パーソナルデータ流通と保護を両立させた、IoTサービス基盤を開発製造ITニュース

KDDI総合研究所は、プライバシーを保護しながら、パーソナルデータの流通性を高められる「生体情報を中心とした個人向けIoTサービス基盤」を開発、実証した。

» 2020年02月17日 09時00分 公開
[MONOist]

 KDDI総合研究所は2020年1月27日、プライバシーを保護しながら、パーソナルデータの流通性を高められる「生体情報を中心とした個人向けIoTサービス基盤」を開発、実証したと発表した。

 同基盤は、総務省の社会実装推進事業「IoTデバイス/プラットフォームなどの連携技術の確立と相互接続検証に向けた研究開発」の一環として、研究開発された。Society5.0などの各種データを多用途に活用する社会に備えるため、2017年度から研究開発に取り組んでいる。

キャプション 生体情報を中心とした個人向けIoTサービス基盤の構成、実証実験イメージ 出典:KDDI総合研究所

 同基盤は、プライバシー保護とパーソナルデータ流通を両立させるため、「APPM(Advanced Privacy Preference Manager)」「IoTデータ流通システム」という2つのシステムから構成される。

 APPMは、プライバシー関連法制度に対応し、個人ユーザー向けポータルサイトによるデータ提供可否の一元的設定、その設定に基づくデータ転送を制御、管理する。IoTデータ流通システムは、IoT(モノのインターネット)デバイスから得られる生体情報や車両情報などのデータを、APPMからの制御に基づいてセキュアに転送する。

キャプション APPMが提供する情報提供可否設定(同意)画面例 出典:KDDI総合研究所

 今回の実証実験は、PARMMIT協議会参加の企業、団体が同基盤を用いた相互運用によって実施。実験に参加したユーザーからの評価も行った。PARMMIT協議会とは、パーソナルデータを対象とした同意取得などを含むIoTプラットフォーム高度化技術の実証検証を行い、データ連携によるビジネス創発の促進などを図ることを目的とする団体だ。

キャプション 実験参加者によるユーザビリティ評価結果 出典:KDDI総合研究所

 その結果、多くがAPPMでのデータ提供にポジティブである一方、手間がかかる、不安感があるなど、改善点も明らかになった。同研究所では今後、国内外の関係者と社会実装に向けた協議および調整を進める。

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