コロナショックが明らかにした「サプライチェーンリスクマネジメント」の重要性新型コロナウイルス対策 緊急寄稿(3/3 ページ)

» 2020年04月06日 11時00分 公開
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4.おわりに

 2020年3月末現在、本稿執筆時点では、COVID-19の世界的流行がどの程度拡大するのか、いつ収束のめどが立つのか、全く見通すことができない。しかし一つはっきりしていることは、「優れたサプライチェーン」を定義づける観点や軸が、今回のパンデミック前後で変化しているであろうことだ。

 これまでサプライチェーンの良しあしは「戦略との整合性」「QCD」「柔軟性(フレキシビリティ)」などの軸で評価されることが多かった。その一方で「リスク対応力」については、一応考慮される程度で、他の軸に比べると明らかに後回しの扱いになっていた。しかし、この100年に一度といわれる世界的災厄を契機に、多くの企業がサプライチェーンマネジメントにリスクマネジメントを埋め込む必要性を痛感したはずである。また、長大かつ複雑なサプライチェーンに潜むリスクのコントロールを真に実効性のあるものにするには、サプライチェーンリスクのリアルタイム可視化や、将来の需給変動や地政学的変動を考慮したリスクシミュレーションなどのDX(デジタル変革)ツールの活用も前提になるだろう。

 今回のCOVID-19によるパンデミックは、企業のサプライチェーンに大きな爪痕を残した一方で、それ以上に世界中の最終需要を大きく減退させた。このリセッションの影響は相当長期間残ることが予想される。重要な経営課題は需要側にシフトし、サプライチェーンリスクへの対応は当面後回しにされる可能性もある。しかし「喉元過ぎれば」の例えもある。本稿の内容を参考に、自社のサプライチェーンの強靭(きょうじん)性を高めるための地道な取り組みを、段階的、継続的に進めていっていただきたい。

筆者プロフィール

多田 和弘(ただ かずひろ) クニエ マネージャー

大手製鉄会社入社後、生産管理業務に従事し、ドイツ系ERPベンダーなどを経て現職。主に製造業におけるSCM戦略立案、業務改革推進、SCP(計画系パッケージ)導入、リスクマネジメント(BCP・BCM)導入などのコンサルティング業務に従事。

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