しては、「大変革」と呼べるほどの大きな変更がなされています。

 法改正の背景ですが、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、ビッグデータといった技術革新が産業構造を変えつつあり、従来の品質や技術力だけでは生き残れない状況にあること、そして、モノ売りからコト売りへのシフトを挙げます。そうした大きな変化の中で、イノベーション促進やブランド形成の源泉としてのデザインの価値があらためて重要視されるようになり、保護対象として整備し直されることになったそうです。

意匠法大改正の一部 意匠法大改正の一部。これまでは機器に組み込まれている画像のみ対象だったが……[クリックで拡大]

 ここでは改正ポイントの中身について詳しく触れることはしませんが、説明会の後半で述べられていたのが、「知らぬ間に権利を侵害していた、ということがないようにしましょう」という点です。意匠法の保護対象が(ざっくり言うと)今風に改正されることで、それを武器に事業を有利に持っていける企業が増える一方で、改正内容を把握していなかったために、知らぬ間に他社の権利を侵害していた……ということも十分に起こり得るのです。

 知っていると知らないとでは大違い――。友人同士の会話なら笑い話で済みますが、モノづくりの世界ではそうはいきません。未読の方は、この機会にぜひ本稿をチェックしてみてください。

寡占状態にあるカプセルトイ市場、生き残るのは難しい

 そして、「カプセルトイができるまで」という斜め上に行くカプセルトイを企画・販売したエポック社にインタビューした記事「エポック社のカプセルトイが攻め過ぎている理由【前編】」が第3位にランクインしました。

エポック社の「カプセルトイができるまで」 エポック社の「カプセルトイができるまで」[クリックで拡大]

 休日、家族と買い物に出掛けた際、偶然見つけた「カプセルトイができるまで」。その中身はというと、文字通り、カプセルトイができるまでの成形、塗装、梱包の各工程を再現したミニチュアなのです。MONOist編集部員としては買わずにはいられなかったこの商品、一体どんな人が企画したのか気になり、ダメもとでインタビューを申し込み、実現したのがこの記事になります。

 エポック社といえば、男性であれば「野球盤」、女性であれば「シルバニアファミリー」というとピンとくるかと思いますが、玩具だけではなく、カプセルトイにも力を入れています。

 この記事では、毎月300もの新タイトルが販売されるといわれているカプセルトイ市場での厳しい実情や、カプセルトイというある種の制約の中でいかに売れる商品を企画し、コスト内に抑えることができるかというモノづくりとしての難しさなど、普段聞くことのできないお話をたくさん紹介しています。

 また、トップ10入りはしませんでしたが、【後編】ではカプセルトイづくりにも生かされた、エポック社における3Dツール活用の話にも触れています。いろいろな活用事例をこれまで取材してきましたが、エポック社の取り組みは、社内における3Dプリンタの活用および推進をうまく展開している好例の1つだと思いますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

 ちなみに、2020年2月18日〜3月13日に開催される「ITmedia Virtual EXPO 2020春」のメカ設計EXPOの基調講演で、エポック社で3Dツール活用を推進している同社 シルバニア本部 技術室 西野晃一氏による講演を聴講することができます! ご興味のある方は【事前申し込み(無料)】をぜひお願いします。

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