サブスクビジネス参入企業は新型コロナに強い、売上高の年平均成長率も18%超に製造ITニュース(2/2 ページ)

» 2020年04月22日 10時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
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サブスクリプションビジネスの3つのベストプラクティス

 ゴールド氏は、そのベストプラクティスとして「成長における優先順位」「フレキシブルなサブスクリプション」「従量課金」の3つを挙げた。

サブスクリプションビジネスの3つのベストプラクティス サブスクリプションビジネスの3つのベストプラクティス(クリックで拡大) 出典:Zuora

 まず、「成長における優先順位」は、B2C企業とB2B企業で大きく異なるという。B2C企業の場合、ユーザー数の増加が売上高の成長に直結するが、B2B企業の場合はユーザー数だけでなくARPA(Average Revenue per Account)もバランスよく増加させる必要がある。企業規模別に見た場合は、B2CもB2Bも大手企業の方が成長が早いという結果が出ている。「ブランドの確立によって認知度が高まり、ユーザー数が増えるという流れは、大手企業の方に有利に働く側面がある」(ゴールド氏)。

B2C企業とB2B企業でサブスクリプションビジネスの成長の道のりは異なる B2C企業とB2B企業でサブスクリプションビジネスの成長の道のりは異なる(クリックで拡大) 出典:Zuora

 「フレキシブルなサブスクリプション」では、サブスクリプションの契約内容を変更できる柔軟性が重要になる。サブスクリプションの変更範囲を広く設定し、ユーザー側で必要に合わせて変更を行えるようにすれば、変更範囲が狭くユーザーも基本的に変更しない企業と比べて、年平均成長率に3倍もの開きが出る。ARPAの成長も期待でき、解約(チャーン)率も低く抑えられるという。

グラフの右に行くほどサブスクリプションの変更範囲が広い グラフの右に行くほどサブスクリプションの変更範囲が広く、年平均成長率も高い(クリックで拡大) 出典:Zuora

 「従量課金」については、「単位当たり課金モデル」「超過量課金モデル」「ボリューム課金モデル」「ティア課金モデル」「超過量課金付きティア課金モデル」「マルチ属性課金モデル」という6つの課金モデルを紹介。その上で、従量課金の価格設定は、総収益の25%以下に抑えられるように行うのがベストと結論付けた。ゴールド氏は「基本料金に当たるリカーリングレベニューをケーキとすれば、従量課金はケーキの飾りだ。適度にすべきだ」と述べる。

「単位当たり課金モデル」「超過量課金モデル」「ボリューム課金モデル」「ティア課金モデル」「超過量課金付きティア課金モデル」「マルチ属性課金モデル」 「従量課金」の6つの課金モデル。左から、「単位当たり課金モデル」「超過量課金モデル」「ボリューム課金モデル」「ティア課金モデル」「超過量課金付きティア課金モデル」「マルチ属性課金モデル」のイメージ(クリックで拡大) 出典:Zuora
従量課金は収益向上につながるが、ケーキの飾り程度にほどほどにすべきだという 従量課金は収益向上につながるが、ケーキの飾り程度にほどほどにすべきだという(クリックで拡大) 出典:Zuora

 実際に年平均成長率で見ても、従量課金を行いつつもその割合を25%以下に抑えている企業が最も良い数字を残している。また、従量課金は解約率を低く抑える効果がある。なお、B2Cの場合はユーザーである消費者がシンプルなプランを求めることもあり従量課金の導入は26%にとどまっているが、B2Bでは半数以上が導入している。

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