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» 2020年02月05日 09時30分 公開

製造業がサービス業になる日:なぜ東芝はデータ専門子会社を作ったのか (1/2)

東芝は2020年2月3日、データを価値ある形に変え、実社会に還元する事業を行う新会社として「東芝データ」を設立したことを発表した。なぜ東芝はデータ専門子会社を設立したのだろうか。設立会見の質疑応答などの様子をお伝えする。

[三島一孝,MONOist]

 東芝は2020年2月3日、データを価値ある形に変え、実社会に還元する事業を行う新会社として「東芝データ」を設立したことを発表した。なぜ東芝はデータ専門子会社を設立したのだろうか。設立会見の質疑応答などの様子をお伝えする。

「データ2.0」の時代に勝機を

 新たに発足した東芝データは、東芝グループの持つセキュリティ技術とノウハウを基盤に、人々の購買動向、健康データ、人材データ、行動データなど、実社会で収集したデータを高度なデジタル技術で分析し、活用しやすい情報や知識へ加工して実社会に還元することで新たなビジネス創出を実現することを目指すとしている。新会社の代表取締役CEOには東芝 執行役常務 最高デジタル責任者(Chief Digital Officer)の島田太郎氏が就任した。

photo 東芝 執行役常務 最高デジタル責任者で、東芝データ代表取締役CEOの島田太郎氏

 島田氏は「『サイバーtoサイバー』の世界でデータを扱う『データ1.0』の時代から『フィジカルtoサイバー』でモノからのデータを扱うようになる『データ2.0』の世界に変化しようとしている。その中で東芝では、駅の改札や店舗レジなどさまざまなフィジカル空間での実績を持つことから、本来は膨大な『Daily Active User(DAU)』を抱えている。ただこれらを有効に活用していなかった。これをフィジカルからサイバーに転写することで、さまざまな形で価値に転換できる」と背景について語る。

 また「データ2.0」の時代の中で重要になるのがデータ活用における「人権」の問題だ。島田氏は「データ1.0の世界ではプライバシーの問題や、個人のデータが予測できない領域で勝手に使われるようなことがあった。また、限定的なデータから推定したレコメンドなどは『思っているものと違う』ということもよく起こっていた。データが公平な形でより広く流通することでコンシェルジュのようなかゆいところに手が届くようなサービス提供ができるようになる。データを独占する企業や個人の権利を無視してデータを使用する行動が、これらの環境構築を阻む存在になる。『ダボス会議』にも行ったが、多くの企業が敵対する中で壁を作らずに新たな世界を作るのかという議論が盛んに行われていた」と語る。

購買データ、健康データをデータサービスとして提供

 東芝では2018年に発表した「東芝Nextプラン」により「CPS(サイバーフィジカルシステム)テクノロジー企業」になると宣言。そのロードマップとして、CPSによって生まれるデータを活用しデータビジネスを立ち上げることが示されていたが、実際に行う主体として立ち上げたのが東芝データになる。

photo 東芝CPS事業の展開ロードマップ(クリックで拡大)出典:東芝

 東芝データは、ユーザーの同意および匿名化によりリアルサービス事業者などからデータを集め、データの流通基盤の提供や、データアグリゲーション(集約や関連付け)を行う。これらを付加価値サービスを提供する事業者に提供するというサイクルを描く。

photo 東芝データのビジネスサイクルイメージ(クリックで拡大)出典:東芝

 資本金4億9000万円で社員数は22人。扱うデータとしては「購買データ」「健康データ」「人材データ」「行動データ」などを想定し、これらの事業化していく方針である。データ連携や活用などで多くのパートナー候補と協議を進め、まずはGunosy、シーユーシーと協業することを発表。さらにパートナーを広げる方針だとしている。

photo 東芝データのビジネスサイクルイメージ(クリックで拡大)出典:東芝
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