カゴ車やパレットの紛失をSigfoxでなくす、Hacobuが「MOVO Seek」物流のスマート化(2/2 ページ)

» 2020年02月10日 16時00分 公開
[西坂真人MONOist]
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物流資材のIoT追跡を可能にしたのは「Sigfox」

 IoTを活用した位置情報追跡はこれまでさまざまなものが提案されてきたが、物流資材のように不特定多数の人が大量に長期にわたって使用するケースの場合は、耐久性、通信精度、IoT端末のバッテリー寿命、コスト(イニシャル/ランニング)など課題が多かった。

 今回、IoT端末には無線通信方式として「Sigfox」が採用された。Sigfoxは、無線通信LPWA(Low Power Wide Area)の1つで、低価格、低消費電力、長距離伝送を特徴とする。国内では京セラコミュニケーションシステム(以下、KCCS)が国内唯一の通信事業者としてSigfoxを展開している。

 MOVO Seekでは、KCCSが提供するサービス「Atlas WiFi」を利用。同サービスは、Sigfox通信エリアでのWi-Fiアクセスポイントを活用して位置情報を取得できる他、Wi-Fiアクセスポイントがない場所でも、Sigfox基地局をベースにした位置測定サービス「Atlas Native」を組み合わせることで位置測位ができる。

photo KCCS LPWAソリューション事業部 副事業部長 兼 LPWA営業部責任者の大迫哲郎氏

 KCCS LPWAソリューション事業部 副事業部長 兼 LPWA営業部責任者の大迫哲郎氏は「現在の4Gや次世代の5Gなどの移動通信ネットワークと比べると、Sigfoxは通信速度も遅いし1回に送信できるデータ量も少ない。その代わりに大変安価で消費電力が非常に少ないのが特徴。今回のMOVO Seekで、IoT端末の電池寿命が7年間も持つのはSigfoxの低消費電力のおかげ。2020年1月時点でのSigfoxの人口カバー率は95%。このSigfoxとWi-Fiアクセスポイントを活用することで屋内、屋外にかかわらず数十mの精度で位置測位ができる」と語る。

 今後の展開についてHacobuの佐々木氏は「MOVO Seekの他に、配送案件管理アプリ『MOVO Vista』も今夏のリリースを目標に開発を進めている。これは輸送プロセスの始まりから終わりまで、異なる企業のユーザーが同一の案件データにアクセスできるコラボレーションツール。既に某大手メーカーでPoC(実証実験)が決定している」と述べた。

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