もしもプラットフォームがあったならSOLIDWORKSユーザーの業務フローはこう変わる!3DEXPERIENCE World 2020(2/3 ページ)

» 2020年02月12日 15時30分 公開
[八木沢篤MONOist]

プロジェクトメンバーとのコミュニケーションが自然に生まれる

 このプロジェクトの立ち上げに役立つのが「Project Planner」ロールである。プロジェクトマネジャーは直ぐに、Project Plannerロールのアプリを用いて、いつ、誰が、どのようなタスクを担当するのかを割り振り、個々の作業状況をモニタリングしながら、誰もがプロジェクト全体の進捗を管理できる環境を構築。もちろん、クラウド上のプラットフォームで管理されるため、いつでもどこからでも最新の状況を確認、更新でき、進捗確認のためのミーティングや書面での報告などを全くする必要がなくなる。

プロジェクトの計画とタスク、役割分担などを行う プロジェクトの計画とタスク、役割分担などを行う[クリックで拡大]

 タスクの開始スケジュールになると、そのタスクに関連する該当者に通知が飛ぶ。通知を受けたインダストリアルデザイナーは、新しい芝刈り機の筐体のコンセプトデザインをスケッチ。3DSwymで共有しながらコンセプトデザインを詰めていく。

 その間に、メカニカルデザイナーは駆動部の設計を始める。その際、同じく3DSwymでイメージを可視化しながらメンバーの意見を聞き、設計内容を詰めることができる。設計は「3DEXPERIENCE SOLIDWORKS」を用いて行い、必要に応じて3DEXPERIENCEプラットフォームを介して、外部のパーツサプライヤーが提供する部品の3Dデータを活用しながら、設計を進めていく。

メカニカルデザイナーによる駆動部の設計 メカニカルデザイナーによる駆動部の設計[クリックで拡大]

 そして、出来上がった初期のシャシー形状などを基に、今度はインダストリアルデザイナーが「3D Sculpter」ロールに含まれるWebブラウザベースのサブディビジョン(Sub-D/細分割)モデリングツール「xShape」でボディー形状のデザインを行う。このとき、必ずしもPCの前で作業する必要はなく、iPadのようなタブレット端末のWebブラウザ上でモデリングすることができる。この架空のストーリーでは、インダストリアルデザイナーが出張先のホテルのベッドの上で、iPadでモデリングしている様子が紹介された。

「xShape」を用いて筐体のモデリングを行う 「xShape」を用いて筐体のモデリングを行う[クリックで拡大]

デザイナーや関係者同士をつなげ、共創環境を生み出すプラットフォーム

 さて、シャシーの設計を進めていたメカニカルデザイナーから助けを求める声が3DSwymに投稿された。どうやらシャシーの軽量化に苦戦している様子。そこで、インダストリアルデザイナーが助け舟を出す。ここで登場するのが「3D Creator」ロールに含まれる「Design Guidance」だ。このDesign Guidanceは境界条件をいくつか設定するだけで、最適な形状の候補を提案してくれるというもの。今回のストーリーでは、シャシーの構成部品にDesign Guidanceを適用し、強度はそのままに軽量化を実現する形状を導き出す様子が示された。

「Design Guidance」による形状合成 「Design Guidance」による形状合成について[クリックで拡大]

 今度は、同じく3D Creatorロールに含まれる「SELECTION HELPER」を用いて、該当するエッジ全てにフィレットを自動的に付ける様子も紹介された。これは機械学習を用いた自動化機能の1つで、単純な繰り返し作業などの削減に大きな効果を発揮する。なお、この間のやり取りや、最終的な形状などは3DSwym上で関係者に共有され、いつでもアクセスできる状態にある。

 インダストリアルデザイナーの助けを借りて、作成した新しいシャシーの構成部品を、メカニカルデザイナーが使用する3DEXPERIENCE SOLIDWORKSに取り込んで、新しいリビジョンとしてアセンブリを保存する。こうしたデータの流通やリビジョン管理はプラットフォームだからこそ、簡単に行えるものだという。

 さらに、メカニカルデザイナーはCATIAの機能を盛り込んだ「Electorical 3Dsystem Designer」ロールを用いて、モーターとバッテリーとの間の配線を行う。つまり、3DEXPERIENCE SOLIDWORKSで設計した3Dモデルに対して、CATIAが提供する配線設計機能の一部が使えるということだ。

「Electorical 3Dsystem Designer」ロールを用いて、モーターとバッテリーとの間の配線設計が行える 「Electorical 3Dsystem Designer」ロールを用いて、モーターとバッテリーとの間の配線設計が行える[クリックで拡大]

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