2030年の車載電装システム市場、電動パワトレが2018年比8倍の18兆円にエコカー技術

富士キメラ総研は2020年3月12日、車載電装システムの市場調査結果を発表した。電動化の進展や、ADAS(先進運転支援システム)と自動運転システムの普及により市場が大幅に拡大し、2030年には2018年比でほぼ倍増の48兆9120億円に成長する見込みだ。

» 2020年03月24日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 富士キメラ総研は2020年3月12日、車載電装システムの市場調査結果を発表した。電動化の進展や、ADAS(先進運転支援システム)と自動運転システムの普及により市場が大幅に拡大し、2030年には2018年比でほぼ倍増の48兆9120億円に成長する見込みだ。

 調査は「パワートレイン系」「HV、PHV、EV、FCV系」「走行安全系」「ボディー系」「情報通信系」の分野に分けて実施した。2030年にはHV、PHV、EV、FCV系が大幅に伸びて2018年比8倍の18兆775億円、パワートレイン系は同14.8%増の9兆4875億円、情報通信系が同25.9%増の8兆7488億円、走行安全系が同86.3%増の8兆1113億円、ボディー系が同52.0%増の4兆4869億円に拡大すると予測している。

 走行安全系電装システムのうち、自動運転システムとADASは市場が大きく伸びる。ADASシステムは2030年に2018年比2.5倍の1兆3037億円に市場規模が拡大する。現状では欧州や北米が市場のけん引役だが、中長期的に日本や中国でも伸長し、2030年に中国は同4.9倍の3869億円、日本は同66.3%増の1174億円を見込む。センサーのコストは、搭載車増加による量産効果で低価格化が進む。

 自動運転システムは、2030年に2018年比464.9倍の2兆2781億円に拡大する見通しだ。レベル3の自動運転車の量産、2025年ごろのレベル4の自動運転車の投入により、市場規模が拡大するという。ロボットタクシーなど商用車向けのシステムの市場が2020年代前半から立ち上がる。自動運転システムの主要なセンシングデバイスであるLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)は、2021年ごろからMEMS方式など低コストなタイプが採用され始めるという。2030年ごろにレベル3の自動運転システムのコストが下がり、搭載車が大きく増えると見込む。

 電子ミラーも大きく成長する。ルームミラータイプは2030年に2018年比23.9倍の3639億円に、サイドミラータイプは2019年の14億円から2030年には908億円に市場規模が拡大するとしている。電子ミラーは法規制が追い付いていない国や地域もあり、普及には早急な整備が待たれるが、2021年ごろから電子ミラーに参入するメーカーが増えるという。当面は、光学ミラーとカメラ表示を切り替えるタイプや、光学ミラーを併用したタイプが主流となりそうだ。2025年から本格的な普及が始まると予測している。

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