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» 2020年01月24日 06時00分 公開

エコカー技術:ジェイテクトのリチウムイオンキャパシタ、4年で黒字化、年産100万セル目指す

ジェイテクトは、2024年度までに高耐熱リチウムイオンキャパシタ事業を黒字化させ、年間売上高25億円に成長させる。同製品は2019年に生産を開始した新規事業だ。既存のキャパシタと比べた動作温度範囲の広さや耐久性の高さ、リチウムイオン電池にはない急速充放電の特性を生かし、車載用などで採用拡大を見込む。

[齊藤由希,MONOist]
量産が始まった高耐熱リチウムイオンキャパシタ(クリックして拡大)

 ジェイテクトは、2024年度までに高耐熱リチウムイオンキャパシタ事業を黒字化させ、年間売上高25億円に成長させる。同製品は2019年に生産を開始した新規事業だ。

 既存のキャパシタと比べた動作温度範囲の広さや耐久性の高さ、リチウムイオン電池にはない急速充放電の特性を生かし、車載用などで採用拡大を見込む。また、ベアリングや工作機械での幅広い業界との取り引きを生かし、建設機械や産業機械、鉄道、ドローンなど向けにも提案を進めている。

 生産拠点は愛知県岡崎市の花園工場で、現在はサンプル出荷中だ。2021年に本格的な量産を開始し、2023年までに年間生産量を100万セル以上に引き上げる。

小さい陣容で生産拡大、高付加価値路線

花園工場の生産ライン(クリックして拡大)

 高耐熱リチウムイオンキャパシタの生産に関し、建屋を含めて30億円を投資する。現在は、年間生産能力が48万セルの第1ラインが稼働しており、昼夜勤で100万セルの生産が可能だ。生産ラインにはすでに年産100万セルに対応できる設備もあるが、リチウムイオンを負極に吸蔵させる工程(リチウムドープ)や、吸蔵状態を均一化する工程(エージング)では設備を追加する必要がある。

 今後、10億円程度の追加投資を行い、2023年までに年間100万セルの生産体制を整える。生産工程はラミネート型リチウムイオン電池の製造工程とほぼ同じだ。材料の混練、スラリーの塗布と乾燥、リチウムドープ、エージングなど、品質や性能の決め手となる設備は社内とグループ会社で内製し、コストを抑えた。

 リチウムイオン電池を手掛けるメーカーは、設備投資やランニングコストの増加、電池の価格下落などの影響を受けて、収益性の改善に苦戦している。これに対し、ジェイテクトは「小さい陣容で生産量を増やしながら、付加価値を持たせて価格を下がりにくくする」(ジェイテクト BR蓄電デバイス事業室 室長の西幸二氏)という戦略で、4年以内に黒字化を目指す。

 同社は2007年ごろから電動パワーステアリングの出力向上にキャパシタを使うことを検討し始めた。SUVやピックアップトラックといった大型の乗用車に電動パワーステアリングを搭載する場合、駐車時に電力が不足することが課題となっていたためだ。ただ、従来のリチウムイオンキャパシタは動作温度範囲が狭く、暖房による加温や冷房による冷却が必要となるため、搭載性やコストの面から採用が難しかった。電気二重層キャパシタ(EDLC)は高温環境での冷却が必要だったため、やはり搭載性に課題があった。

 研究を進める中、材料そのものではなく、材料の相性によってリチウムイオンキャパシタの耐熱性を高められることを発見。低温環境での性能は、生産工程の中で電極を乾燥させる際に露点を−35℃以下に下げることで実現している。その後、2015年から製品化に向けた開発に着手した。

さまざまなサイズのモジュールをそろえ、車載用以外でも引き合い(クリックして拡大)

 2017年に展示会などで対外的に披露し、2019年5月から東刈谷工場でパイロット生産を開始、同年10月には花園工場で量産ラインが稼働した。ジェイテクト 常務の松本巧氏は「約2年でスピード感を持って事業として立ち上げられた」と自信を見せる。

 車載向けの売り上げは2022年以降に立ち上がる。用途としては、当初のターゲットである電動パワーステアリング向けの補助電源に加え、自動運転車のフェールセーフ用のバックアップ電源としてのニーズが高まっているという。今後は、材料の見直しによって高容量化を図り、性能をリチウムイオン電池に近付ける開発を進める。

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