5G 人からモノへ 〜「未踏の時代」迎えた無線技術 特集

5Gで加速するデジタル変革、KDDIの取り組みインターネプコン ジャパン2020(2/2 ページ)

» 2020年03月24日 11時00分 公開
[長町基MONOist]
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KDDIの5Gサービスの展開

 5Gの具体的なサービスに関してKDDIは、スタート時には5G単独ではなく4Gとのハイブリッド(NSL)で開始する方針を示している。データ伝送は5Gだが、制御を行うコアな部分は4Gを使用するもので、最初は4G品質が重要となる。2〜3年後にはコアの部分も5Gとなり、5Gの全ての機能が使える形だ。「エリア的には4Gは一斉に全国展開したが、5Gはハイブリッドの時代を経て、徐々にスポット的に広がっていくことを予想する」(野口氏)。

 総務省によると、基地局の開設計画は2021年度が1万局、2023年度に5万局レベルを見込む。IoTのようなユースケースで使う場合、法人ユースの拡大が見込まれればピンポイントでエリア展開する方針だ。

 このように5Gサービスは、法人ユースが大きく影響を与える。4Gまでは携帯電話主導だったが、5GはIoTを含めた全てがつながることが大きなポイントとなっている。IoT向け通信といえば、LPWA(Low Power, Wide Area)も注目されているが、LPWAは低消費電力、低ビットレートなどの特徴から低コストで運用が可能だった。対して5Gでは画像解析技術や画像を利用したARの進化により、こうした分野で活用できることで、同社でも画像解析系のソリューションを発表している。現在はローカルで使用しているソリューションでも5Gでは高速でクラウド側に上げることができるため、クラウドで処理して結果を示すことが可能となる。これにより、コストの低減、画像解析の進化に対応できるメリットがある。

 一方、2019年12月4日には全体のマルチクラウド戦略の1つとしてAmazon Web Services(AWS)と低遅延サービス実現に向けて提携を発表。AWSの新たなコンピューティングストレージサービス「AWS Wavelength」を用いて、エッジコンピューティング環境を構築する。エッジコンピューティングは、利用者により近い場所にサーバやストレージなどの装置を配置しデータ処理することで、クラウドサービスを利用したアプリケーションよりも応答時間の低遅延化や回線帯域の削減を実現する手法で、より低遅延なサービスを提供できる仕組みとして、5Gのネットワークと組み合わせた活用が期待されている。KDDIの5Gネットワーク内に「AWS Wavelength」を配置することで、アプリケーション開発者は現在利用しているAWSと同じ、APIやツール、機能を使用しながら、低遅延を生かしたサービスを展開することが可能となる。また、KDDIの5Gネットワークの利用者は、各種アプリケーションを低遅延に利用することが可能となる。KDDIは、5Gネットワークと「AWS Wavelength」を組み合わせることで、これらのサービスの実現に向けた取り組みを加速する。

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