ニュース
» 2020年01月16日 11時30分 公開

エコカー技術:新型エンジン「SKYACTIV-X」がCX-30にも登場、玄人好みの大人な乗り味に

マツダは2020年1月16日、クロスオーバーSUV「CX-30」の新型ガソリンエンジン「SKYACTIV-X」搭載車を発売した。最廉価モデルとなる「X PROACTIVE(2WD)」のメーカー希望価格は329万4500円(税込)だ。

[松本貴志,MONOist]

 マツダは2020年1月16日、クロスオーバーSUV「CX-30」の新型ガソリンエンジン「SKYACTIV-X」搭載車を発売した。最廉価モデルとなる「X PROACTIVE(2WD)」のメーカー希望価格は329万4500円(税込)。主力車種として位置付けられるCX-30にもSKYACTIV-X搭載車を設定し、販売面に弾みをつける構えだ。

 CX-30のマーケティングを担当する同社 国内営業本部 ブランド推進部 主幹の齊藤圭介氏は、SKYACTIV-Xが玄人好みの大人な乗り味を演出するすることに一役買っていると語る。「このエンジンを選ぶユーザーは、クルマや技術にこだわるマニアックな層以外にも広がる可能性を感じている。運転することの楽しさ、気持ちよさ、上質さという新しい評価軸でSKYACTIV-Xの価値を感じるユーザーが増えている」と述べ、SKYACTIV-Xが実現する走りについて自信を見せた。

空燃比30以上のリーンバーンを実現したSKYACTIV-X、鍵はSPCCI

 SKYACTIV-Xはガソリンエンジンの長所である高回転域までの伸びの良さと、ディーゼルエンジンの強みである燃費、トルク、応答性を両立した新世代エンジン。独自の燃焼制御技術であるSPCCI(火花点火制御式圧縮着火)を開発し、ガソリンの圧縮着火を「世界で初めて」(マツダ調べ)実用化したものだ。

SKYACTIV-Xの概要(クリックで拡大) 出典:マツダ

 マツダはWell-to-Wheel(燃料の採掘、発電や燃料精製から車両走行まで)の視点に基づき、2030年の企業平均CO2排出量を2010年比で50%削減することを目指している。同社は2030年における商品ラインアップの95%で内燃機関と電動化技術を組み合わせたパワーユニットを搭載すると予測。内燃機関の熱効率改善は引き続き必要であるとの立場を明確に示している。

 マツダはガソリンエンジンの進化ビジョンを3段階で描く。このうち、ガソリンエンジン「SKYACTIV-G」は第1段階にあたるもので、主に高圧縮比化やミラーサイクルの採用、機械抵抗の低減などが行われた。SKYACTIV-XはSKYACTIV-Gに続く第2段階に位置付けられ、さらなる高圧縮比化とともに比熱比の向上も図った。

 SKYACTIV-Xでは比熱比を高めるため、理論空燃比よりも混合気を薄くした空燃比30以上のスーパーリーンバーンにも対応している。スーパーリーンバーンでは燃焼温度が低下するため、壁面熱損失やNOx(窒素酸化物)の低減、スロットル開度を大きく保つことによるポンピングロス低減も期待できる。一方で、かなり薄い混合気での燃焼となるため、火花点火での火炎伝播が不安定になる課題があった。

 この課題を解決するため、ディーゼルエンジンのように混合気を圧縮着火させるHCCI(Homogeneous Charge Compression Ignition)などが有望視されているが、筒内温度、圧力を運転状況に応じて制御する必要があることや、HCCI運転と火花点火運転の移行が困難であるなど実用化に至っていない。そこで、マツダは点火プラグで発生させた火炎球によって燃焼室内の圧力を変化させ、複数領域で圧縮着火を行うSPCCIを開発した。これにより、HCCIの課題を回避するとともに高速燃焼を実現している。

HCCIは運転可能領域が狭い条件に限られる(クリックで拡大) 出典:マツダ

 SKYACTIV-XはSPCCIで重要となる燃焼状態の把握のため、各気筒に筒内圧センサーを設ける。また、市販車ガソリンエンジン用としては非常に高い70MPaの燃圧を実現したインジェクションシステムは「F1レベルのもの」(マツダ担当者)であるという。その他、中負荷領域から過給を行いリーンバーンに必要な空気量を確保する「エアサプライシステム」、さらにはエンジンの保温を目的としたカプセルエンジン化など新たな技術がふんだんに盛り込まれている。

 走行性能と燃費性能を両立するマイルドハイブリッドシステム「M Hybrid」も搭載されており、アイドリングストップ再始動時の静粛性向上や、マニュアルトランスミッションにおける変速のカクツキ防止に貢献する変速アシスト制御を実現する。

SKYACTIV-XとSKYACTIV-Gの性能比較(クリックで拡大) 出典:マツダ
SKYACTIV-Xの構成要素(クリックで拡大) 出典:マツダ
マツダの中井英二氏

 マツダでSKYACTIV-Xに続く、マツダのガソリンエンジン進化ビジョン第3段階目では断熱化に取り組む。

 同社でパワートレイン開発本部長を務める中井英二氏は「空気は断熱性が高いため、燃焼室の真ん中で燃焼させるなどせっかく発生させた熱を逃がさないようにする。燃焼効率が大分良くなったので、第3段階では遮熱に取り組む。いくつかのアイデアを持って行っている」と方針を示した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.