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» 2020年03月11日 11時00分 公開

研究開発の最前線:二次電池搭載機器の試験サービスをワンストップ提供、OKIエンジが新規事業展開

OKIエンジニアリングは、リチウムイオン電池を中心とする「二次電池搭載機器向け信頼性試験・評価ワンストップ受託サービス」の提供を始める。耐充放電、耐振動、耐衝撃、耐塵(じん)などの環境試験と、構造解析・事故製品調査、性能評価を含めた44項目の試験・評価サービスをワンストップで提供する。

[朴尚洙,MONOist]

 OKIエンジニアリングは2020年3月10日、さまざまな機器への搭載が拡大するリチウムイオン電池などを対象とする「二次電池搭載機器向け信頼性試験・評価ワンストップ受託サービス」の提供を始めると発表した。二次電池搭載機器の信頼性評価に必要な、耐充放電、耐振動、耐衝撃、耐塵(じん)などの環境試験と、構造解析・事故製品調査、性能評価を含めた44項目の試験・評価サービスをワンストップで提供する。同サービスの2020年度の売上高目標は3億円。

「二次電池搭載機器向け信頼性試験・評価ワンストップ受託サービス」が対象とする産業分野は幅広い 「二次電池搭載機器向け信頼性試験・評価ワンストップ受託サービス」が対象とする産業分野は幅広い(クリックで拡大) 出典:OKIエンジニアリング

 今回発表した新サービスは、同社が長年にわたって信頼性評価分野で蓄積したノウハウと設備を活用して提供する。二次電池の評価、試験、解析では、JIS規格やUL規格、EMC試験、電気用品安全法といった規格や法規制への準拠以外に、特殊環境や機械的環境に耐えられることを確認するメーカー独自の規格への対応も必要になる。そういった要求に応えられるように、環境試験で22項目、製品安全試験・EMC試験で2項目、構造解析・事故製品調査で7項目、充放電監視ICの性能評価で1項目、成分分析で12項目の合計44項目の試験と評価をワンストップで受託サービスとして提供できる体制を整えた。

二次電池の評価・試験・解析の例新サービスで提供する44項目 二次電池の評価・試験・解析の例(左)と新サービスで提供する44項目(右)(クリックで拡大) 出典:OKIエンジニアリング

リチウムイオン電池の輸入が4年で倍増ペース、搭載機器の信頼性確保へ

 これまでOKIエンジニアリングは、自動車や産業機器/工作機械、電子部品/半導体、医療/化学などの産業分野別で試験や解析、評価の受託サービスを提供してきた。今回の新サービスは、従来とは異なり二次電池を搭載する機器全般に向けたものとなる。例えば、EV(電気自動車)やPC、スマートフォン、AGV(無人搬送車)、ドローンなどさまざまだ。

 これら二次電池搭載機器の中でも、自動車に搭載する鉛バッテリーやリチウムイオン電池の試験については、既に自動車向けサービスの中で提供しており実績も積み上がっている。OKIエンジニアリング 社長の橋本雅明氏は「新サービスでは、ポータブル電子機器や医療といった、これまで手薄だった分野を重点的にカバーしていきたい」と語る。そのため、2018年に二次電池プロジェクト発足させ、同社 システム評価事業部 実装技術グループ グループ長の岡克己氏をプロジェクトリーダーに任命。二次電池搭載機器向けのサービスをワンストップで受託できるように、社内の体制を整えた。

OKIエンジニアリングの橋本雅明氏(右)と岡克己氏(左) OKIエンジニアリングの橋本雅明氏(右)と岡克己氏(左)

 新サービスの事業展開をけん引する岡氏は「二次電池市場はリチウムイオン電池を中心に拡大を続けている。拡大の中核を担うのは自動車向けだが、ポータブル電子機器についても今後拡大していく見込みだ。車載二次電池にとどまらない形で、二次電池市場の拡大による試験サービス需要の成長に対応できるようにするために今回の新サービスを用意した」と強調する。

二次電池のX線CTによる内部構造写真 充放電試験後に不良になった二次電池をX線CTで内部構造を観察した写真。赤丸で示した部分の電極箔に乱れが見られる 出典:OKIエンジニアリング

 また、二次電池市場の拡大基調以上に注目しているのが、国内におけるリチウムイオン電池の輸入増だ。2018年には、2014年と比べて輸入量で1.75倍、輸入金額で2.1倍になっている。特にポータブル電子機器では、中国製の安価なリチウムイオン電池が採用される事例も増えているものの、機器搭載時の信頼性を確保するために自社で設備や技術者を用意することが難しい場合もある。実際に、ノートPCやスマートフォン、モバイルバッテリーなどのリチウムイオン電池の異常に起因する事故件数は増加傾向にある。そして、IoT(モノのインターネット)という形でさまざまな機器にリチウムイオン電池が搭載されるようにもなっている。「当社の新サービスを活用すれば、それらの機器の信頼性確保に向けた試験をしっかりと行えるだろう」(岡氏)という。

 新サービスの2020年度の売上高目標は3億円に設定しているが、このうち半分以上は既に実績のある自動車向けになる見込み。岡氏は「残りについては、ポータブル電子機器や医療など、これまで当社の事業展開が手薄だった分野に積極的に提案することでカバーする。今後も、試験設備への投資を行い、試験・評価・解析の項目も増やしていくし、固体電池をはじめとする新しい電池にも柔軟に対応できるようにしていきたい」と述べている。

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