“現実的価値”を生むスマート工場化が拡大、ロボット活用も標準化も進んだ2019年FA 年間ランキング2019(1/3 ページ)

2019年に公開したMONOist FAフォーラムの記事をランキング形式で振り返ります。公開記事の1年間分のデータを集計した上位記事とそこから見えるFA業界の状況について紹介します。

» 2019年12月27日 10時00分 公開
[三島一孝MONOist]

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 産業機械やオートメーション業界にとって2019年は、やや厳しい1年だったかもしれません。米中貿易摩擦の影響などから「世界の工場」でもある中国で投資を抑制する動きがあり、工作機械や制御機器などの生産財はマイナスの影響を受けました。

 ただ、こうした市場環境の一方で、オートメーションの活躍する場はさらに広がり、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などの先進技術を活用したスマート工場化は加速する一方です。そして厳しい状況である中だからこそ、こうした先進技術の情報収集を進め、導入へと取り組む動きが広がってきているように感じます。

 特に2019年の傾向として強く感じるのが「現実的な成果」です。過去2〜3年検討されてきたシステムの導入が進み、これらが具体的に成果を生み出した事例が多く出てきました。これらの記事への反応が強かったことが特徴だといえます。また、スマート工場や産業機械に関する標準化の動きも進んできました。これらで使用される標準規格についての記事がよく読まれた傾向も出ていました。どちらも「現実化」が進んでいることを象徴する動きだと考えます。

 それでは、FAフォーラムで2019年に公開された記事の年間PV(ページビュー)の上位記事とそこから見えるFA業界のトピックについて紹介していきます。

第1位:ソニーから譲り受けた村田のリチウムイオン電池、「燃えない」を武器に黒字化急ぐ

 2019年に公開された記事の中で、最も読まれたのは東北村田製作所の郡山事業所の取り組みを紹介した「ソニーから譲り受けた村田のリチウムイオン電池、「燃えない」を武器に黒字化急ぐ」でした。

 村田製作所は2017年にソニーからリチウムイオン電池事業を譲渡され同事業の拡大に取り組んでいます。現状では電池事業そのものの収益性はまだ難しい状況が続きますが、2021年度の黒字化に向けてさまざまな取り組みを進めており、オリビン型リン酸鉄を使った円筒形リチウムイオン電池「FORTELION」などを展開。また、DC-DCコンバーターやバッテリーマネジメントシステムを一体化した家庭向け定置用蓄電システムなどの提供も開始しています。

 2019年は、ノーベル化学賞にリチウムイオン電池の開発に貢献した旭化成名誉フェローの吉野彰氏らが選ばれましたが、世界で初めて商用利用を行ったのはソニーでした。「日本が生んで、育てたリチウムイオン電池」であるわけですが、現状では中国を含むアジア地域の企業に席巻され、国産電池事業は苦境に立たされています。その中で、リチウムイオン電池の元祖ともいえるソニーの電池事業を受け継いだ村田製作所がどのようにこの逆境を切り開くのかについて注目された記事だったと考えます。

photo 東北村田製作所の郡山事業所の様子(クリックで該当記事に遷移)
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