オートクレーブメカ設計用語辞典

メカ設計者のための用語辞典。今回は「オートクレーブ」について解説する。

» 2020年04月22日 13時00分 公開
[小林由美MONOist]

オートクレーブ

 「オートクレーブ(autoclave)」は、高圧環境を作り出す耐圧性の装置、もしくはそれを用いて行う処理のことを指す。気圧が高まった環境下で起こる化学反応などを利用して、さまざま処理を行う。医学分野での滅菌処理、工学分野での複合材成形などで用いられる。圧力鍋の調理もオートクレーブの一種であるといえる。自動車などの「カーボンモノコック」(モノコック製フレーム)の製作で用いられる処理としても知られる。

 複合材は、複数の異素材を一体にした材料を指す。複合材のうち、炭素繊維とプラスチックを複合させる「CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化プラスチック)」は、オートクレーブ処理により成形する。例えば、CFRPの成形では、まず炭素繊維に熱硬化性樹脂を含浸してから積層する。それをオートクレーブに投入し、飽和蒸気によって高温高圧となった環境下で、化学反応を起こしながら成形する。複合材成形におけるオートクレーブの装置は「炉」や「窯」と呼ばれる。

 オートクレーブによる複合材成形は生産性に課題があり、それがコストアップの要因となっていた。複合材成形においては「脱オートクレーブ成形法(OOA:Out Of Autoclave processing)」にカテゴライズされる、オートクレーブを用いない成形手法もいくつか開発されている。

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