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» 2020年03月04日 10時00分 公開

海外医療技術トレンド(56):米国は新型コロナウイルスに「バイオディフェンス」で対応、イノベーション創出も (4/4)

[笹原英司,MONOist]
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新型コロナウイルス危機下で加速する医療イノベーション促進策に注目

 2020年2月26日、トランプ氏は、米国副大統領のマイク・ペンス氏を新型コロナウイルスの対策担当に任命すると発表した(関連情報)。これに合わせて、前述のコロナウイルス・タスクフォースのリーダーを務めるHHSのアレックス・アザール長官は、総額25億米ドル以上の予算規模で、以下の5項目を最優先政策事項に設定したことを表明している(関連情報)。

  1. サーベイランス業務の拡大
  2. 州および地方政府機関の業務に対する支援
  3. 治療法の開発
  4. ワクチンの開発
  5. ガウンやマスクなど、個人向け予防用品の製造と購入

 加えて2月29日には、HHS傘下の食品医薬品局(FDA)が、米国内における新型コロナウイルス感染症の診断検査機能を拡大するために、「公衆衛生緊急時のCOVID-19(Coronavirus Disease-2019)向け緊急時使用許可に先立つCLIA下の高度複雑性検査実施が認証された検査機関における診断検査のためのポリシー:臨床検査機関および食品医薬品局スタッフ向け即時発効ガイダンス」を公表した(関連情報)。

 本連載第39回で取り上げた「Apple Watch Series 4」の心電図アプリケーションは、De Novo分類申請を利用し、約1カ月でFDA認証を取得した実績がある。今回公表した即時発効ガイダンスにより、どのような製品やサービスが生まれてくるのか注目される。



 残念ながら、日本には米国の省庁横断的な国家バイオディフェンス戦略に該当する共通フレームワークが存在しない。また、民間セクターとの官民連携を想定した、バイオインシデントに関わる情報共有/分析機能や、緊急時対応下の新製品開発促進の制度的仕組みも手探り状態にある。

 米国や中国が、復旧後のV字回復までにらんだ攻めの危機対応ロードマップを描く中、日本の政府機関や民間企業が、どのように新型コロナウイルス感染症危機に対応していくのかが注目される。

筆者プロフィール

笹原英司(ささはら えいじ)(NPO法人ヘルスケアクラウド研究会・理事)

宮崎県出身。千葉大学大学院医学薬学府博士課程修了(医薬学博士)。デジタルマーケティング全般(B2B/B2C)および健康医療/介護福祉/ライフサイエンス業界のガバナンス/リスク/コンプライアンス関連調査研究/コンサルティング実績を有し、クラウドセキュリティアライアンス、在日米国商工会議所、グロバルヘルスイニシャチブ(GHI)等でビッグデータのセキュリティに関する啓発活動を行っている。

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